森田ひかる
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大学の帰り道。
いつもと同じ並び、同じ距離。
それが当たり前みたいに続いている。
ひかる「……また告白されたんでしょ」
ゆめ「なんで知ってんの」
ひかる「噂、回るの早いから」
ゆめ「あー……断ったけどね」
ひかる「ふーん」
平然を装う。
慣れてるから。
こういう話、何回も聞いてきた。
ひかる(……またか)
胸の奥が、少しだけ痛む。
ひかる「なんで付き合わないの」
ゆめ「んー、なんか違うなって」
ひかる「毎回それじゃん」
ゆめ「そう?」
ひかる「そう」
軽く笑ってるその横顔が、少しだけ遠く感じる。
ひかる(……わたしは、違うのかな)
言えないまま、ずっと隣にいる。
――幼なじみ、だから。
雨の日。
講義が終わった頃には、外はしっかり降り出していた。
ゆめ「うわ、やば」
ひかる「傘ある?」
ゆめ「ない」
ひかる「はい、入って」
小さな傘の中、自然と距離が近くなる。
ゆめ「ありがと」
ひかる「別に」
肩が触れそうで触れない距離。
それだけで、意識してしまう。
ひかる(……やめてよ)
平気な顔なんて、できるわけない。
ゆめ「ひかるってさ」
ひかる「なに」
ゆめ「恋人作んないの?」
ひかる「……いらない」
ゆめ「なんで」
ひかる「……好きな人いるから」
ぽつりと、こぼれる。
ゆめ「へえ」
軽い返事。
いつも通り。
ひかる(……ほんと、鈍い)
少しだけ、悔しくなる。
ひかる「誰だと思う?」
ゆめ「んー……わかんない」
やっぱり、気づかない。
ひかる(そっか)
笑ってごまかすしかない。
――そのとき。
足元の水たまりで、
つるっと滑る。
ひかる「っ、危な――」
バランスを崩して、前に倒れそうになる。
ゆめ「ひかる!」
とっさに腕を引かれて――
――そのまま。
唇が、触れた。
一瞬。
ほんの一瞬なのに時間が止まったみたいだった。
ひかる「……っ!」
すぐに離れる。
雨音だけが、大きく聞こえる。
ゆめ「……ごめん!」
慌てた声。
ゆめ「今の、事故だから!」
その言葉に、胸の奥が、きゅっと締まる。
ひかる「……うん」
笑おうとするけど、うまくできない。
ひかる「カウントしないやつだね」
冗談っぽく言う。
ゆめ「そうそう、ノーカン!」
いつも通りの軽さ。
でも――
ひかる(……ノーカン、か)
さっきの感触が、まだ残ってるのに。
――帰り道の途中、ふたりとも、少しだけ無口になる。
ゆめ「……さっきの、ほんとごめんね」
ひかる「いいよ、事故だし」
それで終わり。
終わりにしなきゃいけないのに。
ひかる「……でもさ」
ゆめ「ん?」
足を止める。
ひかる「ほんとに、ノーカンでいいの?」
自分でも、何言ってるのか分からない。
ゆめ「え?」
少し戸惑った顔。
ひかる「わたしは……」
言葉が詰まる。
でも、止まれない。
ひかる「カウントしたい」
静かな声。
ゆめ「……ひかる?」
真っ直ぐ見つめる。
ひかる「だって、好きだから」
雨音の中でも、はっきり聞こえるくらいの声で。
ひかる「ずっと、好きだった」
全部、こぼれる。
ひかる「幼なじみのままじゃ、やだった」
視界が少し滲む。
ひかる「……なのに、ノーカンって言われたら」
言い切れないまま、視線を落とす。
そのとき。
――手を、引かれる。
ゆめ「……ずるい」
小さく呟く声。
ひかる「なにが」
顔を上げると、すぐ近くにいる。
ゆめ「そんなの、ノーカンにできるわけないじゃん」
少し困ったように笑う。
ゆめ「さっきのキス、ずっとドキドキしてる」
胸が、一気に熱くなる。
ゆめ「今までと、なんか違うって思ってたけど」
ゆっくり、言葉を選ぶ。
ゆめ「たぶん、これだ」
ひかる「……なに」
ゆめ「ひかるのこと、好き」
雨の中、時間が止まる。
ひかる「……ほんとに?」
ゆめ「うん」
少しだけ照れた顔。
ゆめ「今まで、なんで気づかなかったんだろ」
その言葉に、思わず笑ってしまう。
ひかる「遅いよ」
でも、嬉しくて仕方ない。
ゆめ「ごめん」
少しだけ近づく。
ゆめ「だからさ」
ひかる「うん」
ゆめ「今度は、ちゃんとカウントしていい?」
息が止まりそうになる。
ひかる「……いいよ」
小さく頷く。
ひかる「何回でも」
その返事に、少しだけ笑って――
今度は、ゆっくりと。
ちゃんとしたキスをした。
雨の中でも、はっきり分かるくらい。
それはもう、“事故”なんかじゃなかった。
いつもと同じ並び、同じ距離。
それが当たり前みたいに続いている。
ひかる「……また告白されたんでしょ」
ゆめ「なんで知ってんの」
ひかる「噂、回るの早いから」
ゆめ「あー……断ったけどね」
ひかる「ふーん」
平然を装う。
慣れてるから。
こういう話、何回も聞いてきた。
ひかる(……またか)
胸の奥が、少しだけ痛む。
ひかる「なんで付き合わないの」
ゆめ「んー、なんか違うなって」
ひかる「毎回それじゃん」
ゆめ「そう?」
ひかる「そう」
軽く笑ってるその横顔が、少しだけ遠く感じる。
ひかる(……わたしは、違うのかな)
言えないまま、ずっと隣にいる。
――幼なじみ、だから。
雨の日。
講義が終わった頃には、外はしっかり降り出していた。
ゆめ「うわ、やば」
ひかる「傘ある?」
ゆめ「ない」
ひかる「はい、入って」
小さな傘の中、自然と距離が近くなる。
ゆめ「ありがと」
ひかる「別に」
肩が触れそうで触れない距離。
それだけで、意識してしまう。
ひかる(……やめてよ)
平気な顔なんて、できるわけない。
ゆめ「ひかるってさ」
ひかる「なに」
ゆめ「恋人作んないの?」
ひかる「……いらない」
ゆめ「なんで」
ひかる「……好きな人いるから」
ぽつりと、こぼれる。
ゆめ「へえ」
軽い返事。
いつも通り。
ひかる(……ほんと、鈍い)
少しだけ、悔しくなる。
ひかる「誰だと思う?」
ゆめ「んー……わかんない」
やっぱり、気づかない。
ひかる(そっか)
笑ってごまかすしかない。
――そのとき。
足元の水たまりで、
つるっと滑る。
ひかる「っ、危な――」
バランスを崩して、前に倒れそうになる。
ゆめ「ひかる!」
とっさに腕を引かれて――
――そのまま。
唇が、触れた。
一瞬。
ほんの一瞬なのに時間が止まったみたいだった。
ひかる「……っ!」
すぐに離れる。
雨音だけが、大きく聞こえる。
ゆめ「……ごめん!」
慌てた声。
ゆめ「今の、事故だから!」
その言葉に、胸の奥が、きゅっと締まる。
ひかる「……うん」
笑おうとするけど、うまくできない。
ひかる「カウントしないやつだね」
冗談っぽく言う。
ゆめ「そうそう、ノーカン!」
いつも通りの軽さ。
でも――
ひかる(……ノーカン、か)
さっきの感触が、まだ残ってるのに。
――帰り道の途中、ふたりとも、少しだけ無口になる。
ゆめ「……さっきの、ほんとごめんね」
ひかる「いいよ、事故だし」
それで終わり。
終わりにしなきゃいけないのに。
ひかる「……でもさ」
ゆめ「ん?」
足を止める。
ひかる「ほんとに、ノーカンでいいの?」
自分でも、何言ってるのか分からない。
ゆめ「え?」
少し戸惑った顔。
ひかる「わたしは……」
言葉が詰まる。
でも、止まれない。
ひかる「カウントしたい」
静かな声。
ゆめ「……ひかる?」
真っ直ぐ見つめる。
ひかる「だって、好きだから」
雨音の中でも、はっきり聞こえるくらいの声で。
ひかる「ずっと、好きだった」
全部、こぼれる。
ひかる「幼なじみのままじゃ、やだった」
視界が少し滲む。
ひかる「……なのに、ノーカンって言われたら」
言い切れないまま、視線を落とす。
そのとき。
――手を、引かれる。
ゆめ「……ずるい」
小さく呟く声。
ひかる「なにが」
顔を上げると、すぐ近くにいる。
ゆめ「そんなの、ノーカンにできるわけないじゃん」
少し困ったように笑う。
ゆめ「さっきのキス、ずっとドキドキしてる」
胸が、一気に熱くなる。
ゆめ「今までと、なんか違うって思ってたけど」
ゆっくり、言葉を選ぶ。
ゆめ「たぶん、これだ」
ひかる「……なに」
ゆめ「ひかるのこと、好き」
雨の中、時間が止まる。
ひかる「……ほんとに?」
ゆめ「うん」
少しだけ照れた顔。
ゆめ「今まで、なんで気づかなかったんだろ」
その言葉に、思わず笑ってしまう。
ひかる「遅いよ」
でも、嬉しくて仕方ない。
ゆめ「ごめん」
少しだけ近づく。
ゆめ「だからさ」
ひかる「うん」
ゆめ「今度は、ちゃんとカウントしていい?」
息が止まりそうになる。
ひかる「……いいよ」
小さく頷く。
ひかる「何回でも」
その返事に、少しだけ笑って――
今度は、ゆっくりと。
ちゃんとしたキスをした。
雨の中でも、はっきり分かるくらい。
それはもう、“事故”なんかじゃなかった。