りかみお
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その日も、私は距離を保つつもりだった。
会うのは久しぶりで、場所は人目のある昼のカフェ。
理由も、「たまたま近くに来たから」。
——言い訳ばかりだ。
美青は、少し遅れて現れた。
前と同じように、きちんとした挨拶をして、自然に笑って。
それだけで、胸の奥がざわつく。
りか「久しぶり」
そう言った私に、美青は一瞬だけ迷うような間を置いた。
そして。
みお「……璃花さん」
呼び方が、違った。
「先生」が、なかった。
それだけなのに、心臓がはっきり音を立てた。
私は思わず、言葉を詰まらせた。
りか「……どうしたの?」
聞いておきながら、理由なんて分かっていた。
美青は、視線を逸らさずに言った。
みお「もう、生徒じゃないので」
淡々とした声だった。
挑発でも、甘えでもない。ただの事実。
それが、妙に重かった。
みお「先生って呼ぶと、距離が戻っちゃう気がして」
私は、何も言えなかった。
否定もしなかった。
訂正もしなかった。
それが答えだったのかもしれない。
みお「……嫌でした?」
そう聞かれて、私は首を振った。
りか「嫌じゃない」
むしろ、胸の奥が、少しだけ熱くなった。
名前で呼ばれるということ。
それは、守る側でも、教える側でもなく、
“選ばれる側”になるということ。
その自覚が、遅れてやってきた。
みお「じゃあ……」
美青は少しだけ、安心したように笑った。
その笑顔が、もう“生徒の顔”じゃない。
私は、ようやく気づいた。
距離を保つために使っていた
「先生」という呼び名。
それは、私が逃げるための境界線だった。
それが今、静かに外された。
会話はそのあとも続いた。
でも私は、ほとんど内容を覚えていない。
頭の中では、ずっと同じ言葉が響いていた。
——璃花さん。
帰り際、私は初めて自分から言った。
りか「……美青」
名前を呼んだだけ。
それなのに、美青は少し驚いた顔をして、すぐに、嬉しそうに笑った。
みお「はい」
その返事に、胸が締めつけられた。
(ああ)
もう戻れない。
先生と生徒の関係には。
私はその夜、ベッドに入ってからも眠れなかった。
「呼び方が変わっただけ」
そう思おうとしても、無理だった。
名前で呼ぶということは、もう同じ場所に立つということ。
逃げ道が、ひとつ、消えた夜だった。
会うのは久しぶりで、場所は人目のある昼のカフェ。
理由も、「たまたま近くに来たから」。
——言い訳ばかりだ。
美青は、少し遅れて現れた。
前と同じように、きちんとした挨拶をして、自然に笑って。
それだけで、胸の奥がざわつく。
りか「久しぶり」
そう言った私に、美青は一瞬だけ迷うような間を置いた。
そして。
みお「……璃花さん」
呼び方が、違った。
「先生」が、なかった。
それだけなのに、心臓がはっきり音を立てた。
私は思わず、言葉を詰まらせた。
りか「……どうしたの?」
聞いておきながら、理由なんて分かっていた。
美青は、視線を逸らさずに言った。
みお「もう、生徒じゃないので」
淡々とした声だった。
挑発でも、甘えでもない。ただの事実。
それが、妙に重かった。
みお「先生って呼ぶと、距離が戻っちゃう気がして」
私は、何も言えなかった。
否定もしなかった。
訂正もしなかった。
それが答えだったのかもしれない。
みお「……嫌でした?」
そう聞かれて、私は首を振った。
りか「嫌じゃない」
むしろ、胸の奥が、少しだけ熱くなった。
名前で呼ばれるということ。
それは、守る側でも、教える側でもなく、
“選ばれる側”になるということ。
その自覚が、遅れてやってきた。
みお「じゃあ……」
美青は少しだけ、安心したように笑った。
その笑顔が、もう“生徒の顔”じゃない。
私は、ようやく気づいた。
距離を保つために使っていた
「先生」という呼び名。
それは、私が逃げるための境界線だった。
それが今、静かに外された。
会話はそのあとも続いた。
でも私は、ほとんど内容を覚えていない。
頭の中では、ずっと同じ言葉が響いていた。
——璃花さん。
帰り際、私は初めて自分から言った。
りか「……美青」
名前を呼んだだけ。
それなのに、美青は少し驚いた顔をして、すぐに、嬉しそうに笑った。
みお「はい」
その返事に、胸が締めつけられた。
(ああ)
もう戻れない。
先生と生徒の関係には。
私はその夜、ベッドに入ってからも眠れなかった。
「呼び方が変わっただけ」
そう思おうとしても、無理だった。
名前で呼ぶということは、もう同じ場所に立つということ。
逃げ道が、ひとつ、消えた夜だった。