森田ひかる
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
運営「合格者の発表を行います」
番号が呼ばれるたび、空気が張りつめる。
ひかるは祈るように手を握っていた。
運営「……森田ひかる」
一瞬、息が止まる。
ひかる「……はい」
前に出た瞬間、視界の端でゆめの姿が揺れた。
運営「ゆめ」
その名前が続いて呼ばれたとき、胸が強く鳴った。
――一緒だ。
嬉しさと同時に、怖さも押し寄せる。
レッスン初日。
整列したメンバーの中で、二人は偶然、隣同士になった。
ひかる「……よろしくお願いします」
ひかるは、あえて敬語で言った。
ゆめ「こちらこそ、よろしくお願いします」
ゆめも同じように、距離を保つ声。
視線は合わない。
でも、分かる。
――意識してる。
幼なじみだってこと、誰にも言わない。
自然に決まった“暗黙の約束”。
休憩中、他のメンバーが盛り上がる中、二人は少し離れた場所に立っていた。
てん「ひかるって、落ち着いてるよね」
天がそう言うと、ゆめは小さく頷くだけ。
本当は知ってる。
泣き虫だったことも、負けず嫌いなところも。
でも言えない。
夜、寮の部屋。
ベッドに横になりながら、ひかるは天井を見る。
ひかる(こんなに近いのに……)
レッスンで声を掛け合う。
ダンスでフォーメーションが重なる。
でも、それだけ。
昔みたいに名前を呼べない。
笑い合えない。
ある日、ダンス練習でミスをしたひかるに、スタッフが少し強い口調で注意をした。
ひかる「……」
俯いた瞬間、隣に立つゆめの拳が、ぎゅっと握られたのが見えた。
でも、何も言わない。
休憩時間、ひかるが一人で水を飲んでいると、
ゆめが隣に来た。
ゆめ「……大丈夫?」
小さな声。
周りに聞こえないように。
ひかる「……うん」
それだけの会話。
でも、その一言が、胸に染みた。
ゆめ「昔みたいに、名前呼びたいね」
ゆめが、ぽつりと言う。
ひかる「……だめ」
ひかるは首を振った。
ひかる「今は、メンバーだから」
そう言い聞かせるみたいに。
デビューが決まり、取材が増えていく。
記者「皆さん、仲はいいですか?」
全員「はい!」
笑顔で答える。
でも、ひかるの視線は一瞬だけゆめに向いた。
ひかる(本当は、ずっと前から一緒だった)
言えない秘密。
誰にも見せない距離。
それでも。
ステージに立つとき、ひかるは必ず、ゆめが見える位置を探してしまう。
照明の中で、目が合う。
ほんの一瞬。
誰にも気づかれないほど短く。
――だいじょうぶ。
そう言われている気がして、ひかるは、そっと微笑んだ。
秘密のままでも、二人は同じ夢の中にいる。
ゆめ「……大丈夫?」
リハーサル中、フォーメーション移動の一瞬。
ゆめの声が、いつもより近くで聞こえた。
ひかる「……うん」
そう答えたけど、ひかるは自分でも分かっていた。
今日は、少しおかしい。
頭が重い。
足に力が入らない。
それでも止まれなかった。
スタッフ「もう一回いきます!」
音楽が流れる。
振り付けをなぞるだけで精一杯。
そして――
視界が、ふっと暗くなった。
ひかる「……っ」
よろけた瞬間、誰かに腕を掴まれた。
ゆめ「ひかる!!」
はっきりと、名前を呼ぶ声。
次の瞬間、静まり返るスタジオ。
ゆめ「あ……」
しまった、と思った。
あまりにも、自然に。
あまりにも、近すぎた。
てん「……大丈夫!?ひかる!」
ゆめは、ひかるの肩を抱いたまま離れなかった。
「ちょ、ちょっと……」
周囲のメンバーがざわつく。
「そんな呼び方してたっけ?」
「意外と距離近くない?」
スタッフが駆け寄る。
スタッフ「少し休もう、無理しないで」
ひかるは、ぼんやりした頭で、
ゆめの袖を掴んだ。
ひかる「……行かないで」
小さく、でもはっきりと。
――完全に、幼なじみの声だった。
控室。
ソファに座らされ、冷たいタオルを額に当てられる。
ゆめ「熱あるね……」
ゆめは、周りを気にしながら、ひかるの前にしゃがんだ。
ゆめゆめ「……ちゃんと食べた?」
ひかる「……ちょっと」
ゆめ「だから言ったでしょ」
言いかけて、はっと口を閉じる。
ひかる「……ごめん」
ひかるは目を閉じたまま、ぽつりと言う。
ひかる「迷惑、かけて」
ゆめ「迷惑じゃない」
即答だった。
そして、しまった、という顔。
ゆめ「……あ」
ひかるは、ゆっくり目を開けて、ゆめを見る。
ひかる「今の……」
ゆめ「……」
二人の間に、重たい沈黙。
ドアの向こうから、他のメンバーの声が聞こえる。
「大丈夫そう?」
「心配だよね」
ゆめは、ひかるの手を、そっと握った。
ゆめ「……昔みたいに、放っておけないだけ」
声は低く、優しかった。
ひかる「……名前呼ばないでって言ったのに」
ゆめ「ごめん」
ゆめ「……でも」
ひかるは、少しだけ力を込めた。
ひかる「呼ばれたの、嫌じゃなかった」
ゆめの手が、ぴくっと動く。
ひかる「……幼稚園の時さ」
ひかるが続ける。
ひかる「熱出すと、いつも手、握ってくれた」
ゆめ「覚えてる」
小さく笑う。
ひかる「氷持ってきて、頭冷やして」
ゆめ「……懐かしい」
その瞬間、ドアがノックされた。
スタッフ「入るよー」
慌てて、ゆめは手を離す。
ひかる「もう大丈夫そうです」
ひかるも、何事もなかったように座り直す。
完璧な“メンバーの距離”。
でも。
部屋を出るとき、すれ違いざま、ゆめが小さく囁いた。
ゆめ「……無理するなよ」
敬語じゃない。
メンバーとしても、幼なじみとしても、曖昧な一言。
ひかるは、ほんの一瞬だけ微笑んだ。
ひかる(……ばれちゃう)
そう思いながらも、胸の奥は、あたたかかった。
番号が呼ばれるたび、空気が張りつめる。
ひかるは祈るように手を握っていた。
運営「……森田ひかる」
一瞬、息が止まる。
ひかる「……はい」
前に出た瞬間、視界の端でゆめの姿が揺れた。
運営「ゆめ」
その名前が続いて呼ばれたとき、胸が強く鳴った。
――一緒だ。
嬉しさと同時に、怖さも押し寄せる。
レッスン初日。
整列したメンバーの中で、二人は偶然、隣同士になった。
ひかる「……よろしくお願いします」
ひかるは、あえて敬語で言った。
ゆめ「こちらこそ、よろしくお願いします」
ゆめも同じように、距離を保つ声。
視線は合わない。
でも、分かる。
――意識してる。
幼なじみだってこと、誰にも言わない。
自然に決まった“暗黙の約束”。
休憩中、他のメンバーが盛り上がる中、二人は少し離れた場所に立っていた。
てん「ひかるって、落ち着いてるよね」
天がそう言うと、ゆめは小さく頷くだけ。
本当は知ってる。
泣き虫だったことも、負けず嫌いなところも。
でも言えない。
夜、寮の部屋。
ベッドに横になりながら、ひかるは天井を見る。
ひかる(こんなに近いのに……)
レッスンで声を掛け合う。
ダンスでフォーメーションが重なる。
でも、それだけ。
昔みたいに名前を呼べない。
笑い合えない。
ある日、ダンス練習でミスをしたひかるに、スタッフが少し強い口調で注意をした。
ひかる「……」
俯いた瞬間、隣に立つゆめの拳が、ぎゅっと握られたのが見えた。
でも、何も言わない。
休憩時間、ひかるが一人で水を飲んでいると、
ゆめが隣に来た。
ゆめ「……大丈夫?」
小さな声。
周りに聞こえないように。
ひかる「……うん」
それだけの会話。
でも、その一言が、胸に染みた。
ゆめ「昔みたいに、名前呼びたいね」
ゆめが、ぽつりと言う。
ひかる「……だめ」
ひかるは首を振った。
ひかる「今は、メンバーだから」
そう言い聞かせるみたいに。
デビューが決まり、取材が増えていく。
記者「皆さん、仲はいいですか?」
全員「はい!」
笑顔で答える。
でも、ひかるの視線は一瞬だけゆめに向いた。
ひかる(本当は、ずっと前から一緒だった)
言えない秘密。
誰にも見せない距離。
それでも。
ステージに立つとき、ひかるは必ず、ゆめが見える位置を探してしまう。
照明の中で、目が合う。
ほんの一瞬。
誰にも気づかれないほど短く。
――だいじょうぶ。
そう言われている気がして、ひかるは、そっと微笑んだ。
秘密のままでも、二人は同じ夢の中にいる。
ゆめ「……大丈夫?」
リハーサル中、フォーメーション移動の一瞬。
ゆめの声が、いつもより近くで聞こえた。
ひかる「……うん」
そう答えたけど、ひかるは自分でも分かっていた。
今日は、少しおかしい。
頭が重い。
足に力が入らない。
それでも止まれなかった。
スタッフ「もう一回いきます!」
音楽が流れる。
振り付けをなぞるだけで精一杯。
そして――
視界が、ふっと暗くなった。
ひかる「……っ」
よろけた瞬間、誰かに腕を掴まれた。
ゆめ「ひかる!!」
はっきりと、名前を呼ぶ声。
次の瞬間、静まり返るスタジオ。
ゆめ「あ……」
しまった、と思った。
あまりにも、自然に。
あまりにも、近すぎた。
てん「……大丈夫!?ひかる!」
ゆめは、ひかるの肩を抱いたまま離れなかった。
「ちょ、ちょっと……」
周囲のメンバーがざわつく。
「そんな呼び方してたっけ?」
「意外と距離近くない?」
スタッフが駆け寄る。
スタッフ「少し休もう、無理しないで」
ひかるは、ぼんやりした頭で、
ゆめの袖を掴んだ。
ひかる「……行かないで」
小さく、でもはっきりと。
――完全に、幼なじみの声だった。
控室。
ソファに座らされ、冷たいタオルを額に当てられる。
ゆめ「熱あるね……」
ゆめは、周りを気にしながら、ひかるの前にしゃがんだ。
ゆめゆめ「……ちゃんと食べた?」
ひかる「……ちょっと」
ゆめ「だから言ったでしょ」
言いかけて、はっと口を閉じる。
ひかる「……ごめん」
ひかるは目を閉じたまま、ぽつりと言う。
ひかる「迷惑、かけて」
ゆめ「迷惑じゃない」
即答だった。
そして、しまった、という顔。
ゆめ「……あ」
ひかるは、ゆっくり目を開けて、ゆめを見る。
ひかる「今の……」
ゆめ「……」
二人の間に、重たい沈黙。
ドアの向こうから、他のメンバーの声が聞こえる。
「大丈夫そう?」
「心配だよね」
ゆめは、ひかるの手を、そっと握った。
ゆめ「……昔みたいに、放っておけないだけ」
声は低く、優しかった。
ひかる「……名前呼ばないでって言ったのに」
ゆめ「ごめん」
ゆめ「……でも」
ひかるは、少しだけ力を込めた。
ひかる「呼ばれたの、嫌じゃなかった」
ゆめの手が、ぴくっと動く。
ひかる「……幼稚園の時さ」
ひかるが続ける。
ひかる「熱出すと、いつも手、握ってくれた」
ゆめ「覚えてる」
小さく笑う。
ひかる「氷持ってきて、頭冷やして」
ゆめ「……懐かしい」
その瞬間、ドアがノックされた。
スタッフ「入るよー」
慌てて、ゆめは手を離す。
ひかる「もう大丈夫そうです」
ひかるも、何事もなかったように座り直す。
完璧な“メンバーの距離”。
でも。
部屋を出るとき、すれ違いざま、ゆめが小さく囁いた。
ゆめ「……無理するなよ」
敬語じゃない。
メンバーとしても、幼なじみとしても、曖昧な一言。
ひかるは、ほんの一瞬だけ微笑んだ。
ひかる(……ばれちゃう)
そう思いながらも、胸の奥は、あたたかかった。