山崎天×大園玲
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櫻坂46のダンスレッスン場は、激しいステップの音とメンバーの荒い息遣いに包まれていた。
2期生を中心に、何度もフォーメーションの確認が繰り返されている。
全員が汗だくになりながら鏡に向かう中、山崎天の視線はひとりの人物に釘付けになっていた。
大園玲。
普段から落ち着いていてどこか儚げな雰囲気を纏っている彼女だが、今日の動きは明らかにキレを欠いていた。
顔色も白いというより、蒼白に近い。
曲が一旦止まったタイミングで、天はすかさず玲のもとへ駆け寄った。
てん「れいちゃん、ちょっと待って。顔色めっちゃ悪いよ。今日のレッスン、休んだ方がいいって」
玲は少し驚いたように目を丸くしたが、すぐにいつもの柔らかい笑みを浮かべて首を振った。
れい「……ううん、大丈夫だよてんちゃん。ちょっと考え事してただけ。みんなと一緒に踊りたいし、遅れたくないから」
てん「強がり言わないで! 汗の量もおかしいし、手も震えてるじゃん。私がスタッフさんに言って下げるから」
れい「本当に大丈夫だから……心配性だなぁ、てんちゃんは」
玲は天の手をそっと優しく押し返すと、再びフォーメーションの位置へと戻ってしまった。
天はその背中を胸がぎゅっと締め付けられるような不安とともに見つめることしかできなかった。
曲が再開し、テンポの早いサンプルの音が響く。
みんなが全力で踊る中、玲の視界はグラグラと歪み始めていた。
足に力が入らず、頭の中がガンガンと痛む。
れい(大丈夫、まだ踊れる……みんなに迷惑かけたくない……)
そう自分に言い聞かせた瞬間、世界が横に傾いた。
ドサッ、と大きな音が響く。
ほの「えっ、れいちゃん!?」
ひかる「ちょっと、誰か! れいちゃんが倒れた!」
静まり返るレッスン場。
倒れ伏したれいの元へ、一番に飛び込んできたのはてんだった。
てん「れいちゃん!!れいちゃん、目開けて!!」
天は倒れた玲の身体を抱きかかえ、その冷たい頬を必死に撫でた。
他の2期生メンバーも青ざめた顔で集まってくる。
まつだ「ほのちゃん、スタッフさん呼んできて! ひかるちゃんは長椅子にタオル敷いて!」
かりん「息はある? 大丈夫!?」
てん「れいちゃん……なんで無理すんのよ……っ」
天の声は、怒りと恐怖で震えていた。
しばらくして、控え室の長椅子で横になっていたれいはゆっくりと瞼を開けた。
頭の重みは少し引いていたものの、目の前に広がる光景にハッとする。
周囲には心配そうに自分を見つめる2期生メンバーたちの姿があった。
ほの「あ、れいちゃん! 目覚めた……! よかったぁ……」
まつだ「ほんまに心配したんやからね? 体調悪かったんなら言ってよ〜」
玲は自分が倒れてレッスンを中断させてしまったのだと悟り、申し訳なさで胸がいっぱいになった。
しかし、みんなにこれ以上心配をかけたくなくて、いつものように困り眉で笑ってみせた。
れい「みんな……ごめんなさい。びっくりさせちゃったよね。ちょっと貧血気味だったみたいで……もう全然平気だから! ちょっと休んだらレッスン戻れるよ」
自分の体調を誤魔化し、何事もなかったかのように立ち上がろうとするれい。
その時だった。
てん「……平気なわけないでしょ!!!」
控え室に、てんの鋭い声が響き渡った。
いつもは無邪気で年下らしい笑顔を見せるてんが、今までに見たこともないほど真剣で激しい怒りを帯びた目でれいを見つめている。
まつだ「てんちゃん……」
てん「なんでそうやって嘘つくの!? 自分の身体でしょ!? 倒れるまで無理して、起きて開口一番が平気って……そんなの全然平気に見えないよ!」
れい「てんちゃん、私は本当に……」
てん「嘘つかないで!!」
天は玲の腕を、痛くない程度の強さでギュッと掴んだ。
その手はかすかに震えていた。
天の目には、大きな涙が溜まっている。
てん「れいちゃんがどれだけ真面目で、みんなに迷惑かけたくないと思って努力してるかくらい知ってるよ! でもね、倒れるまで無理されたら……もしもっとひどいことになったら、残された私たちがどんな気持ちになるか分かってるの!?」
れい「……っ」
てん「頼ってよ……! 私は年下だけどさ、櫻坂のメンバーでしょ? れいちゃんの大事な仲間でしょ!? 頼りないかもしれないけど、苦しい時は助けてって言ってよ……私を、みんなを拒絶しないでよ……!」
天の目から、ボロボロと大粒の涙が零れ落ちる。
玲は言葉を失った。
天がどれほど自分のことを真剣に考え、本気で心配してくれていたのかが、胸に痛いほど伝わってきたからだ。
周囲のメンバーも黙って二人を見守っている。誰もが天の言葉に頷いていた。
れい「……ごめんね、てんちゃん。ごめんなさい……」
玲は視界が涙で滲むのを感じながら、そっと声を絞り出した。
れい「怖かったの……みんなに置いていかれるのが。でも、てんちゃんの言う通りだよね。自分の身体も、みんなの気持ちも、ぜんぶ蔑ろにしてた……本当にごめん」
天は鼻をすすりながら、長椅子に座るれいの身体をぎゅっと抱きしめた。
てん「もう……絶対無理しないで。約束して」
れい「うん、約束する。……ありがとう、てんちゃん」
玲は天の背中に手を回し、その温もりにそっと身を委ねた。
天の髪から香る甘い匂いが、痛む頭を優しく解かしていくようだった。
ほの「ちょっと〜! 涙ちょうだいだけど、れいちゃんはまだ病み上がりなんやから、てんちゃん強く抱きつきすぎんといて〜!」
まつだ「そうそう! ほら、とりあえずれいちゃんは今日はもうお家に帰って休むこと! これはキャプテン命令!」
ひかる「うどん作って持っていこうか?」
かりん「そこは冷えピタ買ってあげるくらいでええやろ笑」
メンバーたちの温かい笑い声が控え室を包み込む。
天はれいから身体を離すと、真っ赤になった目を手擦りで拭い、少し照れくさそうに玲の手を握りしめた。
てん「帰りは私が家まで送るからね。拒否権なし!」
れい「ふふ、頼もしいね。じゃあ……今日はいっぱいてんちゃんに甘えさせてもらおうかな」
玲の心からの笑顔を見て天はようやくいつものやんちゃで眩しい笑顔を取り戻したのだった。
2期生を中心に、何度もフォーメーションの確認が繰り返されている。
全員が汗だくになりながら鏡に向かう中、山崎天の視線はひとりの人物に釘付けになっていた。
大園玲。
普段から落ち着いていてどこか儚げな雰囲気を纏っている彼女だが、今日の動きは明らかにキレを欠いていた。
顔色も白いというより、蒼白に近い。
曲が一旦止まったタイミングで、天はすかさず玲のもとへ駆け寄った。
てん「れいちゃん、ちょっと待って。顔色めっちゃ悪いよ。今日のレッスン、休んだ方がいいって」
玲は少し驚いたように目を丸くしたが、すぐにいつもの柔らかい笑みを浮かべて首を振った。
れい「……ううん、大丈夫だよてんちゃん。ちょっと考え事してただけ。みんなと一緒に踊りたいし、遅れたくないから」
てん「強がり言わないで! 汗の量もおかしいし、手も震えてるじゃん。私がスタッフさんに言って下げるから」
れい「本当に大丈夫だから……心配性だなぁ、てんちゃんは」
玲は天の手をそっと優しく押し返すと、再びフォーメーションの位置へと戻ってしまった。
天はその背中を胸がぎゅっと締め付けられるような不安とともに見つめることしかできなかった。
曲が再開し、テンポの早いサンプルの音が響く。
みんなが全力で踊る中、玲の視界はグラグラと歪み始めていた。
足に力が入らず、頭の中がガンガンと痛む。
れい(大丈夫、まだ踊れる……みんなに迷惑かけたくない……)
そう自分に言い聞かせた瞬間、世界が横に傾いた。
ドサッ、と大きな音が響く。
ほの「えっ、れいちゃん!?」
ひかる「ちょっと、誰か! れいちゃんが倒れた!」
静まり返るレッスン場。
倒れ伏したれいの元へ、一番に飛び込んできたのはてんだった。
てん「れいちゃん!!れいちゃん、目開けて!!」
天は倒れた玲の身体を抱きかかえ、その冷たい頬を必死に撫でた。
他の2期生メンバーも青ざめた顔で集まってくる。
まつだ「ほのちゃん、スタッフさん呼んできて! ひかるちゃんは長椅子にタオル敷いて!」
かりん「息はある? 大丈夫!?」
てん「れいちゃん……なんで無理すんのよ……っ」
天の声は、怒りと恐怖で震えていた。
しばらくして、控え室の長椅子で横になっていたれいはゆっくりと瞼を開けた。
頭の重みは少し引いていたものの、目の前に広がる光景にハッとする。
周囲には心配そうに自分を見つめる2期生メンバーたちの姿があった。
ほの「あ、れいちゃん! 目覚めた……! よかったぁ……」
まつだ「ほんまに心配したんやからね? 体調悪かったんなら言ってよ〜」
玲は自分が倒れてレッスンを中断させてしまったのだと悟り、申し訳なさで胸がいっぱいになった。
しかし、みんなにこれ以上心配をかけたくなくて、いつものように困り眉で笑ってみせた。
れい「みんな……ごめんなさい。びっくりさせちゃったよね。ちょっと貧血気味だったみたいで……もう全然平気だから! ちょっと休んだらレッスン戻れるよ」
自分の体調を誤魔化し、何事もなかったかのように立ち上がろうとするれい。
その時だった。
てん「……平気なわけないでしょ!!!」
控え室に、てんの鋭い声が響き渡った。
いつもは無邪気で年下らしい笑顔を見せるてんが、今までに見たこともないほど真剣で激しい怒りを帯びた目でれいを見つめている。
まつだ「てんちゃん……」
てん「なんでそうやって嘘つくの!? 自分の身体でしょ!? 倒れるまで無理して、起きて開口一番が平気って……そんなの全然平気に見えないよ!」
れい「てんちゃん、私は本当に……」
てん「嘘つかないで!!」
天は玲の腕を、痛くない程度の強さでギュッと掴んだ。
その手はかすかに震えていた。
天の目には、大きな涙が溜まっている。
てん「れいちゃんがどれだけ真面目で、みんなに迷惑かけたくないと思って努力してるかくらい知ってるよ! でもね、倒れるまで無理されたら……もしもっとひどいことになったら、残された私たちがどんな気持ちになるか分かってるの!?」
れい「……っ」
てん「頼ってよ……! 私は年下だけどさ、櫻坂のメンバーでしょ? れいちゃんの大事な仲間でしょ!? 頼りないかもしれないけど、苦しい時は助けてって言ってよ……私を、みんなを拒絶しないでよ……!」
天の目から、ボロボロと大粒の涙が零れ落ちる。
玲は言葉を失った。
天がどれほど自分のことを真剣に考え、本気で心配してくれていたのかが、胸に痛いほど伝わってきたからだ。
周囲のメンバーも黙って二人を見守っている。誰もが天の言葉に頷いていた。
れい「……ごめんね、てんちゃん。ごめんなさい……」
玲は視界が涙で滲むのを感じながら、そっと声を絞り出した。
れい「怖かったの……みんなに置いていかれるのが。でも、てんちゃんの言う通りだよね。自分の身体も、みんなの気持ちも、ぜんぶ蔑ろにしてた……本当にごめん」
天は鼻をすすりながら、長椅子に座るれいの身体をぎゅっと抱きしめた。
てん「もう……絶対無理しないで。約束して」
れい「うん、約束する。……ありがとう、てんちゃん」
玲は天の背中に手を回し、その温もりにそっと身を委ねた。
天の髪から香る甘い匂いが、痛む頭を優しく解かしていくようだった。
ほの「ちょっと〜! 涙ちょうだいだけど、れいちゃんはまだ病み上がりなんやから、てんちゃん強く抱きつきすぎんといて〜!」
まつだ「そうそう! ほら、とりあえずれいちゃんは今日はもうお家に帰って休むこと! これはキャプテン命令!」
ひかる「うどん作って持っていこうか?」
かりん「そこは冷えピタ買ってあげるくらいでええやろ笑」
メンバーたちの温かい笑い声が控え室を包み込む。
天はれいから身体を離すと、真っ赤になった目を手擦りで拭い、少し照れくさそうに玲の手を握りしめた。
てん「帰りは私が家まで送るからね。拒否権なし!」
れい「ふふ、頼もしいね。じゃあ……今日はいっぱいてんちゃんに甘えさせてもらおうかな」
玲の心からの笑顔を見て天はようやくいつものやんちゃで眩しい笑顔を取り戻したのだった。