大園玲
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放課後の教室。
窓の外は、もうオレンジ色に染まっている。
れい「……まだ帰らないの?」
何気ない一言。
ゆめ「うん、ちょっと残る」
いつも通りの返事。
それだけなのに、胸がざわつく。
れい(まただ)
理由なんて分かってる。
この時間が好きだから。
ゆめと、こうしてふたりでいる時間が。
玲は、ずっと気づいていた。
この気持ちに。
れい(……好きなんだよね)
でも。
言えるわけがない。
今の関係が、ちょうどよすぎるから。
ゆめ「れいは?」
れい「……もうちょっといる」
本当は、帰る理由なんてない。
ただ、隣にいたいだけ。
静かな教室。
時計の音だけが響く。
ゆめは、ノートに何かを書いている。
その横顔を、玲はぼーっと見てしまう。
れい(やめよ)
見てると、余計に好きになる。
でも、目が離せない。
ゆめ「なに?」
急に顔を上げられて
れい「……なんでもない」
慌てて目を逸らす。
ゆめ「絶対なんかあるでしょ」
少し笑う。
その笑顔が、また刺さる。
れい(ほんと、やめて)
優しくしないでほしい。
れい(期待しちゃうから)
ある日の昼休み。
友達と話しているゆめ。
楽しそうに笑ってる。
その姿を、遠くから見てしまう。
れい(……ああもう)
胸がざわつく。
れい(なんでこんな)
自分でも分かる。
独占したいわけじゃないのに、
見てると苦しくなる。
れい「……最悪」
小さく呟く。
れい「心がくたばるよ」
誰にも聞こえない声。
放課後。
また、ふたりだけの時間。
れいはいつも通り、隣の席に座る。
ゆめ「今日静かだね」
れい「……そう?」
ゆめ「うん」
少しだけ覗き込まれる。
近い距離。
れい(やめてって)
心臓がうるさい。
れい「……ちょっと疲れてるだけ」
ごまかす。
ゆめ「そっか」
それ以上は踏み込まない。
その優しさが、また苦しい。
れい(なんで気づかないの)
こんなに分かりやすいのに。
それとも――
れい(気づいてて、何も言わない?)
それはそれで、きつい。
どっちでも苦しい。
れい「……ねえ」
ぽつりとこぼす。
ゆめ「ん?」
れいは少しだけ迷って――
れい「……なんでもない」
結局、引っ込める。
ゆめ「またそれ?」
少しだけ笑う。
れい「……いいの」
小さく言う。
れい「言ったら終わるかもしれないし」
その一言に、ゆめの手が止まる。
ゆめ「……なにが?」
静かな声。
れいは視線を逸らしたまま。
れい「……この時間」
正直すぎる言葉。
教室の空気が、少しだけ変わる。
ゆめ「……終わらせたくないの?」
れい「……うん」
小さく頷く。
れい「だから言わない」
ぎゅっと手を握る。
れい「このままでいい」
強がり。
でも、本音。
ゆめ「……じゃあさ」
ゆっくり声が落ちる。
ゆめ「終わらないようにすればいいじゃん」
れい「……え」
顔を上げる。
ゆめ「言っても終わらない関係にすればいい」
まっすぐな目。
れい「……それ、どういう」
言い終わる前に。
ゆめ「れいのこと、好きだよ」
一言。
時間が止まる。
れい「……は?」
理解が追いつかない。
ゆめ「だから」
少しだけ笑う。
ゆめ「言っても終わらない」
その意味が、ゆっくり浸透する。
れい「……ずるい」
小さく呟く。
れい「こっちは、ずっと苦しかったのに」
ゆめ「ごめん」
でも、どこか優しい。
ゆめ「気づいてたけど、確信なかった」
れい「……なにそれ」
少しだけ笑ってしまう。
涙が滲む。
れい「ほんとに、心がくたばるかと思った」
ゆめ「生き返った?」
れい「……ちょっとだけ」
小さく笑う。
好きって気持ちは、楽しいだけじゃなくて。
苦しくて、どうしようもなくて。
それでも――
れい(それでも、いい)
この人だから。
放課後の教室。
変わらない景色の中でふたりの距離だけが、少しだけ変わっていた。
窓の外は、もうオレンジ色に染まっている。
れい「……まだ帰らないの?」
何気ない一言。
ゆめ「うん、ちょっと残る」
いつも通りの返事。
それだけなのに、胸がざわつく。
れい(まただ)
理由なんて分かってる。
この時間が好きだから。
ゆめと、こうしてふたりでいる時間が。
玲は、ずっと気づいていた。
この気持ちに。
れい(……好きなんだよね)
でも。
言えるわけがない。
今の関係が、ちょうどよすぎるから。
ゆめ「れいは?」
れい「……もうちょっといる」
本当は、帰る理由なんてない。
ただ、隣にいたいだけ。
静かな教室。
時計の音だけが響く。
ゆめは、ノートに何かを書いている。
その横顔を、玲はぼーっと見てしまう。
れい(やめよ)
見てると、余計に好きになる。
でも、目が離せない。
ゆめ「なに?」
急に顔を上げられて
れい「……なんでもない」
慌てて目を逸らす。
ゆめ「絶対なんかあるでしょ」
少し笑う。
その笑顔が、また刺さる。
れい(ほんと、やめて)
優しくしないでほしい。
れい(期待しちゃうから)
ある日の昼休み。
友達と話しているゆめ。
楽しそうに笑ってる。
その姿を、遠くから見てしまう。
れい(……ああもう)
胸がざわつく。
れい(なんでこんな)
自分でも分かる。
独占したいわけじゃないのに、
見てると苦しくなる。
れい「……最悪」
小さく呟く。
れい「心がくたばるよ」
誰にも聞こえない声。
放課後。
また、ふたりだけの時間。
れいはいつも通り、隣の席に座る。
ゆめ「今日静かだね」
れい「……そう?」
ゆめ「うん」
少しだけ覗き込まれる。
近い距離。
れい(やめてって)
心臓がうるさい。
れい「……ちょっと疲れてるだけ」
ごまかす。
ゆめ「そっか」
それ以上は踏み込まない。
その優しさが、また苦しい。
れい(なんで気づかないの)
こんなに分かりやすいのに。
それとも――
れい(気づいてて、何も言わない?)
それはそれで、きつい。
どっちでも苦しい。
れい「……ねえ」
ぽつりとこぼす。
ゆめ「ん?」
れいは少しだけ迷って――
れい「……なんでもない」
結局、引っ込める。
ゆめ「またそれ?」
少しだけ笑う。
れい「……いいの」
小さく言う。
れい「言ったら終わるかもしれないし」
その一言に、ゆめの手が止まる。
ゆめ「……なにが?」
静かな声。
れいは視線を逸らしたまま。
れい「……この時間」
正直すぎる言葉。
教室の空気が、少しだけ変わる。
ゆめ「……終わらせたくないの?」
れい「……うん」
小さく頷く。
れい「だから言わない」
ぎゅっと手を握る。
れい「このままでいい」
強がり。
でも、本音。
ゆめ「……じゃあさ」
ゆっくり声が落ちる。
ゆめ「終わらないようにすればいいじゃん」
れい「……え」
顔を上げる。
ゆめ「言っても終わらない関係にすればいい」
まっすぐな目。
れい「……それ、どういう」
言い終わる前に。
ゆめ「れいのこと、好きだよ」
一言。
時間が止まる。
れい「……は?」
理解が追いつかない。
ゆめ「だから」
少しだけ笑う。
ゆめ「言っても終わらない」
その意味が、ゆっくり浸透する。
れい「……ずるい」
小さく呟く。
れい「こっちは、ずっと苦しかったのに」
ゆめ「ごめん」
でも、どこか優しい。
ゆめ「気づいてたけど、確信なかった」
れい「……なにそれ」
少しだけ笑ってしまう。
涙が滲む。
れい「ほんとに、心がくたばるかと思った」
ゆめ「生き返った?」
れい「……ちょっとだけ」
小さく笑う。
好きって気持ちは、楽しいだけじゃなくて。
苦しくて、どうしようもなくて。
それでも――
れい(それでも、いい)
この人だから。
放課後の教室。
変わらない景色の中でふたりの距離だけが、少しだけ変わっていた。