森田ひかる×田村保乃
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楽屋の隅、スマホの画面に表示された通知を見てひかるは小さくため息をついた。
画面には、保乃からのメッセージ。
『ひぃちゃん〜、今何してる? 急に声が聞きたくなっちゃった』
『今度のお休み、2人でお出かけしたいな〜なんて笑』
ひかる「……ずるいなぁ、ほんとに」
ひかるはぽつりと呟いた。
保乃はいつもそうだ。
誰にでも距離が近くて、誰にでも優しい。
そんな彼女から送られてくるこんな言葉をまともに受け止めていたら心が持たない。
もしかしてなんて期待して、あとでメンバーとして好きなんて言われたら、立ち直れそうにない。
だから、これ以上傷つかないように期待しないように心のシャッターを半分閉じる。
それがひかるの防衛本能だった。
ひかる「『タイミング合えばねー』……っと」
素っ気ない返信を打って、スマホをポケットに突っ込んだ。
数日後のリハーサル終わり。
メンバーが次々と帰っていく中、ひかるが荷物をまとめていると後ろからぎゅっと抱きつかれた。
柔らかい感触と聞き馴染んだ甘い香り。
ほの「ひぃちゃんお疲れ様。……この前のLINE、冷たかったなぁ」
ひかる「……ほのちゃん、お疲れ様。冷たくしてないよ普通だよ」
なるべく感情を動かさないようにひかるは淡々と答える。
だけど、耳元で囁かれる保乃の声に心臓はうるさいくらいに脈打っていた。
ほの「普通やないよー。ほのは、ほんまにひぃちゃんとお出かけしたいって思って送ったのに……。声聞きたいって言ったのもほんまやし」
ひかる「……そういうこと、他のメンバーにも言ってるでしょ」
少し突き放すような言い方になってしまった。
だけど、そう言わないと保乃を強く抱きしめたくなってしまうから。
ほの「言わへんよ!……なんでそんなこと言うん?」
保乃が体を離し、ひかるの前に回り込む。
その顔はいつものへらへらした笑顔ではなく少し傷ついたような真剣な眼差しだった。
ひかる「だって……ほのちゃんは誰にでも優しいし。私だけが特別みたいに言われると勘違いしちゃうから。勘違いして恥ずかしい思いするの嫌なんだよ」
一気にまくしたてて、ひかるは俯いた。
言ってしまった。
これじゃあ、まるで……。
ほの「勘違いって、なによ」
ひかる「……だから、ほのちゃんが私のこと、その、恋愛的な意味で好きなんじゃないかとか……」
消え入りそうな声で言うひかるの肩を保乃がそっと両手で掴んだ。
ほの「勘違いやないよ」
ひかる「え……」
顔を上げると保乃の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちそうになっていた。
ほの「ほのは、ひぃちゃんが思ってるより、ずっと前からひぃちゃんのことが好きなの。メンバーとしてじゃなくて、1人の女の子として、大好きなの。お出かけしたいのも、声が聞きたいのも、全部本気。ひぃちゃんの特別な人になりたいから言っとるの!」
保乃の必死な声が、楽屋に響く。
ひかるは目を見開いた。
期待しないように傷つかないように守っていた心の壁が保乃の真っ直ぐな言葉によって一瞬で粉々に砕け散っていく。
ひかる「ほのちゃん……本気、なの?」
ほの「本気に決まっとるやん……。ひぃちゃんが全然こっち向いてくれへんから、ほの、ずっと寂しかったんよ?」
ぷくっと頬を膨らませて、涙目を拭う保乃。
その姿があまりにも愛おしくて、そして、自分の臆病さのせいで彼女を不安にさせていたのだと気づく。
ひかる「……あぁ、もう。私、バカだ」
ひかるは一歩踏み出し、今度は自分から保乃の細い腰に腕を回して、強く抱きしめた。
ほの「わ、ひぃちゃん……?」
ひかる「ごめん。私のことだけ見ててほしいってずっと思ってた。勘違いじゃなくて、本当に嬉しい……。私も、ほのちゃんのことが好きだよ」
胸に顔を埋めたまま呟くと保乃の身体が嬉しそうにびくっと震えた。
そして、今度は保乃の手がひかるの背中に優しく回される。
ほの「……ん、もう離さへんからね?」
ひかる「うん。離さないで」
もう、ブレーキをかける必要なんてない。
2人の距離は、溢れ出した本音とともにしっかりと重なり合った。
画面には、保乃からのメッセージ。
『ひぃちゃん〜、今何してる? 急に声が聞きたくなっちゃった』
『今度のお休み、2人でお出かけしたいな〜なんて笑』
ひかる「……ずるいなぁ、ほんとに」
ひかるはぽつりと呟いた。
保乃はいつもそうだ。
誰にでも距離が近くて、誰にでも優しい。
そんな彼女から送られてくるこんな言葉をまともに受け止めていたら心が持たない。
もしかしてなんて期待して、あとでメンバーとして好きなんて言われたら、立ち直れそうにない。
だから、これ以上傷つかないように期待しないように心のシャッターを半分閉じる。
それがひかるの防衛本能だった。
ひかる「『タイミング合えばねー』……っと」
素っ気ない返信を打って、スマホをポケットに突っ込んだ。
数日後のリハーサル終わり。
メンバーが次々と帰っていく中、ひかるが荷物をまとめていると後ろからぎゅっと抱きつかれた。
柔らかい感触と聞き馴染んだ甘い香り。
ほの「ひぃちゃんお疲れ様。……この前のLINE、冷たかったなぁ」
ひかる「……ほのちゃん、お疲れ様。冷たくしてないよ普通だよ」
なるべく感情を動かさないようにひかるは淡々と答える。
だけど、耳元で囁かれる保乃の声に心臓はうるさいくらいに脈打っていた。
ほの「普通やないよー。ほのは、ほんまにひぃちゃんとお出かけしたいって思って送ったのに……。声聞きたいって言ったのもほんまやし」
ひかる「……そういうこと、他のメンバーにも言ってるでしょ」
少し突き放すような言い方になってしまった。
だけど、そう言わないと保乃を強く抱きしめたくなってしまうから。
ほの「言わへんよ!……なんでそんなこと言うん?」
保乃が体を離し、ひかるの前に回り込む。
その顔はいつものへらへらした笑顔ではなく少し傷ついたような真剣な眼差しだった。
ひかる「だって……ほのちゃんは誰にでも優しいし。私だけが特別みたいに言われると勘違いしちゃうから。勘違いして恥ずかしい思いするの嫌なんだよ」
一気にまくしたてて、ひかるは俯いた。
言ってしまった。
これじゃあ、まるで……。
ほの「勘違いって、なによ」
ひかる「……だから、ほのちゃんが私のこと、その、恋愛的な意味で好きなんじゃないかとか……」
消え入りそうな声で言うひかるの肩を保乃がそっと両手で掴んだ。
ほの「勘違いやないよ」
ひかる「え……」
顔を上げると保乃の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちそうになっていた。
ほの「ほのは、ひぃちゃんが思ってるより、ずっと前からひぃちゃんのことが好きなの。メンバーとしてじゃなくて、1人の女の子として、大好きなの。お出かけしたいのも、声が聞きたいのも、全部本気。ひぃちゃんの特別な人になりたいから言っとるの!」
保乃の必死な声が、楽屋に響く。
ひかるは目を見開いた。
期待しないように傷つかないように守っていた心の壁が保乃の真っ直ぐな言葉によって一瞬で粉々に砕け散っていく。
ひかる「ほのちゃん……本気、なの?」
ほの「本気に決まっとるやん……。ひぃちゃんが全然こっち向いてくれへんから、ほの、ずっと寂しかったんよ?」
ぷくっと頬を膨らませて、涙目を拭う保乃。
その姿があまりにも愛おしくて、そして、自分の臆病さのせいで彼女を不安にさせていたのだと気づく。
ひかる「……あぁ、もう。私、バカだ」
ひかるは一歩踏み出し、今度は自分から保乃の細い腰に腕を回して、強く抱きしめた。
ほの「わ、ひぃちゃん……?」
ひかる「ごめん。私のことだけ見ててほしいってずっと思ってた。勘違いじゃなくて、本当に嬉しい……。私も、ほのちゃんのことが好きだよ」
胸に顔を埋めたまま呟くと保乃の身体が嬉しそうにびくっと震えた。
そして、今度は保乃の手がひかるの背中に優しく回される。
ほの「……ん、もう離さへんからね?」
ひかる「うん。離さないで」
もう、ブレーキをかける必要なんてない。
2人の距離は、溢れ出した本音とともにしっかりと重なり合った。