りかみお
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正しい判断をしよう、と思った。
それだけだった。
連絡の頻度を減らす。
二人きりで会わない。
必要以上に踏み込まない。
——大人として、当然のこと。
そう決めたはずなのに。
「忙しくて、しばらく会えないかも」
そう送ったメッセージに、すぐ返事は来なかった。
それだけで、胸がざわついた。
(……気にしすぎ)
自分に言い聞かせる。
教師をしてきた私は、線を引くことには慣れている。
距離感を守ることも、感情を制御することも。
それなのに。
数日後、偶然立ち寄った書店で、背の高い後ろ姿を見つけた瞬間。
呼ばれてもいないのに、名前を探してしまった。
——美青。
声をかけるつもりはなかった。
距離を取ると決めたから。
なのに、向こうが振り向いた。
「あ……璃花先生」
その呼び方が、やけに胸に残った。
前なら、何とも思わなかった。
でも今は違う。
「久しぶり」
それだけ言うつもりだったのに、声が少しだけ、柔らかくなった。
美青は、少し間を置いてから言った。
みお「最近、連絡控えた方がいいのかなって思ってました」
責める口調じゃない。
探るようでもない。
ただ、事実を確認する声。
私は一瞬、言葉に詰まった。
——ああ。
この子、察してる。
大人の距離を。
りか「……そういうわけじゃ」
途中まで言って、止めた。
言い訳をしたくなかった。
結局、私はこう言った。
りか「少し、考えたくて」
それだけで、美青は理解した顔をした。
みお「そっか」
それ以上、踏み込んでこなかった。
その優しさが、想像以上に、刺さった。
距離を取ろうとしたのは、私のほうなのに。
引き留められないことが、こんなにも寂しいなんて。
別れ際、美青は軽く会釈して言った。
みお「無理しないでくださいね」
その言葉が、“守られる側”みたいで。
帰り道、私は気づいてしまった。
距離を取るほど、意識している。
会わないようにするほど、
考えている。
これはもう、「元生徒」への感情じゃない。
私は立ち止まって、深く息を吸った。
(……困ったな)
距離を取ることで、忘れられると思っていた。
でも実際は逆だった。
“対等な距離”を意識してしまった瞬間、私は初めて、美青を一人の人として真正面から見てしまったのだから。
教師としての線は、もう意味をなしていない。
それを認めたくなくて、距離を取ろうとした。
——でも。
距離を取ろうとするほど、気持ちは、はっきりしてしまう。
私は小さく呟いた。
りか「……逃げてるのは、私のほうか」
その夜、美青の名前が、何度も頭をよぎった。
それが答えじゃないと、誰が言えるだろう。
それだけだった。
連絡の頻度を減らす。
二人きりで会わない。
必要以上に踏み込まない。
——大人として、当然のこと。
そう決めたはずなのに。
「忙しくて、しばらく会えないかも」
そう送ったメッセージに、すぐ返事は来なかった。
それだけで、胸がざわついた。
(……気にしすぎ)
自分に言い聞かせる。
教師をしてきた私は、線を引くことには慣れている。
距離感を守ることも、感情を制御することも。
それなのに。
数日後、偶然立ち寄った書店で、背の高い後ろ姿を見つけた瞬間。
呼ばれてもいないのに、名前を探してしまった。
——美青。
声をかけるつもりはなかった。
距離を取ると決めたから。
なのに、向こうが振り向いた。
「あ……璃花先生」
その呼び方が、やけに胸に残った。
前なら、何とも思わなかった。
でも今は違う。
「久しぶり」
それだけ言うつもりだったのに、声が少しだけ、柔らかくなった。
美青は、少し間を置いてから言った。
みお「最近、連絡控えた方がいいのかなって思ってました」
責める口調じゃない。
探るようでもない。
ただ、事実を確認する声。
私は一瞬、言葉に詰まった。
——ああ。
この子、察してる。
大人の距離を。
りか「……そういうわけじゃ」
途中まで言って、止めた。
言い訳をしたくなかった。
結局、私はこう言った。
りか「少し、考えたくて」
それだけで、美青は理解した顔をした。
みお「そっか」
それ以上、踏み込んでこなかった。
その優しさが、想像以上に、刺さった。
距離を取ろうとしたのは、私のほうなのに。
引き留められないことが、こんなにも寂しいなんて。
別れ際、美青は軽く会釈して言った。
みお「無理しないでくださいね」
その言葉が、“守られる側”みたいで。
帰り道、私は気づいてしまった。
距離を取るほど、意識している。
会わないようにするほど、
考えている。
これはもう、「元生徒」への感情じゃない。
私は立ち止まって、深く息を吸った。
(……困ったな)
距離を取ることで、忘れられると思っていた。
でも実際は逆だった。
“対等な距離”を意識してしまった瞬間、私は初めて、美青を一人の人として真正面から見てしまったのだから。
教師としての線は、もう意味をなしていない。
それを認めたくなくて、距離を取ろうとした。
——でも。
距離を取ろうとするほど、気持ちは、はっきりしてしまう。
私は小さく呟いた。
りか「……逃げてるのは、私のほうか」
その夜、美青の名前が、何度も頭をよぎった。
それが答えじゃないと、誰が言えるだろう。