外殻大地編
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いつもと同じ道。
いつものように通り過ぎて行くたくさんの車。そして、いつものように足早に歩く人々。
そんな道をDSを片手に歩く紫音だけ、いつもと違ってイライラしていた。
理由は、昨日の仕事での理不尽な上司の文句。仕事はできないくせに、口だけは達者な上司。自分の立場では歯向かえない事も苛立ちの一因だ。
さらに、夜に苦労してレベルを上げていたポケモン達が、紫音が寝落ちしてしまったせいで元のレベルに戻ってしまっている。
仕事場に着くまでに少しでもその分を取り戻したくて、無駄にボタンを連打して。連続で攻撃を外してしまった最愛のパートナーに知らずに舌打ちが漏れる程度には苛立っていた。
(頼むから当ててよ~!)
ポケモン達は悪くない。寝落ちしてしまった自分が一番悪いと分かっていても、ボタンを連打する指は止まらない。
(はぁ~! もう止めた!!)
駅のホームに着いてもなおそんな調子の紫音のイライラが頂点に達しようかという時だった。突然大きな声が聞こえたかと思うと、紫音は後ろから突き飛ばされていた。
「……え?」
電車を待つ列の先頭にいた紫音。不幸にもホームドアが設置されていない駅。当然、すぐ目の前には線路がある。
突然の出来事だった上、結構な力で押し出された紫音は、踏み止まる事ができずにそのままホームから転落した。
「カチカチカチカチうるせぇんだよ!」
紫音を線路に突き落としたらしい男が取り押さえられる声が、迫る来る電車の音に飲み込まれていく。
ホームの上では大騒ぎを横目に、逃げる事を諦めた紫音がため息を吐きながら目を閉じる。
(さよなら、新作ゲーム達……)
次の瞬間、痛みを感じる間もなく紫音の意識は吹き飛んだ。
この事故が、新たな紫音の生に繋がるとは、その場に居合わせた者全員、知る由も無かった。
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