ハッサクさん夢短編集
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「みんな来たよぉ〜! 元気だった?」
『紫音だー!!』
「あぶふぇ」
今日、僕は紫音と一緒にフユウの所にいるポケモン達に会いに来た。
紫音がハッサクと最初に会った場所でボールに入ったポケモン達。バトルが苦手で、前のトレーナーにいらないって言われちゃったポケモン。アオイのトモダチにしょーたいされた場所で仲間になったポケモン達……。とりあえずいっぱいのポケモンが、紫音に群がってる。……ああ、転んで見えなくなっちゃった……。
『こらー! 紫音が転んじゃったでしょ! 並んで!!』
『はーい……』
「た、たひかった……」
「遠くから見てたら、襲われたみたいやったで?」
地面に寝転がって、ぜえぜえ鳴いてる紫音を見下ろしたフユウが笑ってる。……まぁ、会いに来た紫音に喜んでるって分かってるから笑えるんだけどね!
「とりあえず、静電気でめちゃくちゃになった髪の毛ちゃんと結び直した方がいいかも」
「メークルの愛……」
『あいっ!』
メークル……、メリープは、名前を呼ばれて嬉しそうに返事をした。そのままメークルは、髪の毛を結び直す為にスマホロトムのカメラを使い始めた紫音の足元に座る。
『ラクシア』
『ん? なぁに?』
『その……。バトルの練習したい……』
髪の毛ダイバクハツしてる紫音を見て、水のお手伝いがいるかなぁって考えていた僕は、ちょんちょん、とつつかれて首を傾げた。
振り返ると、そこには最近仲間入りしたマーリンがいる。マーリンは"ハリマロン"って種類のポケモンなんだって。僕達とバトルしたら、酷い目に遭っていらないって言われちゃったポケモン。
『バトル怖くないの? 大丈夫?』
バトルでコテンパンにやっつけちゃった僕達と一緒にいて大丈夫かなって心配だったんだけど。マーリンは、前のトレーナーがあんまり仲良くなろうとしてくれなかったみたいで、紫音を見ると足にギュッとしがみつくんだ。
『怖い……、けど。練習しなくちゃ、強くならなきゃ……。進化、しなくちゃ……。またいらないって言わるのも怖くて……』
マーリンはぷるぷるしていた。進化しなきゃ、って言うマーリンに、僕はビックリして大きな声を出す。
『ええっ!? 僕、進化してないよ?』
『え?』
『待っててね! ロトムー!!』
『なにか用?』
『僕の図鑑、見せてー!』
『今ムリ』
『そんなぁ!』
『紫音の髪の毛ダイバクハツが直るまでムリ』
『むぅ……』
それはしょうがない……。メークルから紫音に移った静電気、メークルがくっついてるから直らないんじゃないかな……? まぁ紫音は後でいっか!
コーハイの悩みを聞いてあげるのもセンパイの役目なんだって。フカマル先輩が言ってた。紫音の手持ちイチバンのセンパイは僕だから、僕がマーリンの話を聞いてあげなくちゃ!
『うーん……。マーリンは進化したいの?』
一番大事なのは、マーリンが進化したいかどうか。
僕だって進化できるけど、進化せずに強くなろうって紫音と決めてここまで旅をしてきたんだ。僕がそうなんだから、マーリンだって進化しなくても紫音はなんにも怒らないに決まってる。
それに、僕は進化しない一番の理由があるんだけど。
『それに……』
『それに?』
『僕はね、進化しちゃうとおっきくなって、紫音の肩に乗れなくなる……』
『えっ……!』
『抱っこはしてもらえるかもしれないけど……、大きくなった分、身体も重たくなるからちょっとしか抱っこしてもらえなくなる……!!』
『そんなっ……!!』
ヒソヒソ、とマーリンに囁くと、マーリンはショックを受けた顔になった。
基本的に、進化するって身体も大きくなるって事だ。あんまり変わらないニャッコみたいなポケモンの方が珍しいくらい。
『むんって大きくなって、もう一回進化するとむむんって大きくなる』
『それでも、強くなるんでしょ……?』
『そうだねー。でも僕は、強くなった代わりにできない事が増えるのが嫌だったんだ』
特に僕は、頭のヒレがレーダーになってる。強くなった分、周りを警戒しなくたって襲われてもやっつけられるから、レーダーを使わない様になる。……らしい。紫音がそう言ってたから、そうなんだと思う。
『そのレーダーって、どんな感じなの? ぼくもできる?』
『うーん……。そうだなぁ……。あ、ニャッコ!』
説明するより、見てもらった方が早そう。そう思って、イトマル二匹に混じってカロンにお手玉にされてるニャッコに声を掛けた。
『なぁにー』
ふよふよ、とお手玉遊びから抜け出したニャッコが近付いて来る。一緒に遊んでたイトマルもとさっ、と着地してカロンと集まってきた。
『僕に何か技使って!』
『んんー?』
『マーリンにバトルのお手本見せるの。避けるから何の技でもいいよ!』
『……んんー。じゃあ……』
ちょっと考えたニャッコが、ふわふわと空へ飛んでいく。どこまで上がるのかな、と皆でニャッコを見上げてたら、僕のレーダーがビビッと震えた。
『とぉっ、てゃー』
急降下からのアクロバットだ! ニャッコは軽くて速い。ヒュンヒュン音を立てて、右に左に飛びながら近付いてくるニャッコ。そんなニャッコが通る場所にアタリを付けて、僕は水をちょっと強めに吐き出した。
『あぁーなんでこんなぁー……』
『……わぁー! ニャッコごめん!!』
僕が思ってたより、勢いが強くなっちゃった! 水鉄砲が直撃したニャッコは、屋根より高い位置まで舞い上がる。
『……ネルネ、糸で助けてあげて』
『お任せをっ』
イトマルコンビの片方ネルネが、カロンの言葉に頷いて木に登った。ネルネをサポートする為に、もう一匹のイトマル──ねちゃマルが糸で器用にボールを作ると、それをネルネにパス。糸ボールを受け取ったネルネは何をするのかと思っていたら、自分が吐き出した糸にそれをくっつけてブンブン回し始めた。
『え!? ニャッコどんどん遠くなってるよ! どうするの!?』
実際、遠くの方から『とめてぇー』ってニャッコの声がする。うっかり打ち上げちゃったのは僕だけど、ハラハラするしか出来ない。今近くにいる飛べるポケモンは、ジャックしかいない。ニャッコを捕まえる為にパクっと口に入れて、うっかり飲み込んじゃったら大変だ!!
『ご覧あれっ!』
『せぃっ!!』
ネルネが気合の声を上げて、糸ボールをニャッコに向けて投げ飛ばした。ニャッコ目掛けて一直線の糸ボールが、何だか生きてるみたいにニャッコにくるくると巻き付いていく。
『……ねっとり……』
無事、糸に絡まったニャッコを風船みたいに引き連れて、ネルネがサッソウと戻って来た。……シュウメイが言ってた、これニンジャだ!!
『あら、おかえり』
『ねっちょり……』
『任務遂行!』
『わぁ! ネルネとねちゃマル、スゴいんだね!!』
糸でぐるぐる巻きになってるニャッコが、すっごく嫌そうな顔をしてる。抜け出そうとジタバタしてるけど、ニャッコの小さな手じゃ上手く脱出できないみたい。
『ちょっと事故があったけど、僕のレーダー使うとこんな感じだよ。ビッて来たら、シャっと動いてドシャー! ……って感じ』
ニャッコの脱出をサポートしながら渾身の説明をしたら、マーリンは不思議そうに首を傾げた。マーリンだけじゃない。ネルネもねちゃマルも分かってないみたい。
『……ごめん、なんて言ったの?』
『だからね、ビッて来たらシャっと動いてドシャー、だよ!』
『う、ううーん? ニャッコはどんなバトルするの……?』
『ひゅーん。ふわふわー。すぱーん。やったー』
『……ごめん、もっと分かんなくなった……。ネルネとねちゃマルは分かった……?』
『分からぬ……』
『不出来……』
『何でー!?』
『何でー?』
今度は僕とニャッコが首を捻る番だった。
顔を見合わせてもう一度首を捻ってたら、カロンが糸まみれのニャッコを水で洗ってあげながらため息を吐く。
『ラクシアは小さいから、小回りが利くの。相手の動きを察知して、小さな身体で相手の隙を突くのが得意。ニャッコはさっき見た通り軽いから、ふわふわ動いて相手の隙を作るのが得意。……それを、ラクシアとニャッコは感覚でやっているという話よ。これをラクシア達が説明すると……』
『ビッて来たらシャっと動いてドシャー』
『ひゅーん。ふわふわー。すぱーん。やったー』
『……こうなるって事』
『な、なるほど……!!!』
カロンの説明に、やっとマーリン達にも僕の説明が伝わったみたい。……ん? ほぼカロンが説明したよね、これ!?
『ちなみにカロンはどんな感じなの?』
『私は大きいから。紫音と一緒なら華麗に滑り込んで至近距離でも構わないし、相手が近寄って来ても魅せられる自信があるわ』
『す、すっごい……』
『わ、我々も』
『紫音と一緒に戦ってみたい!!』
話を聞いていたマーリン達がわぁっと手を挙げた。
今日ボックスに来たのは、皆に会いに来ただけじゃなくて、手持ちの入れ替える為でもあるんだよね。そのまま、連れてって貰うアピールをしようと紫音の方へ走って行く。
『今日も元気に手持ち入り枠の争奪戦が始まりそうだねぇ』
もうくっついたまま離れないメークルや、鞄に潜り込んじゃってるヒマナッツとの競争が始まるんだ。……始まるんだけど……。
『……何か紫音ヘンな事してない?』
『紫音が変なのはいつもの事でしょ。……何でフユウにドゲザンしてるのかなんて、ラクシアなら分かる?』
『……分かんない……』
そう、話し込んでる内に、紫音は何故かフユウにドゲザンしてた。どうしたのかな、って僕とカロンが紫音のヘンな行動に困ってるメークルやマーリン達に近付くと、そのタイミングで紫音がガバッと顔を上げる。
「どうして手持ちポケモンは六匹だけなのぉぉお!?」
……なぁんだ、いつもの発作かぁ。今日はドゲザンなんだね……。
紫音はポケモンいっぱい連れて行きたい。でも、六匹までしか連れて行けないって決まってる。六匹に決められない紫音は、ボックスに来る度こんな風にフユウにわがまま言うんだ。
「何度でも言うたるけどな? こうやって広い場所で世話出来る牧場と違って、ポケモンのストレス無く生活出来る数は六匹なんや。ハッサクさんみたいに、みーんな同じタイプならそれなりに生活環境を合わせられるからその限りでは無いけど、紫音はタイプいろいろおるやろ?」
「七匹連れてる人もいるー!!」
「その七匹目はライドポケモンやな。環境に適応しやすいノーマルタイプのモトトカゲとか……」
「はっ……! つまりジャックにライドポケモンになってもらえば七匹連れ歩けるの!?」
「でっ……、伝説のポケモンをライドポケモンにしようとすなアホー!!」
「いぁー!!」
フユウにおでこをペチンと叩かれた紫音が、ぐすぐす言いながら僕を抱き上げて、お腹に顔をくっつけて来た。ううーん、くすぐったい!!
「ほら、今日連れてってあげるポケモン選んで」
「みんな連れてく……」
「あかんってぇ……」
今日も紫音は誰を連れて行くか選べない。つまり……。
『今日もジンギ無き戦いが始まるって事だね……』
思わず遠い目をした僕の一言で、紫音ともっと一緒にいたいポケモン達が、一斉に牧場の開けた場所へ駆け出した。
【登場ポケモン】
・ラクシア
紫音の相棒枠。みんなが認める固定枠になっている。バトルは感覚派。
・カロン
紫音の固定枠そのニ。自身の性格もあって、冷静なバトル運び。
・ニャッコ
パルデア最初のポケモン。バトルは感覚派。
・メークル(メリープ)
パルデア最初のポケモンの一匹。まだ紫音とバトルデビューできていない。今日こそ手持ち枠争奪戦に勝ちたい。
・マーリン(ハリマロン)
バトルは苦手。ラクシアとのコンビにバトルを挑んで敗北した結果見捨てられて、紫音のポケモンになった。バトルはこれから勉強する。理論派。
・ねちゃマル、ネルネ(イトマル)
キタカミからやって来た、パルデア環境への慣らし期間が終わったばかり。いつも二匹一緒。コンビを変えてバトルしてみたい気持ちもある。理論派。