伝説への路
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「初日から随分とやんちゃだね」
課外授業が始まって数時間と経たない内に、カインは複数の生徒を前に大きなため息を吐く。
初日からいきなり救難信号を受信することは無いだろうと、甘く見ていた。精々、バトルが得意ではない生徒が野生のポケモンに囲まれるくらいだろうと思っていたのだ。
初日は、まずタクシーでボウルタウンに移動して、そこから徒歩でテーブルシティを経由しつつ牧場に戻るルートに決めていたカインは、人間である自分より五感が優れているムーランドを連れ歩きポケモンとして見回りを開始した。
ボウルタウンとテーブルシティの間は、崖のせいで道に高低差が生じて迷いやすい。迷子になった生徒がいたら、分かりやすい場所まで導いてやれば良い。そう考えていたカインを、ムーランドが呼び止めた。何かに気付いた様子だ。
案内を頼んでそちらに向かうと、何やら困った様子の生徒が数人集まっている。授業で顔を合わせた生徒もいた。全員が一年生らしい面々は、何故か全員打撲痕や擦り傷が見受けられた。
「崖から滑落でもしたのかい? 動けそうかな?」
「あっ! カイン先生!! こんにちは!!」
「はい、こんにちは。元気があってよろしい。……何があった?」
「結晶洞窟の中がどうなっているのか興味があったので、チャレンジしました!!」
一番痣を多く作っている生徒が、元気良く手を挙げた。付き合わされたらしい他の三人は、呆れた様子で頷いている。
「……好奇心は素晴らしいけれど、なるほど……。その様子では弾き出されたんだね?」
「先生、スゴかったんですよ!! テラスタルしててキラキラしてて! 全然攻撃が効かなくて!! 最後にビームです!! イキリンコって、破壊光線覚えるんですか!?」
「技マシンを使えば覚えるけれど、イキリンコのそれは恐らく強力なテラバーストだろう。通常のバトルでテラスタルするポケモンと違って、結晶洞窟にいるテラスタルポケモンは、テラスタルの力をそれだけ溜め込んでいる。通常の攻撃では、なかなか有効打にならないし、もちろんテラバーストも通常と比べるまでもなく強力だからね。見事に吹き飛ばされた訳だ」
「洞窟を探検したかっただけでバトルするつもりは無かったんですっ。それに、テラスタルする為のオーブ持ってません!!」
「はぁあ〜……」
カインは深いため息を吐いた。吹き飛ばされるに決まっているからだ。
ポケモンの棲家になっている洞窟に四人で押し入って、怒らせないはずがない。
「あたしは止めたんです……! でも、ちょっと覗くだけなら大丈夫だって押し切られて……」
「……ああ、わたしの授業を受けている君はそうでなくては困るよ……」
カインの授業を選択して受講している生徒が、険しい顔になったカインを見て慌てて口を開いた。他の三人から大丈夫だと押し切られてしまえば、もちろん簡単に止められるはずがない。
「その結果、ポケモンはすぐ瀕死になっちゃうし、ラストはみんな吹っ飛ばされて……。先生に怒られる流れ……。マジでサイアク……」
「ごめんなさーい!!」
「一週間、全員の昼飯奢らないと許さねぇ」
「きびしいー!!」
授業を受けている生徒には、「友人と意見が対立してでも洞窟に入らない」という選択をして欲しかったのが本音ではあるが。幸い結晶洞窟にいたポケモンの方が強かったので、いい経験にはなっただろう。
彼らはカインが介入せずとも、落とし所をどこに持っていけばいいのか解決できそうだ。だが、今回のような無謀に毎回付き合わされると、そうも言っていられなくなるだろう。
「そもそもだけれど……、結晶洞窟に入る前に、スマホで推奨レベルの確認はしたのかい?」
「そんなのあるんですか?」
「あるとも。テラスタルのエネルギーを計測して、おおよその強さを星の数で表すアプリがあるのだけれど……。入れていないね。知らなかったから当然か」
説明しながら、スマホロトムでアプリを開いた。
アプリの指示通り、テラスタルの結晶をカメラに翳して数秒待つと、計測結果が表示される。
「中にいるのはイキリンコ。強さの指標である星は四つ。……ジムバッジを複数手に入れられる強さであることが望ましいね」
「街のすぐそばなのに!?」
「洞窟が表出する場所も、中にいるポケモンの強さもランダムだ。だからこそ、挑戦する前に確認することを忘れずに」
「はぁい……」
カインの説明を受けながら、各々自分のスマホロトムに件のアプリをインストールする。試しに生徒達も洞窟に入る推奨レベルを確認している。これで、何の用意も無いまま、ポケモンの棲家に押し入ろうなどと考えは改めてくれると良いのだが。
「このアプリがあれば、今回みたいにふっ飛ばされずに済む!!」
「その前にテラスタル研修受けるぞ……。先生が言ってただろ、テラスタルしなきゃバトルにならねぇって……」
「うぅえ……、そうだった……」
「話は済んだかな? ひとまずポケモン達は回復してあげよう。君達も……、うーん……、わたしは人間の怪我に関して知識が足りないから、不安なら一度アカデミーのミモザ先生を訪ねるように」
「はーい」
「返事は短く」
「はい」
「よろしい」
まったく、初日だというのに元気がいい。
彼らはテラスタルのことをレポートにしてくれるのか、それとも別の事に興味を持つのか。どちらにせよ楽しみだと、機嫌がよく見回りを再開したカインは、遠くから聞こえる音を聞き付けて足を止めた。
ムーランドと顔を見合わせて、慌てて音が聞こえた方へ駆け出す。ランクルスのサイコキネシスの力も借りながら、崖を越えてでも最短ルートで突き進む途中から、音も聞こえなくなってきた。嫌な予感に空回りしそうなカインの足元で、岩肌の合間を縫うように数人の生徒が走り去って行く。
「……あれは……、ペパーとアオイ……?」
二人の背後を守るようにもう一人、眼鏡の青年が走っている。何があったかは分からないが、アオイがクワッスを庇うように抱き締めながら走っているのも気になった。
「……嫌な予感がするな……」
彼らが逃げてきた方向に目を向ける。念の為、危険が無いか確認した方がいいだろう。崖を降りて、ムーランドと共に周囲を確認する。
「……ムーランド、牽制する程度で構わない」
崖下に降りて、周囲を見て回る。何やら気が立っているガケガニ達に威嚇されるだけで、落石の危険がありそうな箇所は見当たらない。
初日からポケモン達を怒らせる生徒ばかりだ。ペパー達も踏み込み過ぎたのだと判断して、カインはため息を吐きながらムシャーナを呼んだ。ムシャーナの煙の力を借りて、ひとまず落ち着いてもらおうと考えたのだ。
怒っているポケモン達には、アカデミーの生徒の違いは分からないだろう。何も知らずに通りかかった別の生徒が、怒っている彼らに訳も分からず追い回されるのはさすがに可哀想だ。
「さて、何があったのやら……」
落ち着きを取り戻したガケガニ達と別れて、カインは先程ペパー達が走り去った方へ向かう。この先には、ポケモンセンターがあったはずだ。アオイの様子を見るに、間違いなくポケモンセンターを利用しているだろう。
(アオイもわたしの講義を受けている生徒なのだけれど……。巻き込まれたのだろうか……、……ペパーに……)
そんな事を考えていると、ポケモンセンターが見えてきた。案の定、先程の三人の姿が見える。
自分の授業を受講していない二人に、ポケモンの棲息域に踏み込む危機感を持ちなさい、と注意しなければ考えていたカインは、聞こえてきた声に顔色を変えた。
「だってそうだろ? 指示は出せねぇ、グルトンは技出す暇もなく伸ばされてるってのによ……」
「ごめ、なさ……」
「クワッスが戦闘不能ちゃんになったら動けなくなっちまうし……」
「ペパー!」
「な、なんだよ! 本当のこと言ってるだけだろ?」
何やら険悪な雰囲気がカインの所まで伝わってくる。
沈み込んだアオイの声音は、普段の明るいそれとは大違いだ。ペパーの発言を咎めるもう一人の生徒は、どうやらアオイの立場に立っているらしい。
仲裁に入るべきだろうか。しかし、先程の生徒達は自分達で落とし所を探していた。教師であるカインが無闇に介入してしまっては、自主性等が損なわれてしまうかもしれない。
しかしカインが迷っている間にも、事態は解決に向かうどころかどんどん悪化していく。
「人に自分の宝さがしの手伝いさせといて、随分な物言いだな? おい?」
「手伝うって言ったのはアオイだ!」
「そもそも手伝ってほしいとか、ほざいてきたのはお前だろ!」
「お、お兄ちゃん! ペパー先輩も……」
青年に胸ぐらを掴まれたペパーも、同じく胸ぐらを掴み返して睨み合っている。まさに、触れただけで爆発してしまいそうなマルマインが二匹いるようなもの。
二人の様子に、アオイが止めに入ろうとしているが、どうしていいかわからず、二人の顔を交互に見ているだけ。
「仕方ねぇだろ! オレにだって事情があるんだ!」
「事情? お前の夢のことか? 一人で叶えることもできねぇ、人を泣かせてまで叶えたい夢なんて辞めちまえ!」
「なんだと!? 何も知らねぇくせに!」
(……駄目だな。普段なら話し合いで解決できるのかもしれないけれど、今はそんな余裕も無いようだ)
ペパーが拳を強く握り締めたのを確認して、カインはランクルスに指示を出した。
「ランクルス、サイコキネシス!」
「くぅる!」
カインの指示を受けたランクルスが、手を握る動きをした。途端に、何かに握られたように二人の動きが止まる。
何事かと振り返ったペパー達に、腕を組んで大きなため息を吐いて見せた。ペパーの方は、カインを見るなり助けが来たと言わんばかりに目を輝かせているが。
「全く……。何をしているんだ」
「カイン!」
「カイン……?」
「"先生"を付けなさい」
ペパーの呼び方に苦言を呈しながら、カインはアオイの方へ意識を向けた。
「せんせ……」
「もう大丈夫だよ。ランクルス、彼らを引き離しなさい」
「くる」
自分を見て安心したのか、泣き出してしまったアオイを宥めるように抱き締め、カインはそのままランクルスに指示を出す。
腕を伸ばす動きに合わせて、青年とペパーの距離が物理的に開く。そのまま手を離せば、二人は体の自由を戻した。
「さて。……二人とも。どうしてランクルスのサイコキネシスを受けたか、理由は分かるかい?」
「今にも殴り合いを始めそうな一触即発の空気だったから、ですよね」
「グッド。理解はしているね」
「カイン! だってこいつがっ……!」
「ストップ。全部見ていたよ、ペパー」
「う……」
カインの問い掛けに、淀み無く答える青年に対して、ペパーは不満を顕にして彼を指差す。文句を言い募ろうとしたペパーの言葉を、一つ手を叩いて強制的に終わらせた。
「彼の言う通りだ。頼み事を快諾してくれた相手にそんなことを言うものではないよ」
「うぅ……」
「かといって君も、先ほどの態度は感心しない。彼女をこれ以上傷つけないようにするためとは言え、ね」
「……すみません」
ペパーに反省の色を確認したカインは、青年へと向き直る。先に問題発言をしたのはペパーだが、先にペパーの胸ぐらを掴んだのは彼の方だ。
謝罪までに一拍空いた事は気になるが、"兄"と呼ばれるだけあって建前を上手く使えるらしい。彼の処罰をどうするかは、彼の担任教師が考えることだ。
「さて。この話は一度ここまでにしよう。君は私の授業に来たことが無いね? 名前を聞いてもいいかな」
「はい。俺はあるじまと言います」
カインの介入で未遂で済んだものの、事は暴力沙汰だ。担任の教師に報告をしなくてはいけない。
その旨を告げながら、カインはまずあるじまと名乗った生徒へ近付いた。
「わたしはカイン。アカデミーでポケモンとの生活について教鞭を取らせてもらっているよ。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「あるじま、君の生徒手帳を検めさせてもらう。担任教師から事情を聞かれるかも知れないので、そのつもりでいるように」
「……はい」
ひとまずの返事はあるものの、どうやら彼は自分の授業に出席する生徒とは違うタイプのようだ。
規則に則って報告を済ませると、そのタイミングで預けていた彼らのポケモンも治療が終わったらしい。
受付のジョーイが呼ぶ声にまずアオイが駆け出し、その後をあるじまが続く。動かないペパーの肩を叩くと、一拍遅れてペパーもジョーイの元へ向かった。
「お預かりしていたポケモンたちは皆元気になりましたよ」
「ありがとうございます!」
「クワッ」
「クワッス! よかった……」
真っ先に駆け寄ったアオイの声に反応したのか、ジョーイが持ってきたボールの一つが暴れ出す。間を置かずに飛び出してきたクワッスをしっかりと抱き止めたアオイがほっとしたように呟いた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
あるじまもボールを受け取って、慣れた手付きで腰のベルトに装着する。最後にペパーが受け取ってボールを仕舞ったところで、カインが口を開いた。
「さて、わたしは一度アカデミーに戻ることにするよ。ペパー、君もついてきなさい」
「な、なんでだよ! あのガケガニがヌシなのは間違いないんだ! 次こそは……」
「ペパー」
「っ……!」
やはりペパーが、ガケガニの縄張りで無茶をした主犯のようだ。もう一度、とアカデミーへの帰還を拒否するペパーの肩に手を置く。マフィティフの為に必死になっている事を十分理解した上で、カインは首を振るとアオイとあるじまへ向き直った。
「カイン!」
隣にいるペパーの咎めるような声が聞こえる。きっと顔を見れば、信じられないと言いたげな顔をしているだろうが、今のカインは彼の顔を見ることはできない。
何故なら、カインは二人に向かって頭を下げているからだ。
アオイとあるじまに対して頭を下げたまま、カインは謝罪の言葉を口にした。
「遅くなってしまったが、君達にペパーに代わって謝罪を。巻き込んでしまって……、そして傷付けてすまなかった。ペパーにはわたしからも言っておこう」
「し、謝罪なんてそんなっ……、大丈夫です……! そもそも、スパイスを取るだけってバトルがないって思ってたのは私だし……」
頭を上げてくださいっ、と慌てるアオイの言葉にカインが顔を上げると、あるじまはため息を吐いている。ぽん、と彼女の肩に手を置かれたアオイが彼を見上げた。
「アオイ。許すつもりがあるなら、その謝罪は受けておけ」
「お兄ちゃん……」
「実質的に巻き込まれたのも傷付いたのもアオイなんで、俺に謝罪はいりません」
「分かった。でも、すまなかったね」
最後にもう一度謝罪を口にして、カインはテーブルシティへと歩き出す。ペパーが付いて来る様子が無いので、ランクルスに指示をして半ば抱えるように移動を始めた。
「離せよっ! 離せ!!」
「自分の足で付いて来るのなら解放するけれど」
「いいから離せっ」
「……ランクルス、ペパーを放してやってくれ」
「くーるぅ」
歩き始めてすぐ。ペパーがじたばたと暴れ出した。自分で歩くのなら、と条件を付けたものの、彼は話も聞かずに離せと繰り返すだけ。ランクルスも困った顔をしているので、カインは仕方なくペパーを自由にした。
その途端、ペパーは来た道を数メートル逆走して、カインから距離を取る。
先程の様子を見て、再び無謀な挑戦に向かう可能性ありと判断して、ランクルスに頼んで運んでもらっていたのに。
(デンチュラの糸はあまり使いたくないのだけれど……)
デンチュラの糸を全身に巻き付けて身動きが取れないようにして、担いでアカデミーに連れて行くというのはあまりにも目立つ。初日から問題行動を起こしたと周囲に知らしめるようなものだからだ。
しかし、逃げようとするのなら話は変わってくる。仕方が無いと、デンチュラのモンスターボールに手を伸ばしたカインは、ペパーの言葉に凍り付いた。
「カインならっ、先生ならオレのこと助けてくれるって信じてたのに!!」
「…………は?」
ランクルスのサイコキネシスならともかく、カインではすぐには捕まえられない場所から、ペパーは叫ぶ。
「親にでもなったつもりちゃんか? 誰も代わりに謝って欲しいなんて言ってない!! 助けて欲しかったのに!!」
「──そう、か……」
ボールに触れようとしていた手が、そのままストンと落ちる。
今にも泣きそうな顔をしているペパーを前に、カインは静かに目を閉じる。
(ああ、間違えてしまった……)
一つ深呼吸をして、カインは閉じていた目をゆっくりと開いた。
「ロトム、ペパーの連絡先を消してくれ」
「ロト!?」
呼ばれたロトムが鞄から飛び出してきた。驚いた声を上げて、カインとペパーの顔を交互に見比べているのを横目に、カインはペパーに声を掛ける。
「そう、君の言う通り。わたしは教師で君は生徒だ。やはりあの時、連絡先を消しておくべきだったんだ。教師と生徒が直接連絡を取り合える今の状況がおかしい。だから、わたしは君の連絡先を消去させてもらう」
「…………」
ロトムは困惑したまま、カインの言葉通りペパーの連絡先を消去した旨が画面に表示されている。それを確認して、カインはスマホを鞄にしまった。
「……すまない。わたしのミスで君を不要に傷付けた。顔も見たくないだろうけれど、君をこのまま解放すると、無謀な行動を起こしかねないと思っている。アカデミーに送り届けるまでは我慢して欲しい」
「ちが……、オレは……、オレは……!」
カインの言葉に、何故かペパーは酷く狼狽えた様子を見せた。落ち着き無く視線を彷徨わせながら、バックパックの肩紐をきつく握り締めている。
「……君はどうしたいんだ?」
「……オレは、マフィティフを治したいだけなのに……!」
「治したいという気持ちだけでは、マフィティフを治せない」
「じゃあバトルが強いヤツを紹介してくれよ!」
「それは教師としても、ポケモンに関わる人間としても、わたしの仕事じゃない」
「結局何もしてくれねぇのかよっ!!」
「そうだね。必修科目でもなく、ましてや課外授業の最中である以上、学ぶ意志の無い生徒に教えられることは無い。わたしは教師だから」
「うるさいうるさいっ!! ……うぅっ、ううう……」
「……君がそうあれと望んだんじゃないか」
ついに崩れ落ちたペパーは、呻くような声を上げている。
歩ける様子が無いので、そっとランクルスがペパーを抱きかかえた。もう抵抗する様子は無い。そんな精神状態ではないとも言えるだろう。
(……難しいな……)
課外授業にはカリキュラムが無い。それはつまり、教師であるカインも、どう接するのが正解なのかが分からないということだ。
自分の至らない部分のせいで、すっかり憔悴したペパーを気遣わしげに目を向ける。どこから間違えたのかは分からないが、校長であるクラベルに諸々の経緯の報告は必要かもしれないと小さくため息を吐いた。