向井純葉
夢小説設定
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季節外れの冷たい雨が、放課後の窓を叩いている。
誰もいない美術室の片隅で、私はスケッチブックを開いたまま隣に座る「ゆめ」の横顔を見つめていた。
ゆめはいつも、ずるい。
私をこんなに揺さぶるくせに、自分はいつも平気な顔をしている。
いとは「ねえ、ゆめ。そのマフラー、まだ持ってるんだ」
ゆめ「ん? ああ、これ? いとはが貸してくれたやつじゃん。気に入っちゃってさ」
ゆめは悪びれもせずに笑って、私の編んだ白いマフラーに顔を埋めた。
その仕草ひとつで、私の心臓が痛いくらいに跳ねるのを知っているくせに。
いとは「……もう春なのに、いつまで着けてるの。ずるいよ」
ゆめ「ずるいって何が? 暖かくて落ち着くからさ。ほら、いとはの匂いがするし」
そう言って、ゆめはふいっと顔を近づけてきた。
長い睫毛の奥にある瞳が、真っ直ぐに私を映す。
でも、その瞳の中に「恋」の色がないことを私は誰よりも知っていた。
ゆめにとって私は何でも話せる親友でしかないのだ。
いとは「……そういうところが、ずるいって言ってるの」
ゆめ「もう、いとはは時々難しい顔するよね。私のこと、嫌いになった?」
いとは「嫌いになれたら、どんなに楽か……」
小さく呟いた言葉は、激しくなる雨の音にかき消されていく。
本当は、今すぐにでもそのマフラーを引っ張って私の気持ちを全部ぶつけてしまいたかった。
「友達の顔をして隣にいるのは、もう限界だよ」って。
ゆめ「あ、雨、強くなってきたね。ねぇいとは、今日傘持ってきた?」
いとは「……ううん、忘れた」
嘘を吐いた。
カバンの中には、折りたたみ傘が入っているのに。
少しでも長く、この引き止めるような雨の中に二人きりでいたかったから。
ゆめ「じゃあ、私の傘に入る?相合傘しよ」
ゆめは嬉しそうに微笑んで、私の手を引いた。
その手の温もりが、差し出された優しさが、今の私には酷く残酷で――やっぱり、ずるいくらいに愛おしかった。
誰もいない美術室の片隅で、私はスケッチブックを開いたまま隣に座る「ゆめ」の横顔を見つめていた。
ゆめはいつも、ずるい。
私をこんなに揺さぶるくせに、自分はいつも平気な顔をしている。
いとは「ねえ、ゆめ。そのマフラー、まだ持ってるんだ」
ゆめ「ん? ああ、これ? いとはが貸してくれたやつじゃん。気に入っちゃってさ」
ゆめは悪びれもせずに笑って、私の編んだ白いマフラーに顔を埋めた。
その仕草ひとつで、私の心臓が痛いくらいに跳ねるのを知っているくせに。
いとは「……もう春なのに、いつまで着けてるの。ずるいよ」
ゆめ「ずるいって何が? 暖かくて落ち着くからさ。ほら、いとはの匂いがするし」
そう言って、ゆめはふいっと顔を近づけてきた。
長い睫毛の奥にある瞳が、真っ直ぐに私を映す。
でも、その瞳の中に「恋」の色がないことを私は誰よりも知っていた。
ゆめにとって私は何でも話せる親友でしかないのだ。
いとは「……そういうところが、ずるいって言ってるの」
ゆめ「もう、いとはは時々難しい顔するよね。私のこと、嫌いになった?」
いとは「嫌いになれたら、どんなに楽か……」
小さく呟いた言葉は、激しくなる雨の音にかき消されていく。
本当は、今すぐにでもそのマフラーを引っ張って私の気持ちを全部ぶつけてしまいたかった。
「友達の顔をして隣にいるのは、もう限界だよ」って。
ゆめ「あ、雨、強くなってきたね。ねぇいとは、今日傘持ってきた?」
いとは「……ううん、忘れた」
嘘を吐いた。
カバンの中には、折りたたみ傘が入っているのに。
少しでも長く、この引き止めるような雨の中に二人きりでいたかったから。
ゆめ「じゃあ、私の傘に入る?相合傘しよ」
ゆめは嬉しそうに微笑んで、私の手を引いた。
その手の温もりが、差し出された優しさが、今の私には酷く残酷で――やっぱり、ずるいくらいに愛おしかった。