向井純葉
夢小説設定
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いとは「もう!!べったりしすぎ、うざい!!」
楽屋のソファで、私の肩に頭を乗せて「いとは〜」といつものように髪をいじっていたゆめを、私は勢いよく突き放してしまった。
連日の撮影やレッスンで疲れが溜まっていたのもある。
でも、一番の理由は、周囲のメンバーたちからまた二人がイチャイチャしてるとニヤニヤしながら見られるのが、なんだか急に恥ずかしくなってしまったからだ。
ゆめは、突き放された拍子に少しよろけて、目を丸くした。
いつもなら「え〜、いとはの意地悪!」と笑ってまた抱きついてくるはずなのに、その日のゆめは違った。
シュンと眉を下げて、本当に申し訳なさそうな顔をした。
ゆめ「え、あ、ごめん。気をつけるね」
ぽつりとそう呟いたゆめは、そのまま静かに自分の荷物をまとめると、少し離れた別のメンバーのところへ移動してしまった。
その引き際の良さに、私の胸の奥で小さな冷たい風が吹いた。
でもその時は、「これで少し落ち着いて仕事ができる」なんて、強がった安心感を抱いていた。
それが、すべての始まりだった。
その日から、ゆめは本当に気をつけるようになってしまった。
楽屋に入ってきても、真っ先に私の隣に来ることはない。
他のメンバーと楽しそうに談笑し、私と目が合っても「あ、いとは、おはよう」とまるで普通の同期に対するような一線引いた笑顔を見せるだけ。
移動の車内でもいつもなら私の隣の席を死守していたのに、今では空いている席にサラッと座ってしまう。
もちろん、二人きり家にいる時は、今でもびっくりするくらいベタベタに甘えてくる。
「いとは、今日のご飯なに?」「いとは、テレビ一緒に見よ」と、後ろからギュッと抱きついてくる。
家でのゆめは私の大好きなゆめのままだから、最初は安心していた。
だけど、一歩外に出た瞬間にスイッチが切り替わる。
スタジオの廊下で二人きりになった時、少し寂しくなって私から袖口を引っぱってみたら、ゆめは困ったように微笑んで、優しくその手を解いた。
ゆめ「ダメだよいとは。外ではべったりしないって決めたから。いとは、うざいって言ってたし」
いとは「……あ、うん。そう、だよね」
責めるような口調じゃない。
本当に私のことを気遣って、私の言葉を忠実に守ろうとしてくれている。
それが分かっているからこそ、何も言えなかった。
自分から言った言葉なのに、外で他人のように振る舞われるのがこんなにも胸が締め付けられるほど寂しいなんて知らなかった。
数週間後の歌番組の楽屋。
私は一人、鏡の前でリップを塗り直しながら、視線だけでゆめを追っていた。
ゆめは今、別のメンバーに後ろから抱きつかれて、「やめてよ〜笑」なんて楽しそうに笑っている。
いとは(……前は、その場所は私の特等席だったのに)
モヤモヤとした嫉妬と自分が放った言葉への後悔が混ざり合って、視界がじんわりと滲む。
うざいなんて、本気じゃなかった。
ただの照れ隠しで甘えだったのに。
ゆめが大好きだからこそ、少し突き放してみたかっただけなのに。
ゆめ「いとは、次の衣装チェックだって。行こ?」
不意に、すぐ隣から声がした。
見上げると、いつの間にかメンバーの輪から抜けたゆめが立っていた。
その顔はやっぱり、どこか他人行儀な優しいメンバーの顔をしている。
その瞬間、私の中で何かが決壊した。
いとは「……いかない」
ゆめ「え?でも、マネージャーさんが——」
いとは「いかない!衣装チェックなんて、あとでいい!」
私はゆめの手首を掴むと人気のない衣装部屋の奥へと強引に引っ張り込んだ。
重い扉が閉まり、二人きりの空間になる。
ゆめ「いとは?どうしたの、急に——」
いとは「うそ。うそだから……!」
私はゆめの言葉を遮るように、その細い体に正面から思い切り抱きついた。
きつく、きつく、二度と離さないと言わんばかりに力を込める。
ゆめ「いとは……?」
いとは「べったりしすぎなんて嘘!うざいわけないじゃん!……私、寂しかった。外でゆめが冷たいの、もう耐えられない。他の子と仲良くしてるの見るのも、大嫌い……!」
一気に捲し立てると、胸に押し当てた顔から涙が溢れて、ゆめの衣装を濡らした。
ゆめの身体が一瞬強張った。
また突き放されるかもしれない、と恐怖が過った次の瞬間。
ゆめ「あはは、なんだぁ……」
頭の上から、ずっと聞きたかった、あの優しくて少しヘラヘラしたゆめの笑い声が聞こえた。
愛おしそうに私の背中に手が回され、ぎゅっと抱きしめ返される。
ゆめ「いとはがうざいって言うから、私、嫌われちゃったかと思って必死に我慢してたんだよ?外でもずっといとはの隣に行きたかったの、気づいてなかった?」
いとは「……気づかなかった。本当に冷たくなったと思った……」
ゆめ「そんなわけないじゃん。私、いとはのこと世界で一番大好きなんだから」
ゆめは私の顔を覗き込むと、涙を親指で優しく拭って、いたずらっぽく笑った。
ゆめ「じゃあ、これからは楽屋でもどこでも、前よりベタベタにするからね?二度とうざいって言っても辞めないから」
いとは「……うん。もう絶対言わない。だから、ずっと傍にいて」
いつもの特等席に戻れた安心感で、純葉の心は一瞬で満たされていく。
再び開いた楽屋の扉から出てきた二人は、誰が見ても呆れるくらい、元のベタベタな二人に戻っていたのだった。
楽屋のソファで、私の肩に頭を乗せて「いとは〜」といつものように髪をいじっていたゆめを、私は勢いよく突き放してしまった。
連日の撮影やレッスンで疲れが溜まっていたのもある。
でも、一番の理由は、周囲のメンバーたちからまた二人がイチャイチャしてるとニヤニヤしながら見られるのが、なんだか急に恥ずかしくなってしまったからだ。
ゆめは、突き放された拍子に少しよろけて、目を丸くした。
いつもなら「え〜、いとはの意地悪!」と笑ってまた抱きついてくるはずなのに、その日のゆめは違った。
シュンと眉を下げて、本当に申し訳なさそうな顔をした。
ゆめ「え、あ、ごめん。気をつけるね」
ぽつりとそう呟いたゆめは、そのまま静かに自分の荷物をまとめると、少し離れた別のメンバーのところへ移動してしまった。
その引き際の良さに、私の胸の奥で小さな冷たい風が吹いた。
でもその時は、「これで少し落ち着いて仕事ができる」なんて、強がった安心感を抱いていた。
それが、すべての始まりだった。
その日から、ゆめは本当に気をつけるようになってしまった。
楽屋に入ってきても、真っ先に私の隣に来ることはない。
他のメンバーと楽しそうに談笑し、私と目が合っても「あ、いとは、おはよう」とまるで普通の同期に対するような一線引いた笑顔を見せるだけ。
移動の車内でもいつもなら私の隣の席を死守していたのに、今では空いている席にサラッと座ってしまう。
もちろん、二人きり家にいる時は、今でもびっくりするくらいベタベタに甘えてくる。
「いとは、今日のご飯なに?」「いとは、テレビ一緒に見よ」と、後ろからギュッと抱きついてくる。
家でのゆめは私の大好きなゆめのままだから、最初は安心していた。
だけど、一歩外に出た瞬間にスイッチが切り替わる。
スタジオの廊下で二人きりになった時、少し寂しくなって私から袖口を引っぱってみたら、ゆめは困ったように微笑んで、優しくその手を解いた。
ゆめ「ダメだよいとは。外ではべったりしないって決めたから。いとは、うざいって言ってたし」
いとは「……あ、うん。そう、だよね」
責めるような口調じゃない。
本当に私のことを気遣って、私の言葉を忠実に守ろうとしてくれている。
それが分かっているからこそ、何も言えなかった。
自分から言った言葉なのに、外で他人のように振る舞われるのがこんなにも胸が締め付けられるほど寂しいなんて知らなかった。
数週間後の歌番組の楽屋。
私は一人、鏡の前でリップを塗り直しながら、視線だけでゆめを追っていた。
ゆめは今、別のメンバーに後ろから抱きつかれて、「やめてよ〜笑」なんて楽しそうに笑っている。
いとは(……前は、その場所は私の特等席だったのに)
モヤモヤとした嫉妬と自分が放った言葉への後悔が混ざり合って、視界がじんわりと滲む。
うざいなんて、本気じゃなかった。
ただの照れ隠しで甘えだったのに。
ゆめが大好きだからこそ、少し突き放してみたかっただけなのに。
ゆめ「いとは、次の衣装チェックだって。行こ?」
不意に、すぐ隣から声がした。
見上げると、いつの間にかメンバーの輪から抜けたゆめが立っていた。
その顔はやっぱり、どこか他人行儀な優しいメンバーの顔をしている。
その瞬間、私の中で何かが決壊した。
いとは「……いかない」
ゆめ「え?でも、マネージャーさんが——」
いとは「いかない!衣装チェックなんて、あとでいい!」
私はゆめの手首を掴むと人気のない衣装部屋の奥へと強引に引っ張り込んだ。
重い扉が閉まり、二人きりの空間になる。
ゆめ「いとは?どうしたの、急に——」
いとは「うそ。うそだから……!」
私はゆめの言葉を遮るように、その細い体に正面から思い切り抱きついた。
きつく、きつく、二度と離さないと言わんばかりに力を込める。
ゆめ「いとは……?」
いとは「べったりしすぎなんて嘘!うざいわけないじゃん!……私、寂しかった。外でゆめが冷たいの、もう耐えられない。他の子と仲良くしてるの見るのも、大嫌い……!」
一気に捲し立てると、胸に押し当てた顔から涙が溢れて、ゆめの衣装を濡らした。
ゆめの身体が一瞬強張った。
また突き放されるかもしれない、と恐怖が過った次の瞬間。
ゆめ「あはは、なんだぁ……」
頭の上から、ずっと聞きたかった、あの優しくて少しヘラヘラしたゆめの笑い声が聞こえた。
愛おしそうに私の背中に手が回され、ぎゅっと抱きしめ返される。
ゆめ「いとはがうざいって言うから、私、嫌われちゃったかと思って必死に我慢してたんだよ?外でもずっといとはの隣に行きたかったの、気づいてなかった?」
いとは「……気づかなかった。本当に冷たくなったと思った……」
ゆめ「そんなわけないじゃん。私、いとはのこと世界で一番大好きなんだから」
ゆめは私の顔を覗き込むと、涙を親指で優しく拭って、いたずらっぽく笑った。
ゆめ「じゃあ、これからは楽屋でもどこでも、前よりベタベタにするからね?二度とうざいって言っても辞めないから」
いとは「……うん。もう絶対言わない。だから、ずっと傍にいて」
いつもの特等席に戻れた安心感で、純葉の心は一瞬で満たされていく。
再び開いた楽屋の扉から出てきた二人は、誰が見ても呆れるくらい、元のベタベタな二人に戻っていたのだった。