遠藤理子
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大学の体育館に、キュッキュッとシューズが床を擦る音と楽しそうな声が響き渡る。
レクリエーションの授業で始まったフットサル。
体を動かすのが大好きな私は、ボールを追いかけるのにすっかり熱中していた。
だけど、パスを受けようと急に踏み込んだ瞬間、足元が滑った。
ぐにゃり、と嫌な感触が足首に走る。
りこ「いたたっ…」
コートの隅で座り込んでしまった私に、すぐに誰かが駆け寄ってきた。
ゆめ「大丈夫?」
見上げると、そこにいたのはゆめだった。
りこ「あ、うん。だいじょ、った」
立ち上がろうとしたけれど、足首に激痛が走って思わず顔をしかめてしまう。
ゆめ「大丈夫じゃないね、ちょっと椅子ある所に行こう」
りこ「う、うん。」
肩を貸してもらいながら、なんとか壁際のパイプ椅子まで移動する。
そう話しかけてきたのはゆめ。
密かに好きな人。
みんなに優しくて気がきいて、頭が良くて、なんでもできちゃう人。
まあ、そんな私みたいな取り柄のない人に、特別な目を向けてくれるわけもないんだけど……。
ゆめ「靴下脱がすね……腫れてるね。ちょっと氷取ってくる」
りこ「うん、ありがとう。」
ゆめが保健室へ走っていく後ろ姿を、私はぼんやりと見送った。
足の痛みよりも、好きな人に迷惑をかけてしまった申し訳なさと、触れられた肩の残像で胸がいっぱいになる。
数分後、袋に入った氷とタオルを手にしたゆめが息を切らせて戻ってきた。
ゆめ「はい、冷やすね。ちょっと冷たいよ」
りこ「あ、自分でやるよ! ゆめも授業に戻らないと……」
ゆめ「ううん、先生には伝えてきたから大丈夫。はい、動かないで」
ゆめは膝をつくと、私の足首をそっと手で支え、優しく氷の袋を当ててくれた。
ひやっとした冷たさが広がるけれど、それ以上に私の足に触れているゆめの手の温もりがダイレクトに伝わってくる。
りこ(う、距離が近い……!)
真剣な表情で私の足元を見つめるゆめの横顔。
整った眉や少し揺れる髪の毛まで至近距離で見えてしまって、心臓が足の痛みなんて忘れるくらいバクバクと鳴り始めた。
ゆめ「……痛む?」
りこ「えっ、あ、ううん! 氷が冷たくて気持ちいい、かな……」
慌てて答えると、ゆめはふっと力を抜いて微笑んだ。
ゆめ「よかった。りこ、いつも全力だからヒヤヒヤするよ。フットサル中も、ずっと楽しそうにボール追いかけてたでしょ」
りこ「見てたの……?」
ゆめ「見てたよ。……っていうか、いつも見てる」
りこ「え?」
予想外の言葉に、私は思わず声を漏らした。
ゆめは氷を当てたまま、ゆっくりと顔を上げて私と視線を合わせる。
その瞳にはいつものみんなに向けられる優しさとは少し違う、熱のこもった色が宿っていた。
ゆめ「りこは自分には取り柄がないみたいな顔よくするけど、私から見たら全然違うよ。まっすぐで、一生懸命で、見ていて目が離せなくなるの」
りこ「ゆめ……」
ゆめ「怪我したのがりこじゃなかったら、私、こんなに焦って走ったりしなかったよ」
少しだけ耳を赤くしながら、照れくさそうに笑うゆめ。
みんなに優しくて完璧なはずの彼女が、私だけにみせてくれた隙と特別な言葉。
冷たいはずの氷の感触のすぐ隣でじんわりと温かい気持ちが足首から全身へ広がっていくのを感じていた。
ゆめ「授業終わったら、家まで送らせてね。……だめ?」
りこ「ううん、だめじゃない。……すごく、嬉しい」
体育館の喧騒から少し離れたパイプ椅子のうえで、私は真っ赤になった顔を隠すようにそっと頷いた。
レクリエーションの授業で始まったフットサル。
体を動かすのが大好きな私は、ボールを追いかけるのにすっかり熱中していた。
だけど、パスを受けようと急に踏み込んだ瞬間、足元が滑った。
ぐにゃり、と嫌な感触が足首に走る。
りこ「いたたっ…」
コートの隅で座り込んでしまった私に、すぐに誰かが駆け寄ってきた。
ゆめ「大丈夫?」
見上げると、そこにいたのはゆめだった。
りこ「あ、うん。だいじょ、った」
立ち上がろうとしたけれど、足首に激痛が走って思わず顔をしかめてしまう。
ゆめ「大丈夫じゃないね、ちょっと椅子ある所に行こう」
りこ「う、うん。」
肩を貸してもらいながら、なんとか壁際のパイプ椅子まで移動する。
そう話しかけてきたのはゆめ。
密かに好きな人。
みんなに優しくて気がきいて、頭が良くて、なんでもできちゃう人。
まあ、そんな私みたいな取り柄のない人に、特別な目を向けてくれるわけもないんだけど……。
ゆめ「靴下脱がすね……腫れてるね。ちょっと氷取ってくる」
りこ「うん、ありがとう。」
ゆめが保健室へ走っていく後ろ姿を、私はぼんやりと見送った。
足の痛みよりも、好きな人に迷惑をかけてしまった申し訳なさと、触れられた肩の残像で胸がいっぱいになる。
数分後、袋に入った氷とタオルを手にしたゆめが息を切らせて戻ってきた。
ゆめ「はい、冷やすね。ちょっと冷たいよ」
りこ「あ、自分でやるよ! ゆめも授業に戻らないと……」
ゆめ「ううん、先生には伝えてきたから大丈夫。はい、動かないで」
ゆめは膝をつくと、私の足首をそっと手で支え、優しく氷の袋を当ててくれた。
ひやっとした冷たさが広がるけれど、それ以上に私の足に触れているゆめの手の温もりがダイレクトに伝わってくる。
りこ(う、距離が近い……!)
真剣な表情で私の足元を見つめるゆめの横顔。
整った眉や少し揺れる髪の毛まで至近距離で見えてしまって、心臓が足の痛みなんて忘れるくらいバクバクと鳴り始めた。
ゆめ「……痛む?」
りこ「えっ、あ、ううん! 氷が冷たくて気持ちいい、かな……」
慌てて答えると、ゆめはふっと力を抜いて微笑んだ。
ゆめ「よかった。りこ、いつも全力だからヒヤヒヤするよ。フットサル中も、ずっと楽しそうにボール追いかけてたでしょ」
りこ「見てたの……?」
ゆめ「見てたよ。……っていうか、いつも見てる」
りこ「え?」
予想外の言葉に、私は思わず声を漏らした。
ゆめは氷を当てたまま、ゆっくりと顔を上げて私と視線を合わせる。
その瞳にはいつものみんなに向けられる優しさとは少し違う、熱のこもった色が宿っていた。
ゆめ「りこは自分には取り柄がないみたいな顔よくするけど、私から見たら全然違うよ。まっすぐで、一生懸命で、見ていて目が離せなくなるの」
りこ「ゆめ……」
ゆめ「怪我したのがりこじゃなかったら、私、こんなに焦って走ったりしなかったよ」
少しだけ耳を赤くしながら、照れくさそうに笑うゆめ。
みんなに優しくて完璧なはずの彼女が、私だけにみせてくれた隙と特別な言葉。
冷たいはずの氷の感触のすぐ隣でじんわりと温かい気持ちが足首から全身へ広がっていくのを感じていた。
ゆめ「授業終わったら、家まで送らせてね。……だめ?」
りこ「ううん、だめじゃない。……すごく、嬉しい」
体育館の喧騒から少し離れたパイプ椅子のうえで、私は真っ赤になった顔を隠すようにそっと頷いた。