守屋麗奈×藤吉夏鈴
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ジリジリと照りつける夏の太陽が沈み、心地いい夜風が街を包み込む頃。
私たちは、お互いの浴衣姿を見合って、少し照れくさそうに微笑んでいた。
櫻坂46のメンバーとして過ごす日常は、華やかだけれど、常に誰かの視線にさらされている。
だからこそ、今日という特別な夏祭りの夜だけは、二人だけの世界に閉じこもりたかった。
大勢の人が集まる有名な花火大会を避け、二人でスマホを突き合わせ、必死に見つけた少し離れた静かな神社の夏祭り。
ここなら、きっと大丈夫。そう信じて、私たちは鳥居をくぐった。
都会の喧騒から離れた神社の境内は、色とりどりの提灯に照らされていた。
地元の家族連れや学生がまばらに行き交う、どこか懐かしい雰囲気。
かりん「れな、浴衣めっちゃ似合ってる。可愛い」
れな「ふふ、ありがとう。かりんちゃんの浴衣姿も、すっごく大人っぽくて格好いいよ?」
屋台から漂う甘いソースの香りに誘われながら、私たちは焼きそばを食べたり、ラムネを飲み合ったりして、普通の女の子に戻ったような楽しい時間を過ごしていた。
お互いの袖が擦れ合うたびに、なんだかいつもより胸がドキドキする。
人が少ないとはいえ、カモフラージュのために少し距離を保って歩くのが、もどかしくて仕方がなかった。
楽しい時間は、唐突に鳴り響いたノイズによって遮られた。
境内の少し外れた通路を歩いていると、背後から私たちの名前を呼ぶ、不自然に低いヒソヒソ声が聞こえてきた。
「あれ、れなぁとかりんちゃんじゃね??」
「まじ? 行ってこいよ」
「お前が行けよ、声かけてみろって」
心臓が冷たく跳ねる。
見つかってしまった。
いくら人が少ない場所を選んだとはいえ、完全に気配を消すことはできなかったみたいだ。
相手は数人の男子学生のようだった。声をかけるかどうかで揉めている。
れな「っ、かりんちゃん……」
れなが不安そうに私の浴衣の袖をぎゅっと掴む。その瞳が、怯えたように揺れていた。
声をかけられて大騒ぎになれば、せっかくの二人の時間が台無しになってしまう。
かりん「れな、こっち」
私は咄嗟にれなの手を強く握りしめ、足早に歩き出した。
周囲の賑やかさから離れるように、私たちは境内の奥、大きな御神木の影へと滑り込んだ。
そこは提灯の光も届かない、深い闇に包まれた場所。
「えーうそ! いなくなっちゃった」
「どっかにはいそうだから、祭り会場の方さがそ!」
足音が遠ざかっていく。
完全に巻くことができた。
かりん「よかった。いなくなった」
ホッと胸をなでおろし、握っていたれなの手を離そうとした時。
やけに大きな鼓動が耳に届いた。
それが自分のものなのか、それとも彼女のものなのか分からない。
急いで隠れたせいで、私たちは御神木と私に挟まれるようにして、れなを後ろからすっぽりと抱きしめるような形になっていた。
私の胸の中に、れなの小さな体がすっぽりと収まっている。
かりん「あ……ごめん、狭かったな」
少し体を離そうとすると、れなが「待って」と呟き、私の浴衣の胸元を小さく掴んだ。
見上げると、木漏れ日のような微かな光に照らされたれなの顔は、お祭りの熱気のせいだけとは思えないほど、真っ赤に染まっている。
れな「まだ、近くにいるかもしれないから……もう少し、このままでいさせて?」
かりん「……うん」
浴衣越しに伝わってくる、れなの柔らかい体温。
さっきまで怖がっていたはずなのに、今のれなの瞳は、じっと私の唇を見つめている。
近すぎる距離のせいで、お互いの吐息が混ざり合う。
れな「かりんちゃん、心臓の音、すごく速いね……」
かりん「それは、れなのせいやん。……こんな近くにいたら、おかしくなりそう」
れな「ふふ……。私も、おかしくなりそうだよ」
遠くで聞こえるお祭りの賑やかな囃子の音。
でも、今の私たちには、この狭くて暗い御神木の影だけが世界のすべてだった。
どちらからともなく重ねた唇は、夏の夜の熱を帯びて、甘く、深く、二人の秘密を刻み込んでいくのだった。
私たちは、お互いの浴衣姿を見合って、少し照れくさそうに微笑んでいた。
櫻坂46のメンバーとして過ごす日常は、華やかだけれど、常に誰かの視線にさらされている。
だからこそ、今日という特別な夏祭りの夜だけは、二人だけの世界に閉じこもりたかった。
大勢の人が集まる有名な花火大会を避け、二人でスマホを突き合わせ、必死に見つけた少し離れた静かな神社の夏祭り。
ここなら、きっと大丈夫。そう信じて、私たちは鳥居をくぐった。
都会の喧騒から離れた神社の境内は、色とりどりの提灯に照らされていた。
地元の家族連れや学生がまばらに行き交う、どこか懐かしい雰囲気。
かりん「れな、浴衣めっちゃ似合ってる。可愛い」
れな「ふふ、ありがとう。かりんちゃんの浴衣姿も、すっごく大人っぽくて格好いいよ?」
屋台から漂う甘いソースの香りに誘われながら、私たちは焼きそばを食べたり、ラムネを飲み合ったりして、普通の女の子に戻ったような楽しい時間を過ごしていた。
お互いの袖が擦れ合うたびに、なんだかいつもより胸がドキドキする。
人が少ないとはいえ、カモフラージュのために少し距離を保って歩くのが、もどかしくて仕方がなかった。
楽しい時間は、唐突に鳴り響いたノイズによって遮られた。
境内の少し外れた通路を歩いていると、背後から私たちの名前を呼ぶ、不自然に低いヒソヒソ声が聞こえてきた。
「あれ、れなぁとかりんちゃんじゃね??」
「まじ? 行ってこいよ」
「お前が行けよ、声かけてみろって」
心臓が冷たく跳ねる。
見つかってしまった。
いくら人が少ない場所を選んだとはいえ、完全に気配を消すことはできなかったみたいだ。
相手は数人の男子学生のようだった。声をかけるかどうかで揉めている。
れな「っ、かりんちゃん……」
れなが不安そうに私の浴衣の袖をぎゅっと掴む。その瞳が、怯えたように揺れていた。
声をかけられて大騒ぎになれば、せっかくの二人の時間が台無しになってしまう。
かりん「れな、こっち」
私は咄嗟にれなの手を強く握りしめ、足早に歩き出した。
周囲の賑やかさから離れるように、私たちは境内の奥、大きな御神木の影へと滑り込んだ。
そこは提灯の光も届かない、深い闇に包まれた場所。
「えーうそ! いなくなっちゃった」
「どっかにはいそうだから、祭り会場の方さがそ!」
足音が遠ざかっていく。
完全に巻くことができた。
かりん「よかった。いなくなった」
ホッと胸をなでおろし、握っていたれなの手を離そうとした時。
やけに大きな鼓動が耳に届いた。
それが自分のものなのか、それとも彼女のものなのか分からない。
急いで隠れたせいで、私たちは御神木と私に挟まれるようにして、れなを後ろからすっぽりと抱きしめるような形になっていた。
私の胸の中に、れなの小さな体がすっぽりと収まっている。
かりん「あ……ごめん、狭かったな」
少し体を離そうとすると、れなが「待って」と呟き、私の浴衣の胸元を小さく掴んだ。
見上げると、木漏れ日のような微かな光に照らされたれなの顔は、お祭りの熱気のせいだけとは思えないほど、真っ赤に染まっている。
れな「まだ、近くにいるかもしれないから……もう少し、このままでいさせて?」
かりん「……うん」
浴衣越しに伝わってくる、れなの柔らかい体温。
さっきまで怖がっていたはずなのに、今のれなの瞳は、じっと私の唇を見つめている。
近すぎる距離のせいで、お互いの吐息が混ざり合う。
れな「かりんちゃん、心臓の音、すごく速いね……」
かりん「それは、れなのせいやん。……こんな近くにいたら、おかしくなりそう」
れな「ふふ……。私も、おかしくなりそうだよ」
遠くで聞こえるお祭りの賑やかな囃子の音。
でも、今の私たちには、この狭くて暗い御神木の影だけが世界のすべてだった。
どちらからともなく重ねた唇は、夏の夜の熱を帯びて、甘く、深く、二人の秘密を刻み込んでいくのだった。