山下瞳月×村井優
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私、山下瞳月は自分で自分が嫌になるくらい嫉妬深い。
大学で他の子と楽しそうに話している優を見るだけで、胸の奥がドロドロとした熱い塊で満たされていく。
優は私の恋人なのに。
私だけの優なのに。
優はいつも「しづき、可愛いな」って笑って受け止めてくれていたけれど、私の独占欲は日に日に肥大化していった。
ある日の夕方、優の部屋。
優が少し席を外した隙に、私はデスクの上に置かれたあるものを見つめていた。
それは、優が「ずっと欲しくてやっと手に入れた」と大切にしていた限定ものの綺麗なガラスの置物。
最近の優は、私といる時でもそれを眺めては嬉しそうに微笑んでいた。
しづき「……なんで私以外のものを見て、そんな顔するの?」
優の関心が、私以外のものに向いているのが許せなかった。
ただの物。
分かっている。
だけど、嫉妬の炎は私の理性を簡単に焼き尽くした。
気がつけば私はそのガラスの置物を手に取っていた。
ほんの少し優を困らせて私の方を向かせたかっただけだった。
けれど、焦った私の指先から冷たいガラスがツルリと滑り落ちる。
パリン――。
静かな部屋に高くてあまりにも綺麗な音が響いた。
床に散らばる、粉々になった輝き。
しづき「あ……っ」
冷や汗が背中を伝う。
その瞬間、パタパタと足音がしてドアが開いた。
ゆう「しづき、何の音――」
優の言葉が止まる。
床に散らばる破片とその前に立ち尽くす私。
優の目が、信じられないものを見るように見開かれた。
しづき「ゆう、ごめん、わざとじゃなくて、私……っ」
言い訳をしようと優に駆け寄ろうとしたけれど、優の表情を見た瞬間私の足はすくんだ。
いつもなら「怪我ない?」って心配してくれるはずの優が酷く冷めた感情の消えた瞳で私を見つめていたから。
ゆう「……しづき、これ私がずっと大事にしてたやつだよ」
しづき「分かってる!分かってるの!でも、ゆうが最近そればっかり見てるから、私、悲しくて……っ」
泣き叫ぶ私を、優は慰めようともしなかった。
ただ、静かにしゃがみ込み床の破片を拾い集め始める。
ゆう「しづきが私のこと好きなのも、やきもち焼きなのも、全部知ってたよ。……でもね、私が大事にしてるものを、しづきは全然大事にしてくれないんだね」
しづき「ちがう、私はただ……!」
ゆう「もういいよ」
その一言が、鋭いナイフのように私の胸に突き刺さった。
怒っているんじゃない。
呆れているんだ。
私への興味も愛おしさもこのガラスと一緒に全部、粉々に砕けてしまったような絶対的な拒絶。
ゆう「危ないし片付けるから、今日はもう帰って」
優は私の方を見ようともしなかった。
その横顔は、私が今まで見たことがないくらい遠くて冷たかった。
しづき「ゆう……」
名前を呼んでも、もうあのはちみつみたいに甘い笑顔は返ってこない。
自分の愚かな嫉妬が優の大事なものだけでなく、私への愛まで壊してしまったのだと気付いたとき、私は涙さえ流せなくなっていた。
静まり返った部屋に、破片が擦れ合う冷たい音だけが虚しく響いていた。
私は弾かれたように優の部屋を飛び出していた。
夜の冷たい空気が、涙で濡れた頬に染みる。
スマホを握りしめたまま、大学近くの夜道を宛てもなく歩いたけれど優からの連絡は1通も来ない。
いつもなら「今どこ?危ないから迎えに行く」って、すぐに甘い通知が届くのに。
しづき「……終わっちゃったんだ」
頭の中で、パリンと響いたあの音が何度も再生される。
優が呆れたような顔で言ったもういいよの4文字が、呪いのように胸にこびりついて離れなかった。
何日経っても、私たちの世界は止まったままだった。
大学の講義室で優を見かけても、声をかけることすらできない。
優はいつも通り友達と笑っているけれど、その視線が私を掠めるときだけすっと温度が消える。
飽きられちゃったんだ。
私の度を越した嫉妬に。私の重さに。
しづき(……嫌だ。このまま終わるなんて、絶対に嫌)
これ以上嫌われるのが怖くて逃げていたけれど、優のいない世界なんて生きている意味がない。
一週間が経った雨の日の夕方、私はもう一度あの部屋の前に立っていた。
心臓が壊れそうなほど脈打つ中、インターホンを押す。
しばらくして、ドアがゆっくりと開いた。
ゆう「……しづき」
出てきた優は、少し痩せたように見えた。
その瞳には、あの日の冷たさはなくてただひたすらに深い寂しさが沈んでいる。
しづき「ゆう、あの、これ……っ」
私は濡れたバッグの中から、小さな箱を差し出した。
この一週間、必死で探して頭を下げてやっと手に入れた全く同じ限定もののガラスの置物。
しづき「同じやつ、探したの。でも、分かってる……。これを買っても、ゆうが傷ついたことは消えないし、私がやったことは最低だったって……!」
優は箱を見つめたまま、何も言わない。
私は堪えきれずに涙をボロボロとこぼしながら、胸の奥底にある一番醜い本音をぶちまけた。
しづき「私、ゆうが大好きだから、ゆうの全部が欲しくて頭がおかしくなりそうだったの。ゆうの大事なものを壊せばゆうは私だけを見てくれるって、馬鹿なこと思っちゃったの……。でも、ゆうに嫌われるのが一番怖かった。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
頭を下げて泣きじゃくる私の前に、影が落ちる。
優の、あの優しい柔軟剤の香りが近づいてきた。
ゆう「……本当に、バカだね、しづきは」
クスッと、掠れた声で優が笑った。
ハッとして顔を上げると、優は私の差し出した箱を受け取りもう片方の手で私の冷え切った頬をそっと包み込んでくれた。
その手は、驚くほど温かかった。
ゆう「私が一番大事にしてたの、何だか分かってないでしょ」
しづき「え……?」
ゆう「あのガラスの置物、しづきがこれ、綺麗だねって最初に言ってくれたから、だから宝物にしてたんだよ」
優の目からも、一筋の涙が溢れて零れ落ちる。
ゆう「私が一番大事なのは、あの置物じゃなくて、しづきだよ。しづきが私を大好きなのも、やきもち焼きなのも、全部だいすき。だけど、私を試すためにモノを壊したり、傷つけたりするのはもう二度としないで」
しづき「ゆう……っ!」
ゆう「おいで」
優に強く抱きしめられて、私はその胸に顔を埋めて声を上げて泣いた。
壊してしまったものは、もう元には戻らない。
だけど、新しく買い直したガラスの置物と一緒に、私たちはもう一度不器用な愛を紡ぎ直していく。
窓の外を流れる雨の音を聞きながら、私は二度とこの温もりを離さないと、心の中で強く誓った。
大学で他の子と楽しそうに話している優を見るだけで、胸の奥がドロドロとした熱い塊で満たされていく。
優は私の恋人なのに。
私だけの優なのに。
優はいつも「しづき、可愛いな」って笑って受け止めてくれていたけれど、私の独占欲は日に日に肥大化していった。
ある日の夕方、優の部屋。
優が少し席を外した隙に、私はデスクの上に置かれたあるものを見つめていた。
それは、優が「ずっと欲しくてやっと手に入れた」と大切にしていた限定ものの綺麗なガラスの置物。
最近の優は、私といる時でもそれを眺めては嬉しそうに微笑んでいた。
しづき「……なんで私以外のものを見て、そんな顔するの?」
優の関心が、私以外のものに向いているのが許せなかった。
ただの物。
分かっている。
だけど、嫉妬の炎は私の理性を簡単に焼き尽くした。
気がつけば私はそのガラスの置物を手に取っていた。
ほんの少し優を困らせて私の方を向かせたかっただけだった。
けれど、焦った私の指先から冷たいガラスがツルリと滑り落ちる。
パリン――。
静かな部屋に高くてあまりにも綺麗な音が響いた。
床に散らばる、粉々になった輝き。
しづき「あ……っ」
冷や汗が背中を伝う。
その瞬間、パタパタと足音がしてドアが開いた。
ゆう「しづき、何の音――」
優の言葉が止まる。
床に散らばる破片とその前に立ち尽くす私。
優の目が、信じられないものを見るように見開かれた。
しづき「ゆう、ごめん、わざとじゃなくて、私……っ」
言い訳をしようと優に駆け寄ろうとしたけれど、優の表情を見た瞬間私の足はすくんだ。
いつもなら「怪我ない?」って心配してくれるはずの優が酷く冷めた感情の消えた瞳で私を見つめていたから。
ゆう「……しづき、これ私がずっと大事にしてたやつだよ」
しづき「分かってる!分かってるの!でも、ゆうが最近そればっかり見てるから、私、悲しくて……っ」
泣き叫ぶ私を、優は慰めようともしなかった。
ただ、静かにしゃがみ込み床の破片を拾い集め始める。
ゆう「しづきが私のこと好きなのも、やきもち焼きなのも、全部知ってたよ。……でもね、私が大事にしてるものを、しづきは全然大事にしてくれないんだね」
しづき「ちがう、私はただ……!」
ゆう「もういいよ」
その一言が、鋭いナイフのように私の胸に突き刺さった。
怒っているんじゃない。
呆れているんだ。
私への興味も愛おしさもこのガラスと一緒に全部、粉々に砕けてしまったような絶対的な拒絶。
ゆう「危ないし片付けるから、今日はもう帰って」
優は私の方を見ようともしなかった。
その横顔は、私が今まで見たことがないくらい遠くて冷たかった。
しづき「ゆう……」
名前を呼んでも、もうあのはちみつみたいに甘い笑顔は返ってこない。
自分の愚かな嫉妬が優の大事なものだけでなく、私への愛まで壊してしまったのだと気付いたとき、私は涙さえ流せなくなっていた。
静まり返った部屋に、破片が擦れ合う冷たい音だけが虚しく響いていた。
私は弾かれたように優の部屋を飛び出していた。
夜の冷たい空気が、涙で濡れた頬に染みる。
スマホを握りしめたまま、大学近くの夜道を宛てもなく歩いたけれど優からの連絡は1通も来ない。
いつもなら「今どこ?危ないから迎えに行く」って、すぐに甘い通知が届くのに。
しづき「……終わっちゃったんだ」
頭の中で、パリンと響いたあの音が何度も再生される。
優が呆れたような顔で言ったもういいよの4文字が、呪いのように胸にこびりついて離れなかった。
何日経っても、私たちの世界は止まったままだった。
大学の講義室で優を見かけても、声をかけることすらできない。
優はいつも通り友達と笑っているけれど、その視線が私を掠めるときだけすっと温度が消える。
飽きられちゃったんだ。
私の度を越した嫉妬に。私の重さに。
しづき(……嫌だ。このまま終わるなんて、絶対に嫌)
これ以上嫌われるのが怖くて逃げていたけれど、優のいない世界なんて生きている意味がない。
一週間が経った雨の日の夕方、私はもう一度あの部屋の前に立っていた。
心臓が壊れそうなほど脈打つ中、インターホンを押す。
しばらくして、ドアがゆっくりと開いた。
ゆう「……しづき」
出てきた優は、少し痩せたように見えた。
その瞳には、あの日の冷たさはなくてただひたすらに深い寂しさが沈んでいる。
しづき「ゆう、あの、これ……っ」
私は濡れたバッグの中から、小さな箱を差し出した。
この一週間、必死で探して頭を下げてやっと手に入れた全く同じ限定もののガラスの置物。
しづき「同じやつ、探したの。でも、分かってる……。これを買っても、ゆうが傷ついたことは消えないし、私がやったことは最低だったって……!」
優は箱を見つめたまま、何も言わない。
私は堪えきれずに涙をボロボロとこぼしながら、胸の奥底にある一番醜い本音をぶちまけた。
しづき「私、ゆうが大好きだから、ゆうの全部が欲しくて頭がおかしくなりそうだったの。ゆうの大事なものを壊せばゆうは私だけを見てくれるって、馬鹿なこと思っちゃったの……。でも、ゆうに嫌われるのが一番怖かった。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
頭を下げて泣きじゃくる私の前に、影が落ちる。
優の、あの優しい柔軟剤の香りが近づいてきた。
ゆう「……本当に、バカだね、しづきは」
クスッと、掠れた声で優が笑った。
ハッとして顔を上げると、優は私の差し出した箱を受け取りもう片方の手で私の冷え切った頬をそっと包み込んでくれた。
その手は、驚くほど温かかった。
ゆう「私が一番大事にしてたの、何だか分かってないでしょ」
しづき「え……?」
ゆう「あのガラスの置物、しづきがこれ、綺麗だねって最初に言ってくれたから、だから宝物にしてたんだよ」
優の目からも、一筋の涙が溢れて零れ落ちる。
ゆう「私が一番大事なのは、あの置物じゃなくて、しづきだよ。しづきが私を大好きなのも、やきもち焼きなのも、全部だいすき。だけど、私を試すためにモノを壊したり、傷つけたりするのはもう二度としないで」
しづき「ゆう……っ!」
ゆう「おいで」
優に強く抱きしめられて、私はその胸に顔を埋めて声を上げて泣いた。
壊してしまったものは、もう元には戻らない。
だけど、新しく買い直したガラスの置物と一緒に、私たちはもう一度不器用な愛を紡ぎ直していく。
窓の外を流れる雨の音を聞きながら、私は二度とこの温もりを離さないと、心の中で強く誓った。