藤吉夏鈴
夢小説設定
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春の夕方。
段ボールに囲まれた部屋で、ゆめは小さく息を吐いた。
東京に来て、今日が初日。
まだ何もかもが慣れない。
ゆめ「……とりあえず、挨拶だけ」
手土産を持って、隣の部屋の前に立つ。
インターホンを押して、数秒。
扉が開いた、その瞬間——
かりん「……はい」
ゆめ「……え」
視界に入ったその顔に、息が止まる。
見慣れた顔。
でも、少し大人びた表情。
忘れるわけがない。
ゆめ「……かりん?」
かりん「……ゆめ?」
まさかの再会。
しかも、隣同士。
言葉が続かないまま、時間だけが流れる。
それから数日。
「偶然の再会」は、少しずつ「日常」になっていった。
朝、玄関を出るタイミングが重なったり。
かりん「おはよ」
ゆめ「……おはよ」
ぎこちないけど、どこか心地いい距離。
夜、コンビニ帰りに会ったり。
かりん「こんな時間まで仕事?」
ゆめ「うん、ちょっとバタバタで」
かりん「無理しすぎないでね」
その一言に、昔と同じ優しさを感じてしまう。
ある日。
かりん「……ご飯、行く?」
突然の誘い。
ゆめ「……いいの?」
かりん「うん」
ゆめ「行く」
短いやり取りなのに、心臓がうるさい。
居酒屋の個室。
向かい合って座るふたり。
少しだけ距離が縮まった気がするけど、
まだ“元恋人”という境界線は残っている。
かりん「仕事どう?」
ゆめ「慣れてきたけど、まだ大変」
かりん「そっか」
ゆめ「かりんは?」
かりん「それなりに」
会話は自然に続く。
でも——
ふとした沈黙が、昔を思い出させる。
かりん「……あのさ」
ゆめ「うん?」
かりん「今、彼女とかいるの?」
一瞬、時間が止まる。
ゆめ「……いないよ」
かりん「……そっか」
その一言に、少しだけ安心した自分がいる。
それからも、ふたりは何度か会うようになった。
休みの日にカフェに行ったり。
仕事終わりに軽くご飯に行ったり。
少しずつ、距離は近づいていく。
でも——
決定的な一歩は、踏み出せないまま。
夜。
帰り道。
街灯の下、並んで歩く。
沈黙が落ちる。
でも、嫌じゃない。
ゆめ「……ねぇ」
かりん「ん?」
ゆめ「なんで、あの時別れたんだろうね」
かりんは少しだけ歩く速度を落とした。
かりん「……怖かったから」
ゆめ「なにが?」
かりん「会えなくなるのも、気持ちが変わるのも」
ゆめ「……うん」
かりん「中途半端になるくらいなら、終わらせた方がいいって思った」
ゆめ「……私も同じ」
ふたりで、苦く笑う。
かりん「でもさ」
かりん「結局、忘れられなかった」
その言葉に、胸が強く締め付けられる。
ゆめ「……私も」
足が止まる。
夜の静けさの中で、ふたりだけが取り残されたみたいになる。
ゆめ「ずっと、どこかに残ってた。会わなくなっても、ずっと」
かりんは何も言わない。
ただ、まっすぐ見てくる。
逃げられない視線。
ゆめは、小さく息を吸う。
ゆめ「……ねぇ」
かりん「ん?」
ゆめ「もう一回、やり直さない?」
静かな告白。
派手じゃないけど、重みのある言葉。
ゆめ「今度は、逃げないでさちゃんと続けたい」
少しだけ、声が震える。
ゆめ「かりんと」
沈黙。
数秒が、永遠みたいに長い。
そして——
かりん「私も、同じこと言おうと思ってた」
小さく笑う。
でも、その目は少し潤んでいる。
かりん「……いいよ」
ゆめ「……ほんとに?」
かりん「うん」
かりん「もう一度」
一歩、距離が近づく。
かりん「今度は、離れないようにしよ」
ゆめ「……うん」
自然と、手が触れる。
そして、そっと繋がる。
あの頃はできなかった選択。
でも今なら——
ちゃんと選べる。
春の夜風が、少しだけ優しく吹いた。
段ボールに囲まれた部屋で、ゆめは小さく息を吐いた。
東京に来て、今日が初日。
まだ何もかもが慣れない。
ゆめ「……とりあえず、挨拶だけ」
手土産を持って、隣の部屋の前に立つ。
インターホンを押して、数秒。
扉が開いた、その瞬間——
かりん「……はい」
ゆめ「……え」
視界に入ったその顔に、息が止まる。
見慣れた顔。
でも、少し大人びた表情。
忘れるわけがない。
ゆめ「……かりん?」
かりん「……ゆめ?」
まさかの再会。
しかも、隣同士。
言葉が続かないまま、時間だけが流れる。
それから数日。
「偶然の再会」は、少しずつ「日常」になっていった。
朝、玄関を出るタイミングが重なったり。
かりん「おはよ」
ゆめ「……おはよ」
ぎこちないけど、どこか心地いい距離。
夜、コンビニ帰りに会ったり。
かりん「こんな時間まで仕事?」
ゆめ「うん、ちょっとバタバタで」
かりん「無理しすぎないでね」
その一言に、昔と同じ優しさを感じてしまう。
ある日。
かりん「……ご飯、行く?」
突然の誘い。
ゆめ「……いいの?」
かりん「うん」
ゆめ「行く」
短いやり取りなのに、心臓がうるさい。
居酒屋の個室。
向かい合って座るふたり。
少しだけ距離が縮まった気がするけど、
まだ“元恋人”という境界線は残っている。
かりん「仕事どう?」
ゆめ「慣れてきたけど、まだ大変」
かりん「そっか」
ゆめ「かりんは?」
かりん「それなりに」
会話は自然に続く。
でも——
ふとした沈黙が、昔を思い出させる。
かりん「……あのさ」
ゆめ「うん?」
かりん「今、彼女とかいるの?」
一瞬、時間が止まる。
ゆめ「……いないよ」
かりん「……そっか」
その一言に、少しだけ安心した自分がいる。
それからも、ふたりは何度か会うようになった。
休みの日にカフェに行ったり。
仕事終わりに軽くご飯に行ったり。
少しずつ、距離は近づいていく。
でも——
決定的な一歩は、踏み出せないまま。
夜。
帰り道。
街灯の下、並んで歩く。
沈黙が落ちる。
でも、嫌じゃない。
ゆめ「……ねぇ」
かりん「ん?」
ゆめ「なんで、あの時別れたんだろうね」
かりんは少しだけ歩く速度を落とした。
かりん「……怖かったから」
ゆめ「なにが?」
かりん「会えなくなるのも、気持ちが変わるのも」
ゆめ「……うん」
かりん「中途半端になるくらいなら、終わらせた方がいいって思った」
ゆめ「……私も同じ」
ふたりで、苦く笑う。
かりん「でもさ」
かりん「結局、忘れられなかった」
その言葉に、胸が強く締め付けられる。
ゆめ「……私も」
足が止まる。
夜の静けさの中で、ふたりだけが取り残されたみたいになる。
ゆめ「ずっと、どこかに残ってた。会わなくなっても、ずっと」
かりんは何も言わない。
ただ、まっすぐ見てくる。
逃げられない視線。
ゆめは、小さく息を吸う。
ゆめ「……ねぇ」
かりん「ん?」
ゆめ「もう一回、やり直さない?」
静かな告白。
派手じゃないけど、重みのある言葉。
ゆめ「今度は、逃げないでさちゃんと続けたい」
少しだけ、声が震える。
ゆめ「かりんと」
沈黙。
数秒が、永遠みたいに長い。
そして——
かりん「私も、同じこと言おうと思ってた」
小さく笑う。
でも、その目は少し潤んでいる。
かりん「……いいよ」
ゆめ「……ほんとに?」
かりん「うん」
かりん「もう一度」
一歩、距離が近づく。
かりん「今度は、離れないようにしよ」
ゆめ「……うん」
自然と、手が触れる。
そして、そっと繋がる。
あの頃はできなかった選択。
でも今なら——
ちゃんと選べる。
春の夜風が、少しだけ優しく吹いた。