田村保乃
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大学の退屈な講義。
将来への不安。
SNSに溢れる誰かの正論。
山積みのどうでもいいことに押しつぶされそうだった田村保乃をその閉塞感から引っ張り出してくれたのは、同じ大学に通うゆめだった。
周りの目なんて気にせず、自分の心に嘘をつかないゆめ。
保乃は、そんなゆめの隣にいるときだけ自分が自分でいられる気がしていた。
誰に何を言われてもいい。
この人がいれば、世界が明日終わったって構わない。
土曜日の深夜二時。
誰もいない大学の近くの歩道橋の上で、二人は缶チューハイを片手に夜風に吹かれていた
ゆめ「ねぇ、ほの。もし明日、本当に世界が滅びるとしたら何したい?」
ほの「ええ? 急に何言うてんのよ、ゆめちゃんは。……うーん、そうやなぁ。ほのは、ゆめちゃんと美味しいもの食べて、ぎゅってしてたいかな」
ゆめ「あはは、ほのらしいね。わたしはね、世界中の時計を全部ぶっ壊したい。そしたら、明日なんて来ないしほのとずっとこのままでいられるでしょ?」
ゆめは笑いながら、手すりから身を乗り出して夜空を見上げた。
その横顔が、街灯の光に照らされてどこか儚く見える
ほの「……ゆめちゃん、寂しいこと言わんといて。明日が来ても、ほのはずっとゆめちゃんの隣におるよ」
ゆめ「ほのは優しいね。でも、世間っていうのはさ、わたしたちみたいな関係をあんまり認めてくれないよ。めんどくさいルールばっかり」
ゆめの少し自嘲気味な言葉に、保乃の胸がぎゅっと締め付けられる。
友達以上の距離にいる二人を冷たい目で見る大人がいることも知っている。
だけど、そんなものに負けたくなかった
ほの「そんなん、関係ない! 誰が何と言おうと、ほのはゆめちゃんが好きや。他の誰でもない、ゆめちゃんじゃなきゃ嫌やねん!」
ゆめ「……ほの」
ほの「世界なんか、ほのたちの邪魔するなら終わってしまえばええねん。ほのの全部、ゆめちゃんにあげるから……!」
感情が爆発した保乃は、ゆめの襟元をぐっと引き寄せて力強く唇を重ねた。
それは綺麗でスマートなキスなんかじゃない。
ぶつかり合うような熱くて、痛いくらいの生きるためのキスだった
驚いていたゆめの手から、缶チューハイが落ちてアスファルトに中身が広がっていく。
だけど二人は構わずお互いの体温を確かめ合うように貪欲に貪り合った。
息が苦しくなって唇が離れると、ゆめの瞳には涙が浮かんでいた
ゆめ「……っ、ほの、ばか。そんなこと言われたら、わたし、本当に世界を敵に回しちゃうよ……?」
ほの「ええよ。ゆめちゃんが世界の敵になるなら、ほのはその一番の味方になる。一緒に地獄まで行ったるわ」
ゆめ「ふふ、頼もしいね、わたしのほの」
ゆめは涙を拭うと今度は自分から、保乃の唇に優しくだけど深くキスを返した
ゆめ「じゃあ、ふたりだけの新しい世界をはじめよう。夜が明ける前に、誰も知らない遠くまで行こうね」
夜空を切り裂くロックナンバーのように激しく、そしてどこまでも純粋な二人の恋。
遠くで街の明かりがまたたいているけれど、今の二人には、目の前の愛おしい存在だけがこの世界のすべてだった
将来への不安。
SNSに溢れる誰かの正論。
山積みのどうでもいいことに押しつぶされそうだった田村保乃をその閉塞感から引っ張り出してくれたのは、同じ大学に通うゆめだった。
周りの目なんて気にせず、自分の心に嘘をつかないゆめ。
保乃は、そんなゆめの隣にいるときだけ自分が自分でいられる気がしていた。
誰に何を言われてもいい。
この人がいれば、世界が明日終わったって構わない。
土曜日の深夜二時。
誰もいない大学の近くの歩道橋の上で、二人は缶チューハイを片手に夜風に吹かれていた
ゆめ「ねぇ、ほの。もし明日、本当に世界が滅びるとしたら何したい?」
ほの「ええ? 急に何言うてんのよ、ゆめちゃんは。……うーん、そうやなぁ。ほのは、ゆめちゃんと美味しいもの食べて、ぎゅってしてたいかな」
ゆめ「あはは、ほのらしいね。わたしはね、世界中の時計を全部ぶっ壊したい。そしたら、明日なんて来ないしほのとずっとこのままでいられるでしょ?」
ゆめは笑いながら、手すりから身を乗り出して夜空を見上げた。
その横顔が、街灯の光に照らされてどこか儚く見える
ほの「……ゆめちゃん、寂しいこと言わんといて。明日が来ても、ほのはずっとゆめちゃんの隣におるよ」
ゆめ「ほのは優しいね。でも、世間っていうのはさ、わたしたちみたいな関係をあんまり認めてくれないよ。めんどくさいルールばっかり」
ゆめの少し自嘲気味な言葉に、保乃の胸がぎゅっと締め付けられる。
友達以上の距離にいる二人を冷たい目で見る大人がいることも知っている。
だけど、そんなものに負けたくなかった
ほの「そんなん、関係ない! 誰が何と言おうと、ほのはゆめちゃんが好きや。他の誰でもない、ゆめちゃんじゃなきゃ嫌やねん!」
ゆめ「……ほの」
ほの「世界なんか、ほのたちの邪魔するなら終わってしまえばええねん。ほのの全部、ゆめちゃんにあげるから……!」
感情が爆発した保乃は、ゆめの襟元をぐっと引き寄せて力強く唇を重ねた。
それは綺麗でスマートなキスなんかじゃない。
ぶつかり合うような熱くて、痛いくらいの生きるためのキスだった
驚いていたゆめの手から、缶チューハイが落ちてアスファルトに中身が広がっていく。
だけど二人は構わずお互いの体温を確かめ合うように貪欲に貪り合った。
息が苦しくなって唇が離れると、ゆめの瞳には涙が浮かんでいた
ゆめ「……っ、ほの、ばか。そんなこと言われたら、わたし、本当に世界を敵に回しちゃうよ……?」
ほの「ええよ。ゆめちゃんが世界の敵になるなら、ほのはその一番の味方になる。一緒に地獄まで行ったるわ」
ゆめ「ふふ、頼もしいね、わたしのほの」
ゆめは涙を拭うと今度は自分から、保乃の唇に優しくだけど深くキスを返した
ゆめ「じゃあ、ふたりだけの新しい世界をはじめよう。夜が明ける前に、誰も知らない遠くまで行こうね」
夜空を切り裂くロックナンバーのように激しく、そしてどこまでも純粋な二人の恋。
遠くで街の明かりがまたたいているけれど、今の二人には、目の前の愛おしい存在だけがこの世界のすべてだった