大園玲
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夕暮れ時の教室。
オレンジ色の西日が差し込む
中、大園玲は自分の机に突っ伏しながら隣の席にいるゆめの横顔をじっと見つめていた。
れい(好きだなぁ……本当に、どうしようもないくらい)
胸の奥がキュッと締め付けられるような、甘くて苦しい感覚。
高校最後の文化祭まで、あと一週間。
この数ヶ月間、玲の頭の中はゆめのことでいっぱいだった。
普段はクールだねと言われることの多い玲だったが、ゆめの前でだけは、気持ちを隠すのに必死で余裕なんてなくなってしまう。
今回の文化祭、玲にはどうしても成し遂げたい密かな決意があった。
それは、文化祭のフィナーレに行われる夜のキャンプファイヤーでゆめに自分の気持ちを伝えること。
まずはその第一歩として、当日一緒に回る約束を取り付けなければならない。
れい「……ねぇ、ゆめ」
玲は思い切って声をかけた。喉の奥がカラカラに渇いているのがわかる。
ゆめ「ん? どうしたの、れい?」
れい「あのね……来週の文化祭なんだけど。もしよかったら、一緒に回らない……?」
心臓がドクドクと嫌な音を立てる。
もう他の人と約束してるなんて言われたらどうしようと、玲はぎゅっと制服のスカートを握りしめた。
ゆめ「えっ、いいの!? 嬉しい! 私もれいと一緒に回りたかったんだぁ」
パッと咲くような笑顔でそう言ってくれたゆめ。
その一言だけで、玲の不安は一瞬で吹き飛び、胸の内にパッと温かい光が灯った。
れい「本当……? よかった……! じゃあ、当日の昼からは一緒にお店見ようね」
ゆめ「うん! 楽しみだね!」
れい(よし……! 第一段階クリア。あとは、最後のキャンプファイヤーの時……)
玲は頬が熱くなるのを隠すように、少しだけ俯いて笑った。
そして迎えた文化祭当日。
校内は賑やかな歓声と、模擬店から漂う甘い香りに包まれていた。
玲とゆめは手をつないでクラスの出し物を巡り写真を撮り合いお揃いのキーホルダーを買ったりと夢のような時間を過ごした。
あっという間に時間は過ぎあたりはすっかり群青色の夜空に覆われていく。
グラウンドの中央には巨大な組み木が置かれ、生徒たちが今か今かとその時を待っていた。
やがて大きな炎が立ち上ると、大きな歓声が上がり校庭全体が温かいオレンジ色の光に照らし出された。
れい「ゆめ、ちょっとあっち行こ?」
玲はゆめの手を引いて、騒がしい人混みから少し離れた、校舎の陰になるベンチへと向かった。
遠くで薪がパチパチと弾ける音と、楽しそうな生徒たちの歌声が聞こえる。
ゆめ「ふう、楽しかったね! れい、誘ってくれてありがとう」
隣に座ったゆめが、炎の光を反射させて瞳をキラキラと輝かせている。
その横顔があまりにも眩しくて、玲の鼓動は再び早くなり始めた。
れい「ううん、私の方こそ……今日はすごく楽しかった」
ゆめ「れい?」
玲の緊張が伝わったのか、ゆめが不思議そうに覗き込んでくる。
ここで言わなきゃ。
逃げちゃダメだ。
玲は深く息を吸い込み、ゆめの目を真っ直ぐに見つめ返した。
れい「……あのね、ゆめ。今日一緒に回りたかったのはね、ただ文化祭を楽しみたいだけじゃなかったの」
ゆめ「え……?」
手持ちぶさただった玲の手が、少し震える。
でも、覚悟を決めてその手でゆめの手を優しく包み込んだ。
れい「私ね、ずっとゆめのことが好きなの。友達としてじゃなくて……ひとりの特別な人として、好きです」
夜風がふたりの間を吹き抜ける。
遠くのキャンプファイヤーの火の粉が、夜空高く舞い上がっていくのが見えた。
玲は息を止めて、ゆめの返事を待った。
短い沈黙が、まるで永遠のように感じられる。
ゆめ「……れい」
ゆめが小さく名前を呼んだ。
見つめ返してくる彼女の顔が、炎の赤さだけではない色でぽっと赤く染まっていく。
ゆめ「びっくりした……でも、すごく嬉しい。実はね、私もずっとれいのこと……そういう目で見ちゃってたんだよ」
れい「え……本当……?」
ゆめ「うん。だから、今日れいから誘ってくれた時、夢みたいだなって思ってたの」
ゆめはぎゅっと玲の手を握り返してくれた。
その手の温もりが、玲の不安をすべて溶かしていく。
れい「……よかった。すごく怖かったんだから」
安堵のあまり、玲の目からポロリと涙が零れ落ちた。
ゆめ「あはは、れいってば泣かないでよ〜笑」
ゆめは優しく玲の涙を指で拭うと、そのまま玲の肩にそっと頭を預けた。
ゆめ「これからも、ずっと隣にいてね? 」
れい「……うん。ずっと、側にいるよ」
グラウンドから聞こえる賑やかな音楽と、パチパチと燃える炎の音。
夜空の下で重なるふたりの影は、どこまでも温かく、優しく揺れていた。
オレンジ色の西日が差し込む
中、大園玲は自分の机に突っ伏しながら隣の席にいるゆめの横顔をじっと見つめていた。
れい(好きだなぁ……本当に、どうしようもないくらい)
胸の奥がキュッと締め付けられるような、甘くて苦しい感覚。
高校最後の文化祭まで、あと一週間。
この数ヶ月間、玲の頭の中はゆめのことでいっぱいだった。
普段はクールだねと言われることの多い玲だったが、ゆめの前でだけは、気持ちを隠すのに必死で余裕なんてなくなってしまう。
今回の文化祭、玲にはどうしても成し遂げたい密かな決意があった。
それは、文化祭のフィナーレに行われる夜のキャンプファイヤーでゆめに自分の気持ちを伝えること。
まずはその第一歩として、当日一緒に回る約束を取り付けなければならない。
れい「……ねぇ、ゆめ」
玲は思い切って声をかけた。喉の奥がカラカラに渇いているのがわかる。
ゆめ「ん? どうしたの、れい?」
れい「あのね……来週の文化祭なんだけど。もしよかったら、一緒に回らない……?」
心臓がドクドクと嫌な音を立てる。
もう他の人と約束してるなんて言われたらどうしようと、玲はぎゅっと制服のスカートを握りしめた。
ゆめ「えっ、いいの!? 嬉しい! 私もれいと一緒に回りたかったんだぁ」
パッと咲くような笑顔でそう言ってくれたゆめ。
その一言だけで、玲の不安は一瞬で吹き飛び、胸の内にパッと温かい光が灯った。
れい「本当……? よかった……! じゃあ、当日の昼からは一緒にお店見ようね」
ゆめ「うん! 楽しみだね!」
れい(よし……! 第一段階クリア。あとは、最後のキャンプファイヤーの時……)
玲は頬が熱くなるのを隠すように、少しだけ俯いて笑った。
そして迎えた文化祭当日。
校内は賑やかな歓声と、模擬店から漂う甘い香りに包まれていた。
玲とゆめは手をつないでクラスの出し物を巡り写真を撮り合いお揃いのキーホルダーを買ったりと夢のような時間を過ごした。
あっという間に時間は過ぎあたりはすっかり群青色の夜空に覆われていく。
グラウンドの中央には巨大な組み木が置かれ、生徒たちが今か今かとその時を待っていた。
やがて大きな炎が立ち上ると、大きな歓声が上がり校庭全体が温かいオレンジ色の光に照らし出された。
れい「ゆめ、ちょっとあっち行こ?」
玲はゆめの手を引いて、騒がしい人混みから少し離れた、校舎の陰になるベンチへと向かった。
遠くで薪がパチパチと弾ける音と、楽しそうな生徒たちの歌声が聞こえる。
ゆめ「ふう、楽しかったね! れい、誘ってくれてありがとう」
隣に座ったゆめが、炎の光を反射させて瞳をキラキラと輝かせている。
その横顔があまりにも眩しくて、玲の鼓動は再び早くなり始めた。
れい「ううん、私の方こそ……今日はすごく楽しかった」
ゆめ「れい?」
玲の緊張が伝わったのか、ゆめが不思議そうに覗き込んでくる。
ここで言わなきゃ。
逃げちゃダメだ。
玲は深く息を吸い込み、ゆめの目を真っ直ぐに見つめ返した。
れい「……あのね、ゆめ。今日一緒に回りたかったのはね、ただ文化祭を楽しみたいだけじゃなかったの」
ゆめ「え……?」
手持ちぶさただった玲の手が、少し震える。
でも、覚悟を決めてその手でゆめの手を優しく包み込んだ。
れい「私ね、ずっとゆめのことが好きなの。友達としてじゃなくて……ひとりの特別な人として、好きです」
夜風がふたりの間を吹き抜ける。
遠くのキャンプファイヤーの火の粉が、夜空高く舞い上がっていくのが見えた。
玲は息を止めて、ゆめの返事を待った。
短い沈黙が、まるで永遠のように感じられる。
ゆめ「……れい」
ゆめが小さく名前を呼んだ。
見つめ返してくる彼女の顔が、炎の赤さだけではない色でぽっと赤く染まっていく。
ゆめ「びっくりした……でも、すごく嬉しい。実はね、私もずっとれいのこと……そういう目で見ちゃってたんだよ」
れい「え……本当……?」
ゆめ「うん。だから、今日れいから誘ってくれた時、夢みたいだなって思ってたの」
ゆめはぎゅっと玲の手を握り返してくれた。
その手の温もりが、玲の不安をすべて溶かしていく。
れい「……よかった。すごく怖かったんだから」
安堵のあまり、玲の目からポロリと涙が零れ落ちた。
ゆめ「あはは、れいってば泣かないでよ〜笑」
ゆめは優しく玲の涙を指で拭うと、そのまま玲の肩にそっと頭を預けた。
ゆめ「これからも、ずっと隣にいてね? 」
れい「……うん。ずっと、側にいるよ」
グラウンドから聞こえる賑やかな音楽と、パチパチと燃える炎の音。
夜空の下で重なるふたりの影は、どこまでも温かく、優しく揺れていた。