ハッサクさん夢短編集
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いざいざ! ワクワクのパンフレットご開帳〜!!」
「ごろ〜!」
「はにゃ〜」
「キュエー」
あれやこれやそれやどれ。とりあえず生活に必要な物を買い集めて、ひとまず生活出来る様になった。
明日は、ハッサクさんと同じ職場で働く人とお買い物の予定。女の子の買い物は、やっぱり女の子がいてくれた方が助かりますからね。
晩ご飯も食べ終わって片付けまで済ませた私は、ソファにお邪魔してクラベル校長先生に渡されたアカデミーのパンフレットを開いた。
しかも、普通の学校案内じゃない。ポケットモンスターの世界にある学校の案内だ。ゲームでは、序盤の町に塾があったけど、こんなに大きな規模の学校は無かった。どんな事が勉強出来るんだろうと、今からドキがムネムネです!!
「気になるのはやっぱり授業だよねぇ」
「フッフカ!!」
「フカマル先輩もそうだと言っています!」
膝の上に陣取ったラクシアとハネッコ。私の両サイドを固める小さなドラゴンポケモン達。あれこれ話しながらページを捲っていく。
まず気になったのは生物学! ポケモンについて学ぶ授業。せっかくこの世界に来たんだから、何よりも優先して勉強したい!
続いてポケモンとの生活学。生物学とは違うのかな? どっちにしろ、ポケモンと暮らしていくんだからこの授業も必須級だと思う。
バトル学。タイプ相性から始まって、実戦までやるのかな? 個人的にはバトルを専門に勉強する程の熱意は無いけど……。フェアリータイプも増えたそうだし、他の人のポケモンバトルを見るのは絶対に楽しいので、これも紫音的必修科目。
そして……、あっ! 数学がある!! 数学かぁ……。どうしよう、どのくらいのレベルなんだろう……。もし、ポケモン的数学理論とかあったら勉強しないのはもったいない気もする……。
「ごろ……、じゅる」
「どったのラクシア。……なるほど、サンドイッチ気になる?」
ふむふむ、と読み込んでたら、ラクシアがヨダレを垂らす音が聞こえた。声を掛けたら、慌ててヨダレを飲み込んだけど。美味しそうなサンドイッチに釘付けになっていた。パンフレットを動かしてみると……、パンフレットの動きに合わせてラクシアの頭も動く。
「さっきご飯食べたでしょ!」
「ごろー!!」
コンビニでよく見掛ける食パンのサンドイッチじゃなくて、バゲットで作られたサンドイッチが載っているページにあるのは……、家庭科だ! これはポケモンも食べられるご飯の話とか聞けるのかな?
「この授業受けたからって、きっと毎回ご飯食べられる訳じゃ無いんだよ〜?」
「ごろー! ごろごろっ!!」
どっちにしろ、ラクシアがやる気満々なので家庭科も履修決定です。
「これは大変だぞぉ……!」
どんどん増えていく履修予定。それと同時に増えていく勉強量。……これは大変だぞぉ……!
「フカ!」
「お次はフカマル先輩が気になる授業? ……あ、美術じゃん。ハッサクさんの担当授業だ!」
そんな事を考えながらパンフレットを読み込んでいたら、あるページを開いた途端にフカマル先輩が膝に割り込んできた。
紹介されているのは美術の授業内容。そう、お世話になっているハッサクさんが受け持っている授業!
「学校ではハッサク先生って呼ばなきゃだ」
「呼びましたですか?」
「ハッサク先生!」
「はい、ハッサク先生ですよ。何か気になる事がありましたか?」
ワイワイ盛り上がっていると、ハッサクさんが近付いてきた。ソファの後ろからパンフレットを覗き込むと、何の話題で盛り上がっていたかすぐに分かったみたい。にっこり笑うと、フカマル先輩に目を向けた。
「授業は、フカマル先輩に手伝ってもらう時もあるのですよ」
「えぇ!? 先輩スゴい!!」
「フッカ……」
フカマル先輩渾身のドヤ顔。フカマル先輩はどんな授業をしてくれるんだろう。ますます外せなくなりましたね。
「他にも、セイジ先生の言語学でもポケモンがお手伝いしてくれるそうですよ」
「言語学も!? そうなんだ……! すっごく気になる……!!」
言語学はどうしようかな、って悩んでたのに。一瞬で授業受ける以外の選択肢が吹っ飛んだ。
この調子だと、パンフレットに載ってる授業全部受ける流れになってしまうんじゃ……。
「ハッサクさん……」
「はい」
「現状、授業全部受けたいと思ってるんですけど……。これから編入して追い付けますかね……?」
「……君の頑張り次第、ではありますね」
「うぅー!!」
高校受験の時以来の勉強量になってしまう予感!! しかも、あの時は受験というゴールがあったけど、今回は皆に追い付く為の勉強。スタートラインに立つ為の勉強って事だ。ハッサクさんに学費を出してもらう以上、留年なんて絶対に避けなきゃいけないし……!
ちなみに。卒業後に少しずつでも働いて学費を返します、って言ったら、私が諦めるまでしばらくの間「聞こえませんです」「そんな気を回さずとも結構ですよ」って言葉を繰り返されて……。ハッサクさんからNPC的反応をされるのが怖くなって、この話はハッサクさんにはしない事にした。理事長さんに相談してみようと思う。
閑話休題。
「失礼、パンフレットを捲りますですよ」
「あ、はい。どぞ」
「アカデミーには、長期の課外授業があります。……ああ、ここですね」
「課外授業……」
私が渡したパンフレットをパラパラと捲って、先のページを開いたハッサクさん。
トントン、とハッサクさんの指が宝探し、と書かれた部分を叩く。……指長いんだなぁ……、なんて感想を持ちながら、ハッサクさんの指を目で追い掛けた。
「アカデミーでは、生徒一人ひとり、それぞれの宝物を探してもらう為の課外授業を行っています。その期間がそれなりに長いので、紫音も頑張れば十分に追い付けると思いますよ」
「宝物を探す……。ほわぁ楽しそう!」
「君は来年ですね。今年の課外授業期間は終わり、今はレポートの提出期間です」
「んぁ〜! 来年!!」
楽しみは来年、って事だ。うぅ〜! 授業以外にも出遅れたものがあるなんて!!
がっくり肩を落とした私に苦笑いをして、ハッサクさんは慰める様に頭に手を添えた。じんわり手のひらから伝わる温かさに、落ち込んでた気持ちが少し軽くなる。これが……、ハンドパワー……!?
「あれもこれもと欲張っては、結局何も出来ずに終わってしまいますです。授業に追い付く方向に頑張る期間だと思いましょう」
「そうします……」
「本来は、受ける授業等を決めるオリエンテーリングがあるのですが……。君は編入ですからね、学校見学の予定を立てるのも一つの手です。その際に制服を受け取れる様に、予め事務局に君のサイズを頼んでおきましょう」
「制服!! 制服まであるんですね!?」
制服だって! 高校卒業してるし、もう制服を着る事は無いと思っていたから少し嬉しい。ブレザーかな? セーラーかな? もしかして可愛いワンピースタイプだったりするのかな!?
「制服は、春夏秋冬、それぞれのタイプを用意しています。見本は……、ああ、これですね」
「冬服、夏服だけじゃない……!?」
「先程言った通り、宝探しに関係があります。生徒によっては、パルデア全土を回りますから。体温調節の為に、各季節二種……、全て合わせると八種類ですね。お好きなデザインの取り合わせで注文出来ます」
「なるほどぉ。……どんなデザインなんだろ……!」
ドキドキ。制服のデザインが載っているページに目を落とす。夏服は、活発そうな女の子がモンスターボールを構えている写真だった。生徒会長なんだそう。
「……あれ?」
「どうかしましたか?」
ぱらり、ぱらぱら。何度見ても、何度ページを捲っても、スカート形式の制服が無い。
私の様子に違和感を持ったのか、ハッサクさんも怪訝なお顔で私の座るソファに腰掛けた。
「あの、スカート形式の制服が無いなぁって……」
「君はスカート形式がご希望でしたか?」
「女子の制服はスカートなんだとばかり……。でも、この夏服の人は女の子なんですよね?」
夏は半袖短パン……、と言うよりショートパンツ形式。後はハーフパンツだったりスラックスだったりで、どこにもスカートが無い。
「もちろん、希望があればスカートを用意します。しかし、課外授業ではポケモンと力を合わせて崖を登ったり、水中を進んだりしますから……。最初はスカートだった生徒達も、やはりパンツスタイルが良いと変更する事が多いのですよ」
「動きやすさ!!」
そっかぁ! 火の中に始まってあの子のスカートの中まで冒険するんだとしたら、そりゃ自分がスカート穿く訳にはいかないよねぇ。
スカートで崖を登ろうもんなら、パンツ見え丸である。……シンオウの女主人公、どうやってロッククライミングしてたんだろう?
スパッツを履けば……、とも考えたけど、スカートがひらひらしてると木の枝とか引っかかって危ないだろうし。その点、パンツスタイルなら足の動きに沿っているからその危険下がりそう。紫音よ、己のうっかり屋度合いを忘れるべからず。
「じゃあ最初からパンツスタイルにします! 寒いの苦手なので、カーディガンあると嬉しいです」
「では、この秋服スタイルはニセット注文しておきます。……寒いのが苦手でしたら、タイツも購入しますか?」
「タイツ着用オッケーなんですか?」
「アカデミーの生徒だと分かれば、基本的に服装は自由ですよ。鞄や靴、靴下も基本的に指定はありません。……中には原型が分からぬほど制服を改造した生徒もいましたね」
「ひぇ……」
学校には不良もいるんだ……。服装で不良って分かるのはありがたい。近付かなければいいんだから。
「明日の買い物で、通学用の鞄等も気に入った物があれば買って構いませんですよ」
「うぅ〜ん……。小物類は、実際に制服を着てから選びたいです」
「ではそうしましょう」
「……ふへ」
「どうかしましたか?」
「あっ。……楽しみだなぁって」
好きなポケモンの世界に来た上に、勉強まで出来る機会を貰えた。
本当は遠慮した方が良いんじゃないかな、なんて気持ちも無い訳じゃないけど……。ここ数日暮らしてよく分かった。理事長さんが言ってた通り、私はこの世界を知らな過ぎる。
ゲームの知識も、DS止まり。この世界の常識も……、DS時代で止まってる。それどころか、世界が違うせいで常識を知らないまである。
これが夢ならそれでいいのかも知れないけど、何日経っても夢から醒めない以上、ここで生きていくしか無い。生きる為には学ばなくちゃいけないんだ。
「小生も、君との授業が楽しみです」
そう優しく微笑むハッサクさんに、私も元気良く頷いて答えた。
「頑張ります!」
こうして、私のアカデミー編入に向けての手続きが始まったのだった。