藤吉夏鈴
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高校時代、地元の夕焼け小焼けの帰り道。
藤吉夏鈴の隣には、いつも当たり前のようにゆめがいた。
手を繋いで歩くこと。
お互いのイヤホンを片方ずつ分け合って、大好きなロックバンドの曲を聴くこと。
誰もいない放課後の教室で息が詰まるほど深くキスを交わしたこと。
「二人で櫻坂46のオーディションを受けよう」
そう言って笑い合った未来は、どこまでも眩しくて何一つ疑うものなんてなかった。
けれど、運命はあまりにも身勝手で、あまりにも残酷だった。
不運な交通事故。
冷たくなったゆめの手を握りしめ夏鈴の時間は一度、完全に止まった。
一人きりで合格し、上京して櫻坂46のメンバーとしてステージに立つ今でもふとした瞬間にゆめの体温やあの柔らかい唇の感触を思い出しては胸が引きちぎれそうになる。
今でもずっと、世界で一番大好きな恋人だった。
ある日の大型ライブ終わり、すべての照明が落ちた夜の楽屋。
夏鈴は一人、鏡の前で自分の顔を見つめていた。
周りのメンバーが帰っていく中、動けずにいた
かりん「……はぁ。今日も、終わっちゃったな」
椅子に深く寄りかかり、目を閉じる。
すると、記憶の底からゆめの声が鮮明に蘇ってくる。
夏鈴がダンスが上手くいかなくて泣いていた時も、進路に悩んでいた時も、一日の終わりには必ず夏鈴の頬を両手で包み込んでおでこをコツンと合わせながら言ってくれたあの愛おしい口癖
ゆめ「かりん、今日もいい日だったね。明日はもっと、いい日にしようね」
かりん「……ゆめ。あんたがおらへんのに、いい日なんてあるわけないやん……。寂しくて、会いたくて、毎日死にそうやねん……」
溢れ出してきた涙が止まらず、夏鈴は自分の肩を抱いて声を上げて泣いた。
触れたい。
もう一度名前を呼んでほしい。
だけど、泣いてばかりいたら、ゆめはきっとらしくないよって怒るだろう
かりん「……でもな、ゆめ。うち、あんたにやっぱり夏鈴はかっこいいなって言われたい。あんたが大好きって言ってくれたこの命、ここで腐らせるわけにはいかへん」
夏鈴は、ゆめの写真が入ったスマホを強く抱きしめた。
ゆめが遺してくれた言葉は、悲しい思い出なんかじゃない。
夏鈴が明日へ、その先へ進むための、二人だけの約束だ。
かりん「あんたの分まで、うちがこの世界で、最高の景色見たる。……だから、特等席でちゃんと見ててや」
翌日の全国ツアー最終日。
超満員の客席、激しく明滅するペンライト。
割れんばかりの歓声が地鳴りのように響く中、夏鈴はステージのセンターに立っていた。
爆音のギターが鳴り響き、スポットライトが夏鈴を照らす。
それはまるで、止まってしまった二人の物語の続きを、強引にこじ開けるようなファンファーレだった。
かりん(いくよ、ゆめ……っ! わたしたちの続き、やろう!)
魂を削るような、激しくも美しいパフォーマンス。
夏鈴はゆめと繋がっている今この瞬間を生きる喜びを全身で表現するように全力で歌い、踊った。
客席のペンライトの海がまるで高校時代に二人で何度も見たあの綺麗な夕焼け空に見えた
ライブは大歓声の中で幕を閉じメンバーが笑顔でハケていく中夏鈴は最後に一人ステージに残って空を仰いだ。
客席のざわめきが遠ざかる。
その瞬間、耳元で確かに、ゆめが愛おしそうに笑った気がした
マイクを通さずだけどはっきりと空に向けて愛を込めて呟く
かりん「今日もいい日だった。……ゆめ、これからもずっと、愛してるよ」
悲しみは消えない。
恋人を失った心の傷は、一生塞がらないかもしれない。
だけど、ゆめの言葉を心に深く刻んだ夏鈴は、涙を強さに変えてまだ見ぬ明日へと力強く歩みを進めていく。
二人の物語はこれからもずっと続いていくのだから
藤吉夏鈴の隣には、いつも当たり前のようにゆめがいた。
手を繋いで歩くこと。
お互いのイヤホンを片方ずつ分け合って、大好きなロックバンドの曲を聴くこと。
誰もいない放課後の教室で息が詰まるほど深くキスを交わしたこと。
「二人で櫻坂46のオーディションを受けよう」
そう言って笑い合った未来は、どこまでも眩しくて何一つ疑うものなんてなかった。
けれど、運命はあまりにも身勝手で、あまりにも残酷だった。
不運な交通事故。
冷たくなったゆめの手を握りしめ夏鈴の時間は一度、完全に止まった。
一人きりで合格し、上京して櫻坂46のメンバーとしてステージに立つ今でもふとした瞬間にゆめの体温やあの柔らかい唇の感触を思い出しては胸が引きちぎれそうになる。
今でもずっと、世界で一番大好きな恋人だった。
ある日の大型ライブ終わり、すべての照明が落ちた夜の楽屋。
夏鈴は一人、鏡の前で自分の顔を見つめていた。
周りのメンバーが帰っていく中、動けずにいた
かりん「……はぁ。今日も、終わっちゃったな」
椅子に深く寄りかかり、目を閉じる。
すると、記憶の底からゆめの声が鮮明に蘇ってくる。
夏鈴がダンスが上手くいかなくて泣いていた時も、進路に悩んでいた時も、一日の終わりには必ず夏鈴の頬を両手で包み込んでおでこをコツンと合わせながら言ってくれたあの愛おしい口癖
ゆめ「かりん、今日もいい日だったね。明日はもっと、いい日にしようね」
かりん「……ゆめ。あんたがおらへんのに、いい日なんてあるわけないやん……。寂しくて、会いたくて、毎日死にそうやねん……」
溢れ出してきた涙が止まらず、夏鈴は自分の肩を抱いて声を上げて泣いた。
触れたい。
もう一度名前を呼んでほしい。
だけど、泣いてばかりいたら、ゆめはきっとらしくないよって怒るだろう
かりん「……でもな、ゆめ。うち、あんたにやっぱり夏鈴はかっこいいなって言われたい。あんたが大好きって言ってくれたこの命、ここで腐らせるわけにはいかへん」
夏鈴は、ゆめの写真が入ったスマホを強く抱きしめた。
ゆめが遺してくれた言葉は、悲しい思い出なんかじゃない。
夏鈴が明日へ、その先へ進むための、二人だけの約束だ。
かりん「あんたの分まで、うちがこの世界で、最高の景色見たる。……だから、特等席でちゃんと見ててや」
翌日の全国ツアー最終日。
超満員の客席、激しく明滅するペンライト。
割れんばかりの歓声が地鳴りのように響く中、夏鈴はステージのセンターに立っていた。
爆音のギターが鳴り響き、スポットライトが夏鈴を照らす。
それはまるで、止まってしまった二人の物語の続きを、強引にこじ開けるようなファンファーレだった。
かりん(いくよ、ゆめ……っ! わたしたちの続き、やろう!)
魂を削るような、激しくも美しいパフォーマンス。
夏鈴はゆめと繋がっている今この瞬間を生きる喜びを全身で表現するように全力で歌い、踊った。
客席のペンライトの海がまるで高校時代に二人で何度も見たあの綺麗な夕焼け空に見えた
ライブは大歓声の中で幕を閉じメンバーが笑顔でハケていく中夏鈴は最後に一人ステージに残って空を仰いだ。
客席のざわめきが遠ざかる。
その瞬間、耳元で確かに、ゆめが愛おしそうに笑った気がした
マイクを通さずだけどはっきりと空に向けて愛を込めて呟く
かりん「今日もいい日だった。……ゆめ、これからもずっと、愛してるよ」
悲しみは消えない。
恋人を失った心の傷は、一生塞がらないかもしれない。
だけど、ゆめの言葉を心に深く刻んだ夏鈴は、涙を強さに変えてまだ見ぬ明日へと力強く歩みを進めていく。
二人の物語はこれからもずっと続いていくのだから