りかみお
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石森璃花の一日は、いつも同じ声から始まる。
みお「せーんせっ!」
廊下の向こうから、少し高くてよく通る声。
振り向く前から、誰なのかは分かっている。
みお「石森先生!今日の古文のプリント、もう一回説明してほしいんだけど!」
的野美青。
元気で、距離が近くて、やたらと懐っこい生徒。
りか「授業中に説明したでしょ」
みお「え〜でも先生の説明、もう一回聞きたいんです!」
そう言って、笑いながら机に肘をつく。
石森璃花は、少しだけ困ったように息を吐いた。
りか「…はいはい。ここはね——」
美青は、説明を聞きながらも、内容より先生の横顔を見ていた。
みお(やっぱり好きだなあ……)
きっかけなんて、正直覚えていない。
ただ、石森先生が黒板に向かって字を書く後ろ姿とか、質問した時にちゃんと目を見て答えてくれるところとか、他の生徒には注意するのに、自分には少し甘いところとか。
全部が、特別に見えた。
みお「ねえ先生」
りか「今度は何?」
みお「卒業したら、付き合ってくれます?」
あまりにも自然に、あまりにも軽く。
石森璃花は、一瞬だけ手を止めてから笑った。
りか「はいはい。またそれね。冗談はほどほどにしなさい」
みお「冗談じゃないですって〜」
りか「はいはい」
そう言って、またプリントに視線を戻す。
その反応が、美青には少しだけ寂しかったけれど、
同時に「いつものこと」でもあった。
みお(どうせ、今は信じてくれないよね)
卒業が近づくにつれて、美青は何度も同じ言葉を口にした。
みお「卒業したらですよ?ちゃんと覚えててくださいね?」
そのたびに、石森璃花は同じように笑って流した。
りか「はいはい。そんなこと言えるのも今のうちよ」
教師として、それ以上踏み込むわけにはいかなかったし、
何より——
生徒の一時的な憧れだと思っていた。
卒業式の日。
教室で最後のホームルームが終わり、生徒たちが次々と出ていく中、美青だけが席に残っていた。
りか「どうしたの?」
みお「……最後に、もう一回だけ」
立ち上がって、真っ直ぐ見つめてくる。
みお「付き合ってください」
冗談めかさない声だった。
石森璃花は、一瞬だけ言葉を失ってから、ゆっくりと答えた。
りか「……あなたは、これからもっと世界が広がる。先生じゃなくて、同い年の人を好きになりなさい」
それが、教師としてできる精一杯だった。
美青は少しだけ笑って、頭を下げた。
みお「……はい」
その背中を見送りながら、石森璃花は胸の奥に、言葉にできない違和感を残した。
——それから数年後。
街の書店で、ばったりと声をかけられた。
みお「……先生?」
振り向くと、そこにいたのは少し大人びた表情の、的野美青だった。
みお「久しぶりです。覚えてます?」
りか「……美青?」
驚きと同時に、懐かしさが込み上げる。
みお「卒業したらって言ってたの、覚えてます?」
いたずらっぽく笑うその顔は、もう“生徒”ではなかった。
みお「まだ、冗談だと思ってます?」
その瞬間、あの頃聞き流していた言葉が、全部、胸に戻ってきた。
冗談じゃなかった。
ずっと、同じ気持ちのまま、ここに立っている。
石森璃花は、初めて教師ではなく、一人の人として向き合った。
りか「……ちゃんと、大人になったのね」
美青は少し照れたように笑う。
みお「やっと、同じ場所に立てました」
恋は、時間を越えて、ようやく対等な形になろうとしていた。
みお「せーんせっ!」
廊下の向こうから、少し高くてよく通る声。
振り向く前から、誰なのかは分かっている。
みお「石森先生!今日の古文のプリント、もう一回説明してほしいんだけど!」
的野美青。
元気で、距離が近くて、やたらと懐っこい生徒。
りか「授業中に説明したでしょ」
みお「え〜でも先生の説明、もう一回聞きたいんです!」
そう言って、笑いながら机に肘をつく。
石森璃花は、少しだけ困ったように息を吐いた。
りか「…はいはい。ここはね——」
美青は、説明を聞きながらも、内容より先生の横顔を見ていた。
みお(やっぱり好きだなあ……)
きっかけなんて、正直覚えていない。
ただ、石森先生が黒板に向かって字を書く後ろ姿とか、質問した時にちゃんと目を見て答えてくれるところとか、他の生徒には注意するのに、自分には少し甘いところとか。
全部が、特別に見えた。
みお「ねえ先生」
りか「今度は何?」
みお「卒業したら、付き合ってくれます?」
あまりにも自然に、あまりにも軽く。
石森璃花は、一瞬だけ手を止めてから笑った。
りか「はいはい。またそれね。冗談はほどほどにしなさい」
みお「冗談じゃないですって〜」
りか「はいはい」
そう言って、またプリントに視線を戻す。
その反応が、美青には少しだけ寂しかったけれど、
同時に「いつものこと」でもあった。
みお(どうせ、今は信じてくれないよね)
卒業が近づくにつれて、美青は何度も同じ言葉を口にした。
みお「卒業したらですよ?ちゃんと覚えててくださいね?」
そのたびに、石森璃花は同じように笑って流した。
りか「はいはい。そんなこと言えるのも今のうちよ」
教師として、それ以上踏み込むわけにはいかなかったし、
何より——
生徒の一時的な憧れだと思っていた。
卒業式の日。
教室で最後のホームルームが終わり、生徒たちが次々と出ていく中、美青だけが席に残っていた。
りか「どうしたの?」
みお「……最後に、もう一回だけ」
立ち上がって、真っ直ぐ見つめてくる。
みお「付き合ってください」
冗談めかさない声だった。
石森璃花は、一瞬だけ言葉を失ってから、ゆっくりと答えた。
りか「……あなたは、これからもっと世界が広がる。先生じゃなくて、同い年の人を好きになりなさい」
それが、教師としてできる精一杯だった。
美青は少しだけ笑って、頭を下げた。
みお「……はい」
その背中を見送りながら、石森璃花は胸の奥に、言葉にできない違和感を残した。
——それから数年後。
街の書店で、ばったりと声をかけられた。
みお「……先生?」
振り向くと、そこにいたのは少し大人びた表情の、的野美青だった。
みお「久しぶりです。覚えてます?」
りか「……美青?」
驚きと同時に、懐かしさが込み上げる。
みお「卒業したらって言ってたの、覚えてます?」
いたずらっぽく笑うその顔は、もう“生徒”ではなかった。
みお「まだ、冗談だと思ってます?」
その瞬間、あの頃聞き流していた言葉が、全部、胸に戻ってきた。
冗談じゃなかった。
ずっと、同じ気持ちのまま、ここに立っている。
石森璃花は、初めて教師ではなく、一人の人として向き合った。
りか「……ちゃんと、大人になったのね」
美青は少し照れたように笑う。
みお「やっと、同じ場所に立てました」
恋は、時間を越えて、ようやく対等な形になろうとしていた。