村山美羽
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
村山美羽は、静かな場所が好きだった。
図書室、人気のない廊下、放課後の教室。
感情を表に出さず、必要以上に関わらない。それが自分のペースだと思っていた。
——ゆめと出会うまでは。
ゆめ「みう、おはよー!」
朝、教室に入った瞬間に飛んでくる声。
村山は反射的に視線を上げてしまい、内心で自分を叱る。
みう「……おはよう」
短く返すと、ゆめは満足そうに笑った。
ゆめ「今日さ、体育あるじゃん。みうと同じ班でよかった〜」
みう「それ、昨日も言ってた」
ゆめ「だって嬉しいんだもん」
あっけらかんとしたその言い方に、含みも裏もない。
村山は机に鞄を置きながら、胸の奥がざわつくのを感じていた。
みう(どうしてそんな顔で言うの……)
体育の時間。
バスケのパスが少しずれて、ゆめが転びそうになる。
みう「……危ない」
思わず腕を掴んで引き寄せる。
近くなる距離。息がかかる。
ゆめ「わ、ありがと! さすがみう!」
みう「前、ちゃんと見て」
ゆめ「はーい」
それだけ。
照れも、意識も、何もない。
村山はそっと手を離した。
みう(……私だけ)
昼休み、屋上。
二人並んでフェンスにもたれながら、空を見上げる。
ゆめ「ねえみう」
みう「なに?」
ゆめ「みうってさ、あんまり笑わないよね」
みう「別に、必要ないから」
ゆめ「でも、たまに笑うじゃん」
ゆめはそう言って、じっと村山の顔を見る。
その視線に、村山は落ち着かなくなる。
みう「……見ないで」
ゆめ「え? なんで?」
みう「理由ない」
本当はある。
見られると、全部ばれそうになるから。
放課後、委員会の仕事で遅くなった日。
廊下は夕方の光に染まり、校舎全体が静まり返っていた。
ゆめ「みう、まだ?」
教室のドアを開けて顔を出すゆめ。
みう「先に帰っていいって言ったでしょ」
ゆめ「でも一緒に帰る約束してたし」
そんな約束、した覚えはない。
でも否定しきれない自分が、もう嫌だった。
帰り道、並んで歩く二人。
影が重なって、ほどけて、また重なる。
ゆめ「みうってさ」
みう「……今日、やけに喋るね」
ゆめ「だってさ、みうといると落ち着くんだよね」
村山は足を止めた。
みう「それ、軽々しく言わないで」
ゆめ「え?」
ゆめは驚いた顔をする。
責められた理由がわからない、という顔。
ゆめ「私は……」
言いかけて、言葉を飲み込む。
みう「……なんでもない」
伝えてしまえば、この関係が壊れてしまう気がして。
みう(気づかないなら、それでいい)
そう思おうとするのに、
ゆめは無自覚に距離を詰めてくる。
ゆめ「ねえ、明日も一緒にお昼食べよ」
みうら「……考えとく」
ゆめ「絶対ね!」
笑顔で手を振るゆめを見送りながら、
村山は小さく息を吐いた。
みう(クールでいられない)
この子の前では、自分のペースも、余裕も、全部崩れていく。
それでも。
みう(……嫌じゃない)
気づかないまま隣にいる、この鈍感さが、今日も村山美羽の心を乱していた。
そしてその想いは、まだ名前を持たないまま、静かに、でも確実に育っていく。
——ゆめが気づく、その日まで。
図書室、人気のない廊下、放課後の教室。
感情を表に出さず、必要以上に関わらない。それが自分のペースだと思っていた。
——ゆめと出会うまでは。
ゆめ「みう、おはよー!」
朝、教室に入った瞬間に飛んでくる声。
村山は反射的に視線を上げてしまい、内心で自分を叱る。
みう「……おはよう」
短く返すと、ゆめは満足そうに笑った。
ゆめ「今日さ、体育あるじゃん。みうと同じ班でよかった〜」
みう「それ、昨日も言ってた」
ゆめ「だって嬉しいんだもん」
あっけらかんとしたその言い方に、含みも裏もない。
村山は机に鞄を置きながら、胸の奥がざわつくのを感じていた。
みう(どうしてそんな顔で言うの……)
体育の時間。
バスケのパスが少しずれて、ゆめが転びそうになる。
みう「……危ない」
思わず腕を掴んで引き寄せる。
近くなる距離。息がかかる。
ゆめ「わ、ありがと! さすがみう!」
みう「前、ちゃんと見て」
ゆめ「はーい」
それだけ。
照れも、意識も、何もない。
村山はそっと手を離した。
みう(……私だけ)
昼休み、屋上。
二人並んでフェンスにもたれながら、空を見上げる。
ゆめ「ねえみう」
みう「なに?」
ゆめ「みうってさ、あんまり笑わないよね」
みう「別に、必要ないから」
ゆめ「でも、たまに笑うじゃん」
ゆめはそう言って、じっと村山の顔を見る。
その視線に、村山は落ち着かなくなる。
みう「……見ないで」
ゆめ「え? なんで?」
みう「理由ない」
本当はある。
見られると、全部ばれそうになるから。
放課後、委員会の仕事で遅くなった日。
廊下は夕方の光に染まり、校舎全体が静まり返っていた。
ゆめ「みう、まだ?」
教室のドアを開けて顔を出すゆめ。
みう「先に帰っていいって言ったでしょ」
ゆめ「でも一緒に帰る約束してたし」
そんな約束、した覚えはない。
でも否定しきれない自分が、もう嫌だった。
帰り道、並んで歩く二人。
影が重なって、ほどけて、また重なる。
ゆめ「みうってさ」
みう「……今日、やけに喋るね」
ゆめ「だってさ、みうといると落ち着くんだよね」
村山は足を止めた。
みう「それ、軽々しく言わないで」
ゆめ「え?」
ゆめは驚いた顔をする。
責められた理由がわからない、という顔。
ゆめ「私は……」
言いかけて、言葉を飲み込む。
みう「……なんでもない」
伝えてしまえば、この関係が壊れてしまう気がして。
みう(気づかないなら、それでいい)
そう思おうとするのに、
ゆめは無自覚に距離を詰めてくる。
ゆめ「ねえ、明日も一緒にお昼食べよ」
みうら「……考えとく」
ゆめ「絶対ね!」
笑顔で手を振るゆめを見送りながら、
村山は小さく息を吐いた。
みう(クールでいられない)
この子の前では、自分のペースも、余裕も、全部崩れていく。
それでも。
みう(……嫌じゃない)
気づかないまま隣にいる、この鈍感さが、今日も村山美羽の心を乱していた。
そしてその想いは、まだ名前を持たないまま、静かに、でも確実に育っていく。
——ゆめが気づく、その日まで。