大園玲
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夕方のオフィス。
人も少なくなってきたフロアでれいはひとり、パソコンの前に座っていた。
画面には、さっきのミスの修正内容。
れい(……やってしまった)
小さくため息をつく。
確認したはずだった。
何度も見直したはずだった。
それでも――ミスは起きた。
上司に報告したときの空気。
少しだけ重くなった空気が、まだ頭から離れない。
れい(……迷惑かけた)
手が止まる。
帰ろうと思えば帰れる時間。
でも、なんとなく立ち上がれない。
「まだいたんだ」
後ろから、声。
振り返ると――
ゆめ「残業?」
れい「……ちょっとだけ」
少しだけ視線を逸らす。
ゆめ「ミスの件?」
図星。
れい「……はい」
短く答える。
ゆめ「もう大丈夫でしょ。修正終わってるし」
れい「でも……」
言葉が詰まる。
れい「迷惑、かけちゃったので」
ぽつりとこぼす。
ゆめは少しだけ近づいて、デスクに軽く寄りかかる。
ゆめ「れいさ」
れい「はい」
ゆめ「初めてでしょ、ああいうミス」
れい「……はい」
小さく頷く。
ゆめ「なら、いいじゃん」
あっさりと言う。
れい「え」
少し驚いて顔を上げる。
ゆめ「初めてのミスは、経験値だから」
軽く笑う。
ゆめ「次やらなきゃ、それでいい」
その言葉が、思っていたよりも、ずっと優しくて。
れい(……軽いのに、ちゃんと届く)
れい「……でも、悔しいです」
素直にこぼれる。
れい「ちゃんとやりたかったのに」
指先をぎゅっと握る。
ゆめ「うん」
否定しない。
ゆめ「悔しいって思えるなら、大丈夫だよ」
ゆめ「成長する人って、そういう人だから」
その一言で、胸の奥が少しだけほどける。
れい「……ありがとうございます」
自然と、笑みがこぼれる。
ゆめ「やっと笑った」
そう言って、少しだけ目を細める。
ゆめ「さっきまで、めっちゃ落ち込んでる顔してたよ」
れい「……見られてました?」
ゆめ「ばっちり」
少しだけ恥ずかしくなる。
れい「……あんまり見ないでください」
ゆめ「なんで」
れい「……かっこ悪いので」
小さく言うと
ゆめ「全然」
ゆめ「むしろ、いいと思う」
その言葉に、一瞬止まる。
れい「……いい、ですか?」
ゆめ「うん」
真っ直ぐな目。
ゆめ「ちゃんと頑張ってる証拠でしょ」
その視線に、なぜか逸らせなくなる。
れい(……なんだろう、この感じ)
胸の奥が、少しだけあたたかい。
――それから。
れいは少しずつ、ゆめと話すことが増えた。
仕事のこと、ちょっとした雑談。
ゆめは、いつも自然で、気負わせない距離で接してくる。
ゆめ「れいってさ、真面目だよね」
れい「そうですか?」
ゆめ「うん。ちゃんと考えて動いてる」
軽く言うその言葉が、なぜか嬉しい。
れい(……この人、ちゃんと見てる)
肩書きでもなく、ミスでもなく。
“自分”を。
――ある日。
また少しだけ忙しい日。
れいは資料をまとめながら、小さく息をつく。
れい(……よし)
一息ついたとき。
ゆめ「頑張ってるね」
後ろから声。
れい「……見てました?」
ゆめ「うん」
いつも通りの返事。
れい「ほんとに、よく見てますよね」
ゆめ「見ちゃうんだよね」
その言い方が、少しだけ違って聞こえる。
れい「……なんでですか?」
思わず聞いてしまう。
ゆめは、少しだけ間を置いて――
ゆめ「気になるから」
さらっと言う。
れい「……え」
一瞬、理解が追いつかない。
ゆめ「最初のミスのときからさ」
少しだけ笑う。
ゆめ「れいのこと、目で追うようになった」
胸が、大きく跳ねる。
れい(……それって)
ゆめ「頑張ってるとこも」
ゆめ「悔しそうなとこも」
一つ一つ、言葉にする。
ゆめ「全部、いいなって思ってる」
その言葉に、息が止まる。
れい「……それ、ずるいです」
小さく呟く。
ゆめ「なにが」
れい「そうやって、優しくするところ」
視線を落とす。
れい「……好きになりますよ」
ぽつり、と。
空気が、少しだけ変わる。
ゆめ「……もうなってる?」
少しだけ低い声。
れいは、ゆっくり顔を上げて――
れい「……なってます」
はっきり言う。
心臓がうるさい。
でも、逃げない。
ゆめ「……そっか」
少しだけ、柔らかく笑う。
ゆめ「じゃあ、ちゃんと責任とる」
れい「……責任?」
ゆめ「中途半端に優しくしたくないから」
一歩、近づく。
ゆめ「ちゃんと、隣にいる」
その言葉が、まっすぐ胸に届く。
れい「……じゃあ」
少しだけ笑う。
れい「これからも、見ててください」
ゆめ「もちろん」
その距離で、目が合う。
れい(……あのミスがなかったら)
きっと、気づかなかった。
この気持ちも、この距離も。
小さな失敗が、大きな出会いに変わった瞬間だった。
人も少なくなってきたフロアでれいはひとり、パソコンの前に座っていた。
画面には、さっきのミスの修正内容。
れい(……やってしまった)
小さくため息をつく。
確認したはずだった。
何度も見直したはずだった。
それでも――ミスは起きた。
上司に報告したときの空気。
少しだけ重くなった空気が、まだ頭から離れない。
れい(……迷惑かけた)
手が止まる。
帰ろうと思えば帰れる時間。
でも、なんとなく立ち上がれない。
「まだいたんだ」
後ろから、声。
振り返ると――
ゆめ「残業?」
れい「……ちょっとだけ」
少しだけ視線を逸らす。
ゆめ「ミスの件?」
図星。
れい「……はい」
短く答える。
ゆめ「もう大丈夫でしょ。修正終わってるし」
れい「でも……」
言葉が詰まる。
れい「迷惑、かけちゃったので」
ぽつりとこぼす。
ゆめは少しだけ近づいて、デスクに軽く寄りかかる。
ゆめ「れいさ」
れい「はい」
ゆめ「初めてでしょ、ああいうミス」
れい「……はい」
小さく頷く。
ゆめ「なら、いいじゃん」
あっさりと言う。
れい「え」
少し驚いて顔を上げる。
ゆめ「初めてのミスは、経験値だから」
軽く笑う。
ゆめ「次やらなきゃ、それでいい」
その言葉が、思っていたよりも、ずっと優しくて。
れい(……軽いのに、ちゃんと届く)
れい「……でも、悔しいです」
素直にこぼれる。
れい「ちゃんとやりたかったのに」
指先をぎゅっと握る。
ゆめ「うん」
否定しない。
ゆめ「悔しいって思えるなら、大丈夫だよ」
ゆめ「成長する人って、そういう人だから」
その一言で、胸の奥が少しだけほどける。
れい「……ありがとうございます」
自然と、笑みがこぼれる。
ゆめ「やっと笑った」
そう言って、少しだけ目を細める。
ゆめ「さっきまで、めっちゃ落ち込んでる顔してたよ」
れい「……見られてました?」
ゆめ「ばっちり」
少しだけ恥ずかしくなる。
れい「……あんまり見ないでください」
ゆめ「なんで」
れい「……かっこ悪いので」
小さく言うと
ゆめ「全然」
ゆめ「むしろ、いいと思う」
その言葉に、一瞬止まる。
れい「……いい、ですか?」
ゆめ「うん」
真っ直ぐな目。
ゆめ「ちゃんと頑張ってる証拠でしょ」
その視線に、なぜか逸らせなくなる。
れい(……なんだろう、この感じ)
胸の奥が、少しだけあたたかい。
――それから。
れいは少しずつ、ゆめと話すことが増えた。
仕事のこと、ちょっとした雑談。
ゆめは、いつも自然で、気負わせない距離で接してくる。
ゆめ「れいってさ、真面目だよね」
れい「そうですか?」
ゆめ「うん。ちゃんと考えて動いてる」
軽く言うその言葉が、なぜか嬉しい。
れい(……この人、ちゃんと見てる)
肩書きでもなく、ミスでもなく。
“自分”を。
――ある日。
また少しだけ忙しい日。
れいは資料をまとめながら、小さく息をつく。
れい(……よし)
一息ついたとき。
ゆめ「頑張ってるね」
後ろから声。
れい「……見てました?」
ゆめ「うん」
いつも通りの返事。
れい「ほんとに、よく見てますよね」
ゆめ「見ちゃうんだよね」
その言い方が、少しだけ違って聞こえる。
れい「……なんでですか?」
思わず聞いてしまう。
ゆめは、少しだけ間を置いて――
ゆめ「気になるから」
さらっと言う。
れい「……え」
一瞬、理解が追いつかない。
ゆめ「最初のミスのときからさ」
少しだけ笑う。
ゆめ「れいのこと、目で追うようになった」
胸が、大きく跳ねる。
れい(……それって)
ゆめ「頑張ってるとこも」
ゆめ「悔しそうなとこも」
一つ一つ、言葉にする。
ゆめ「全部、いいなって思ってる」
その言葉に、息が止まる。
れい「……それ、ずるいです」
小さく呟く。
ゆめ「なにが」
れい「そうやって、優しくするところ」
視線を落とす。
れい「……好きになりますよ」
ぽつり、と。
空気が、少しだけ変わる。
ゆめ「……もうなってる?」
少しだけ低い声。
れいは、ゆっくり顔を上げて――
れい「……なってます」
はっきり言う。
心臓がうるさい。
でも、逃げない。
ゆめ「……そっか」
少しだけ、柔らかく笑う。
ゆめ「じゃあ、ちゃんと責任とる」
れい「……責任?」
ゆめ「中途半端に優しくしたくないから」
一歩、近づく。
ゆめ「ちゃんと、隣にいる」
その言葉が、まっすぐ胸に届く。
れい「……じゃあ」
少しだけ笑う。
れい「これからも、見ててください」
ゆめ「もちろん」
その距離で、目が合う。
れい(……あのミスがなかったら)
きっと、気づかなかった。
この気持ちも、この距離も。
小さな失敗が、大きな出会いに変わった瞬間だった。