村山美羽
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高校の時から、ずっと好きな人がいる。
村山美羽だ。
高校時代の美羽はとにかくモテていた。
けれど、誰からの告白も断って誰とも付き合わなかった。
噂では「好きな人がいるから」なんて聞いたことがあるけれど……。
ゆめ(結局、美羽の好きな人って誰だったんだろう……)
そんなことを考えながらも、私は美羽から目を離せずにいた。
キャンパスのベンチで、ふと横から声をかけられる。
みう「ゆめ、おはよ。」
ゆめ「みう、おはよぉー」
みう「眠そうだね」
ゆめ「んー、文化祭のバンドのオリジナル曲、全然アイディア思い浮かばなくてさ〜」
みう「え、あと1週間しかないのに?」
ゆめ「だからやばいんだよね。たすけて、みう」
みう「私、音楽はわかんないからな……ラブソングとか書いてみたら?笑」
ゆめ「ラブソング!?」
みう「好きな人を思い浮かべてつくるとか?笑 ってか、好きな人いる?」
ゆめ「んー、いるけどさ……」
みう「……え、いるんだ。」
一瞬、美羽の表情が暗くなった気がした。
私を見つめる瞳がどこかすっと冷えたような、寂しそうな色を帯びる。
ゆめ「まぁ、脈ナシだと思うんだけどね」
私は苦笑いを浮かべながらごまかした。
だって、私の好きな人は、目の前にいる美羽なのだから。
その日から、私は一心不乱に歌詞とメロディを書き殴った。
頭に浮かぶのは、高校の時からずっと見てきた美羽の姿。
他の誰にも向けないような優しい微笑み、時折見せる素っ気ない態度、そして私を呼ぶその声。
私の声で、私の歌で、美羽の心に届いてほしい。
たとえ届かなくても、この溢れる想いを言葉にして吐き出さなきゃ、息が詰まりそうだった。
そして迎えた文化祭当日。
満員の講堂、スポットライトの下で私はアコースティックギターを抱えてマイクの前に立った。
客席の少し後ろ、壁際に立って私を見つめる美羽と視線が交差する。
深呼吸をひとつ。
弦をかき鳴らすと同時に、喉の奥から想いを解き放った。
ずっと言えなかった気持ち。
美羽の声が好きだということ、その声で名前を呼ばれるたびに胸が痛くなること。
誰かのものになってしまうのが怖くて、でも諦められなくて。
泥臭くて不器用な、私の一筋縄ではいかない恋の歌。
ステージの上から届ける私の声に、美羽は目を見開いたまま動きを止めていた。
歌い終わり歓声が上がる中で美羽と目が合った瞬間、彼女の瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちるのが見えた。
夕暮れ時、後片付けが終わった校舎の裏手。
落ち葉が風に舞う静かな場所で、私は美羽を呼び出していた。
オレンジ色の夕空の下、美羽は少し目を赤くして立っていた。
ゆめ「みう、来てくれてありがとう」
みう「……あの曲、ずるいよ」
ぽつりと呟いた美羽の声は、少し震えていた。
ゆめ「あのね、みう。さっきの曲、みうのことを想って書いたんだ。高校の時から、ずっとみうが好き。みうの声も、優しさも、全部。脈ナシだって分かってても、どうしても伝えたかった」
胸の鼓動がうるさいくらいに鳴り響く。
フラれる覚悟を決めてぎゅっと目を瞑ろうとしたその時、美羽が私の腕を掴んで引き寄せた。
ゆめ「……え?」
みう「脈ナシなんて、勝手に決めつけないでよ」
美羽の瞳から、またボロボロと涙が溢れ出す。
みう「私ね……高校の時からずっと、好きな人がいたの。誰の告白も断ってきたのは、その人のことが好きだったから」
ゆめ「それって……」
みう「ゆめだよ。ずっと、ずっとゆめが好きだった。でも、友達関係が壊れるのが怖くて言えなくて……さっきステージで歌ってるゆめの声を聞いてたら、全部自分への歌だって分かって、嬉しくて……涙が止まらなくなっちゃったじゃん」
夕闇が迫る中、美羽は私の肩に顔をうずめて、子供みたいに泣いた。
ゆめ「みう……私も、みうのことがずっと好きだったよ」
抱きかえすと、伝わってくる確かな体温。
ずっとすれ違っていたふたりの声が、秋の風に乗ってようやくひとつに重なり合った。
村山美羽だ。
高校時代の美羽はとにかくモテていた。
けれど、誰からの告白も断って誰とも付き合わなかった。
噂では「好きな人がいるから」なんて聞いたことがあるけれど……。
ゆめ(結局、美羽の好きな人って誰だったんだろう……)
そんなことを考えながらも、私は美羽から目を離せずにいた。
キャンパスのベンチで、ふと横から声をかけられる。
みう「ゆめ、おはよ。」
ゆめ「みう、おはよぉー」
みう「眠そうだね」
ゆめ「んー、文化祭のバンドのオリジナル曲、全然アイディア思い浮かばなくてさ〜」
みう「え、あと1週間しかないのに?」
ゆめ「だからやばいんだよね。たすけて、みう」
みう「私、音楽はわかんないからな……ラブソングとか書いてみたら?笑」
ゆめ「ラブソング!?」
みう「好きな人を思い浮かべてつくるとか?笑 ってか、好きな人いる?」
ゆめ「んー、いるけどさ……」
みう「……え、いるんだ。」
一瞬、美羽の表情が暗くなった気がした。
私を見つめる瞳がどこかすっと冷えたような、寂しそうな色を帯びる。
ゆめ「まぁ、脈ナシだと思うんだけどね」
私は苦笑いを浮かべながらごまかした。
だって、私の好きな人は、目の前にいる美羽なのだから。
その日から、私は一心不乱に歌詞とメロディを書き殴った。
頭に浮かぶのは、高校の時からずっと見てきた美羽の姿。
他の誰にも向けないような優しい微笑み、時折見せる素っ気ない態度、そして私を呼ぶその声。
私の声で、私の歌で、美羽の心に届いてほしい。
たとえ届かなくても、この溢れる想いを言葉にして吐き出さなきゃ、息が詰まりそうだった。
そして迎えた文化祭当日。
満員の講堂、スポットライトの下で私はアコースティックギターを抱えてマイクの前に立った。
客席の少し後ろ、壁際に立って私を見つめる美羽と視線が交差する。
深呼吸をひとつ。
弦をかき鳴らすと同時に、喉の奥から想いを解き放った。
ずっと言えなかった気持ち。
美羽の声が好きだということ、その声で名前を呼ばれるたびに胸が痛くなること。
誰かのものになってしまうのが怖くて、でも諦められなくて。
泥臭くて不器用な、私の一筋縄ではいかない恋の歌。
ステージの上から届ける私の声に、美羽は目を見開いたまま動きを止めていた。
歌い終わり歓声が上がる中で美羽と目が合った瞬間、彼女の瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちるのが見えた。
夕暮れ時、後片付けが終わった校舎の裏手。
落ち葉が風に舞う静かな場所で、私は美羽を呼び出していた。
オレンジ色の夕空の下、美羽は少し目を赤くして立っていた。
ゆめ「みう、来てくれてありがとう」
みう「……あの曲、ずるいよ」
ぽつりと呟いた美羽の声は、少し震えていた。
ゆめ「あのね、みう。さっきの曲、みうのことを想って書いたんだ。高校の時から、ずっとみうが好き。みうの声も、優しさも、全部。脈ナシだって分かってても、どうしても伝えたかった」
胸の鼓動がうるさいくらいに鳴り響く。
フラれる覚悟を決めてぎゅっと目を瞑ろうとしたその時、美羽が私の腕を掴んで引き寄せた。
ゆめ「……え?」
みう「脈ナシなんて、勝手に決めつけないでよ」
美羽の瞳から、またボロボロと涙が溢れ出す。
みう「私ね……高校の時からずっと、好きな人がいたの。誰の告白も断ってきたのは、その人のことが好きだったから」
ゆめ「それって……」
みう「ゆめだよ。ずっと、ずっとゆめが好きだった。でも、友達関係が壊れるのが怖くて言えなくて……さっきステージで歌ってるゆめの声を聞いてたら、全部自分への歌だって分かって、嬉しくて……涙が止まらなくなっちゃったじゃん」
夕闇が迫る中、美羽は私の肩に顔をうずめて、子供みたいに泣いた。
ゆめ「みう……私も、みうのことがずっと好きだったよ」
抱きかえすと、伝わってくる確かな体温。
ずっとすれ違っていたふたりの声が、秋の風に乗ってようやくひとつに重なり合った。