りかみお
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正直に言えば、私はずっと逃げていた。
「冗談でしょ」
「子どもの憧れだよ」
そう言ってしまえば、何も考えなくて済んだから。
でも――
あの日、向かい合って座った美青は、私の知っている“生徒”じゃなかった。
姿勢も、声のトーンも、目を逸らさずに話すところも。
何より、沈黙を怖がっていなかった。
私は、無意識に教師の癖で相手を“導こう”としていた。
でも途中で、気づいてしまった。
(……あれ?)
この子、私の言葉を「教え」として聞いていない。
同じ目線で、
同じ重さで、
考えている。
それに気づいた瞬間、胸の奥が、すっと冷えた。
——ああ。
守る対象じゃない。
注意する相手でもない。
導く役目も、もう終わっている。
私は、「先生」という立場を盾にして、見ないふりをしていただけなんだ。
美青は、押してこなかった。
「付き合ってください」とも言わなかった。
ただ、静かに言った。
「考えてほしいんです」
その一言が、やけに重くて。
軽く流せなくて。
私はその時、初めて“逃げ場がない”と思った。
教師としての正しさも、大人としての距離感も、全部理解している上で。
それでも、私を選ぼうとしている。
それはもう、子どもの恋じゃない。
私は視線を逸らしながら、自分の心拍数が上がっていることに気づいた。
こんなの、生徒相手に感じるものじゃない。
(……違う)
そう思えば思うほど、否定できなくなる。
美青は、もう生徒じゃない。
私の世界に、踏み込む資格を持った一人の人だ。
それが怖かった。
同時に——
少しだけ、嬉しかった。
教師としては失格かもしれない。
でも、人としては。
私はその日、帰り道で初めて考えてしまった。
(もしも)
(もしも、この子が“元生徒”じゃなかったら……?)
そんな仮定をした時点で、答えはもう、出ていたのかもしれない。
私はため息をついて、心の中で静かに呟いた。
(……困ったな)
(本当に、子どもじゃなくなってる)
それが、私が“教師でいる言い訳”を失った瞬間だった。
「冗談でしょ」
「子どもの憧れだよ」
そう言ってしまえば、何も考えなくて済んだから。
でも――
あの日、向かい合って座った美青は、私の知っている“生徒”じゃなかった。
姿勢も、声のトーンも、目を逸らさずに話すところも。
何より、沈黙を怖がっていなかった。
私は、無意識に教師の癖で相手を“導こう”としていた。
でも途中で、気づいてしまった。
(……あれ?)
この子、私の言葉を「教え」として聞いていない。
同じ目線で、
同じ重さで、
考えている。
それに気づいた瞬間、胸の奥が、すっと冷えた。
——ああ。
守る対象じゃない。
注意する相手でもない。
導く役目も、もう終わっている。
私は、「先生」という立場を盾にして、見ないふりをしていただけなんだ。
美青は、押してこなかった。
「付き合ってください」とも言わなかった。
ただ、静かに言った。
「考えてほしいんです」
その一言が、やけに重くて。
軽く流せなくて。
私はその時、初めて“逃げ場がない”と思った。
教師としての正しさも、大人としての距離感も、全部理解している上で。
それでも、私を選ぼうとしている。
それはもう、子どもの恋じゃない。
私は視線を逸らしながら、自分の心拍数が上がっていることに気づいた。
こんなの、生徒相手に感じるものじゃない。
(……違う)
そう思えば思うほど、否定できなくなる。
美青は、もう生徒じゃない。
私の世界に、踏み込む資格を持った一人の人だ。
それが怖かった。
同時に——
少しだけ、嬉しかった。
教師としては失格かもしれない。
でも、人としては。
私はその日、帰り道で初めて考えてしまった。
(もしも)
(もしも、この子が“元生徒”じゃなかったら……?)
そんな仮定をした時点で、答えはもう、出ていたのかもしれない。
私はため息をついて、心の中で静かに呟いた。
(……困ったな)
(本当に、子どもじゃなくなってる)
それが、私が“教師でいる言い訳”を失った瞬間だった。