ほのれい
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駅前の花屋には、いつも静かな音楽と、花の匂いがあった。
ほの「……こんにちは」
ぞのお「いらっしゃいませ」
低くて落ち着いた声。
エプロン姿のその人は、いつも花に触れる手が丁寧だった。
ほのは、何度目か分からない来店でも、少し緊張する。
ほの「今日は……白い花がいいです」
ぞのお「白、好きなんですね」
ほの「……はい」
本当は、
“あなたがいるから”来ているだけなのに。
通ううちに、会話は少しずつ増えた。
ぞのお「今日はお仕事帰りですか」
ほの「はい。疲れてて……」
ぞのお「じゃあ、香りが優しいのにしましょう」
差し出された花束を受け取るたび、胸の奥が、じんわり熱くなる。
ほの「……ぞのおくん」
ぞのお「はい」
名前を呼ぶだけで、恋をしていることが、はっきりしてしまう。
ある日、店の入口に貼り紙が出ていた。
《今月末で閉店します》
ほの「……」
中に入ると、ぞのおくんはいつも通りだった。
ぞのお「いらっしゃいませ」
ほの「……ここ、なくなるんですね」
ぞのお「はい。少し遠くで、別の店を手伝うことになって」
ほの「……そっか」
それ以上、聞けなかった。
どこかも、いつからも。
閉店前、最後の日。
ほの「今日は……自分用で」
ぞのお「いいですね」
作られた花束は、今までで一番きれいだった。
ほの「……ぞのおくん」
ぞのお「はい」
ほの「……好きでした」
視線を下げたまま、そう言った。
ぞのお「……ありがとう」
それだけだった。
ぞのお「あなたみたいに、花を大事に見る人はきっとどこにいても大丈夫です」
ほの「……」
ぞのお「僕は、そう思います」
それ以上、踏み込んでこない距離。
でも、やさしさは嘘じゃなかった。
数日後。
花屋はもう、別の店になっていた。
部屋に飾った花は、少しずつ色を変えていく。
ほの「……ぞのおくん」
名前を呼んでも、返事はない。
それでも、あの人は最後まで“花屋のひと”だった。
恋は、恋のまま終わった。
触れられなくても、確かに、心に咲いていた。
ほの「……こんにちは」
ぞのお「いらっしゃいませ」
低くて落ち着いた声。
エプロン姿のその人は、いつも花に触れる手が丁寧だった。
ほのは、何度目か分からない来店でも、少し緊張する。
ほの「今日は……白い花がいいです」
ぞのお「白、好きなんですね」
ほの「……はい」
本当は、
“あなたがいるから”来ているだけなのに。
通ううちに、会話は少しずつ増えた。
ぞのお「今日はお仕事帰りですか」
ほの「はい。疲れてて……」
ぞのお「じゃあ、香りが優しいのにしましょう」
差し出された花束を受け取るたび、胸の奥が、じんわり熱くなる。
ほの「……ぞのおくん」
ぞのお「はい」
名前を呼ぶだけで、恋をしていることが、はっきりしてしまう。
ある日、店の入口に貼り紙が出ていた。
《今月末で閉店します》
ほの「……」
中に入ると、ぞのおくんはいつも通りだった。
ぞのお「いらっしゃいませ」
ほの「……ここ、なくなるんですね」
ぞのお「はい。少し遠くで、別の店を手伝うことになって」
ほの「……そっか」
それ以上、聞けなかった。
どこかも、いつからも。
閉店前、最後の日。
ほの「今日は……自分用で」
ぞのお「いいですね」
作られた花束は、今までで一番きれいだった。
ほの「……ぞのおくん」
ぞのお「はい」
ほの「……好きでした」
視線を下げたまま、そう言った。
ぞのお「……ありがとう」
それだけだった。
ぞのお「あなたみたいに、花を大事に見る人はきっとどこにいても大丈夫です」
ほの「……」
ぞのお「僕は、そう思います」
それ以上、踏み込んでこない距離。
でも、やさしさは嘘じゃなかった。
数日後。
花屋はもう、別の店になっていた。
部屋に飾った花は、少しずつ色を変えていく。
ほの「……ぞのおくん」
名前を呼んでも、返事はない。
それでも、あの人は最後まで“花屋のひと”だった。
恋は、恋のまま終わった。
触れられなくても、確かに、心に咲いていた。