ミーティア越境編
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「よぉ、アンタが紫音か。話は聞いてるぜ」
紫音は困惑した。必ずやこの突拍子も無い出来事を、ハッサクさんに共有しなければならないと思った。
私には目の前にいる人物が何故こんな事をしているかは分からぬ。分からないなりに、理解しようと頭をフル回転して言葉を探していた私は、ラクシアからの無言パンチをほっぺたに受けて我に返った。
「……どうした?」
「……、……? どうしたも何も……」
「……オレはアンタが今日のSTC挑戦者だって聞いたんだが……」
「いやそうなんっ……、ですけど……」
……そう、今日はメロコちゃん達に呼び出されている。カチコミを教えてくれるって事は聞いてるし、迎えも寄越すって言われたけど……。なにぶん、迎えに来たって言う人のインパクトが強烈である。
ピシッとキマったリーゼントヘアにサングラス、そして短パンを履いた小僧……、ではなく初老の男性である。
「……なるほど。校長先生だってガクセーしたい……?」
そう、この人校長先生では? 日本の学校ではまあ考えられないけど、ポケモンの世界って自由なんだなぁ。……まさか本当に校長先生な訳……。
「……初見で見破られるとは……」
「うぇえ〜!? ホントに!? ……何やってるんですか?」
「このネルケ、STCの指導員でもありますから。ですので、この姿の時は校長先生と呼ばないように。一介の生徒、ネルケでお願いします」
「ネルケぇ……」
「おう」
「ひぃ〜!」
「何ですかその反応」
正直に言うと脳がバグる。これどういう顔でいたら良いの!? 笑っていいのかなコレ……。
「……オホン。……とりあえず、トレーニングの場所に向かうぞ」
「あの、先生……」
「ネルケ」
「ね、ネルケ……」
「おう」
「ひぃ〜!!」
「面白がってんな?」
ダメです、慣れません。"先生"と呼びそうになるだろうから、その度にラクシアにほっぺたを突いてもらって止めてもらう事にしよう。
ハッサクさん……、パルデアは面白い所ですね……。面白いから絶対教えたい。校長先生と生徒のわらじを履いてる話を、きっちり心のセーブポイントに書き込みました。
*
*
「おっせぇぞ紫音! ネルケも!!」
「悪ぃな」
「ひぃ〜!!」
「……この調子なんだよ」
「紫音君、また面白い事になってるね」
学校からタクシーでひとっ飛び。やって来たのは、ボウルタウンとハッコウシティの真ん中辺りの山岳地帯。
タクシーのゴンドラから降りるなり、仁王立ちしたメロコちゃんの大声が飛んで来た。
「始まる前からそんなんで大丈夫なんか……?」
「マジボスまで全員揃ってどうした? 今日はチーム・シェダルのSTCだろ?」
「紫音殿の事だ。絶対面白い事になる……、と皆の総意でこうして集まったでござる」
「えっ。応援とかじゃなく?」
面白い事になるからって! 紫音さんは至ってマジメなんですけどー! ……と言うかマジボスって何? 気になるぞ!
「おーい。オレ、この後習い事あるから早く始めてよ」
「ん。おい紫音」
「はぁい?」
「レッツゴー戦法の事は話したよな?」
「あ〜、うん。ポケモンに突撃してもらう戦法だよね」
「そう。STCは、そのレッツゴー戦法の応用で戦ってもらう。時間制限、撃破ノルマありだ」
メロコちゃんの説明にふむふむと頷く。確かに、時間制限があるバトルを特訓すれば、効率的にハッサクさんを探せる。納得だ。そして、この場所ではそのレッツゴー戦法でカチコミの特訓が出来るらしい。
「授業習ったレッツゴー戦法と違うのは、手持ちの三匹でバトルを回す事だ。スマホで手持ちポケモンの一覧が見られるだろ。その一覧上から三匹が戦う」
「ほおほお」
「で、だ。紫音の場合、普通のSTCのノルマより厳しくした方が良いだろうって考えたんだ。相手の手数が分かんねぇからな」
「ハードモード!?」
「いや、目指す難易度はルナティックに設定してある」
「マジすか」
「マジだ。レッツゴー初心者の為に、今日はカチコミのプロも用意してる」
カチコミのプロ!? えぇ怖いなぁ……。プロって言うから、てっきりロケット団みたいなヤカラだろうと想像してたら、皆の向こうから見慣れた顔がひょっこり登場したではありませんか。
「今日協力してもらうカチコミのプロ、アオイ君」
「え」
「ど、どうも……」
紹介を受けてえへへ、とはにかんで笑うアオイちゃん。可愛いねぇ。……ではなく!!
「カチコミ……、のプロ!? アオイちゃん、いつからそんな子になったの!?」
「え? うーん、紫音ちゃんに会う前には……?」
「ナ、ナンデスッテー!?」
「うっさ……」
メロコちゃんが顔をしかめているけど、ちょっと今日情報多くないですかね!? アオイちゃんの肩を掴んでぐらぐらしてたら、にこやかーに笑うピーニャ君の手によって無言のままアオイちゃんから引き剥がされた。
「友達の中でカチコミって雰囲気から一番遠い人が……、カチコミのプロ……」
「……話してねぇのか?」
「……話してない」
ショック受けてたら、私の様子を見てたせんせ……、ネルケがそっとボタンちゃんに声を掛けた。何やら深刻なご様子。
「ほぉ。何やらワケありって事だね?」
「うん。……話さなきゃって思ってた」
「ん〜。それ私に聞いて欲しい事? ボタンちゃんが言いたい事? 私がここに来る前にアオイちゃんと何かあったけど、今仲良しなら別に無理に話さなくて良いよ」
「……知りたくないの? 紫音が言う通り、この中じゃカチコミから一番遠い様な真面目ちゃんアオイがカチコミのプロになった理由」
「いやまあ気にはなるけど。知らなきゃ友達じゃないって言うなら聞きますけど。私も言えてない事あるし」
私の言葉に、ネルケが顔を逸らした。そうですよね、ネルケは校長先生として、私がパルデアに来たばかりの時に面談しましたからね。私が全て真実を話した訳ではない事も分かってるでしょう。そもそも日本から来ましたー、なんて言っても「日本とは?」ってなりますからね!
それでも、ハッサクさん含めあの場にいた皆が私に害が無いと信用してくれた。しかも、右も左も分からない私にアカデミーへの編入を提案してくれて今がある。
だからそんな私が、相手が言いたくない、言いにくい事を無理やり聞く訳にはいかないんだ。
「もちろん、実はハッサクさんがいなくなった事に噛んでるんだぜ、みたいな話なら詳しく聞かせてもらいたいけど。……違うでしょ?」
「もちろん違うよ! ……うん、でも……。そうだね、今じゃなくても良いかな!」
「僕達はアオイ君に助けてもらった。だから、今度は僕達が紫音君を助ける。それだけの話だよ」
「困っている友を助けずして、友は名乗れぬ」
「そゆこと。……それにさ、やられっぱなしはムカつくしね!」
「だから、紫音を助ける。休学届関係は、嘘書いて提出したら怒られるのは紫音だからどうも出来んかったけど」
「みんな……。ありがとうぅっ……、ハッサクさんなら泣いてた……」
「いやそこは泣けよ」
メロコちゃん冷静なツッコミありがとう。
だけど、皆の言葉がとてもありがたい。一人で頑張るつもりだったけど、皆に心配掛けたどころか、皆に手伝ってもらえるなんて。
「涙はエンディングまで取っておくものだよ!!」
「……そーかよ。じゃあSTCに話戻すぞ」
じんわり来た目頭をこすって誤魔化した私に呆れながらも、誰もそれ以上切り込んでくる事は無かった。皆優しい。
「STCは、基本的に一つのチームで一つのタイプが好きなヤツらが集まってる。オレは炎。ピーニャは悪って感じだな」
「ふんふん。水タイプが相棒の私がチュートリアルするにはいい相手、って事なんだね!」
「そういう事だ。攻撃の順番は、手持ちの上から回る。三匹目が突撃したら、今度は一匹目に戻る。ここまでで質問は?」
「無いよ〜!」
「よし、じゃあ続けるぞ。体力が減ると、レッツゴーする元気が無くなるってのは授業でやったな? STCも同じだ。だから、STCの間はネルケが支援に付く。回復担当だ。ネルケが遠かったら、近くにある自販機を使え」
「え? 傷薬とかは?」
「出来るんならやってみな」
ニヤッ、と笑うメロコちゃん。初心者には無理だろ、っていう意味の笑顔なのかな、と思っていたんですけど。
実際にアオイちゃんのデモンストレーションが始まったら、メロコちゃんが言っていた意味がよ〜く分かった。
「め、めまぐるしい……!」
走るアオイちゃん。その視線の先では、アオイちゃんの指示を受けて代わる代わる攻撃を繰り出す三匹のポケモン。続々と飛び出してくるポケモン達!
あっちに行ってこっちに指示出して、という光景を見せ付けられては、傷薬を〜、なんて言ってる余裕無いってはっきりと理解させられる。
そして何より。
「ネルケ何者?」
ハイスピードで走り続けるアオイちゃんと、つかず離れずのポジションをキープするネルケ。
「あれ、気付かないの? ネルケは校長だよ」
「いや気付いてるけどさぁ! そうじゃなくてあの体力何なんだって話!」
陸上選手みたいな美しいフォームで走ってますがな。校長先生、昔陸上選手でした?
「気付いてると言えば。紫音、アオイがポケモン達に指示を出す順番見てる?」
「……あー、うーむむ……。炎タイプに対して安定して戦えるウェーニバルを主軸にしてるのは分かるんだけど……。あの……、スイスイ浮いてるポケモンはいったい……?」
「はい、解説のピーニャ」
「あの子はアローラライチュウだね。電気とエスパータイプのポケモンだよ」
「アローラライチュウ。フュージョンだっけ?」
「リージョンな」
デモンストレーションを見ていると、どこから取り出したのか解説席みたいなテーブルと椅子がご用意された。
ピーニャ君の解説によると、炎タイプと言っても二つのタイプを併せ持つポケモンに対して、アオイちゃんは的確に指示を出しているんだそう。
「んん〜?」
「例えばあそこ。ファイアローがいるの見える?」
「ああ〜、見えます。……炎と飛行タイプの……」
「そう。……そして、STCでアオイ君と戦ってるポケモンは?」
「ウェーニバルと、ぽにちゃんと、ライちゃん……」
え〜っと、ちょっと待って。
まずウェーニバル。水と格闘タイプ。続いてぽにちゃん……。オーガポンは被るお面でタイプが変わる子。今は水タイプと草タイプ。そして電気とエスパーのライちゃん。
「あっ! ウェーニバルとぽにちゃんは、ファイアローとお互いに弱点タイプがある!!」
「正解! だからアオイ君は、ファイアローにライチュウをぶつける為に、レッツゴーの方向を変えたってワケ」
「ふむむ……。ただ走って指示出して、じゃないんだね……」
視野を広く持っていないといけない。ポケモンが攻撃する順番を把握しておかないといけない。そして何より、ポケモンの体力を把握しておかないといけない。
「STCの時はネルケが付いててくれるし、自販機で一息出来るからポケモンの体力は回復出来るけど、本番はそうはいかない。難易度ルナティックの時は、回復無しでクリアしてもらう予定だから」
「おぅふ」
にんまりと笑うボタンちゃん。恐る恐るクリア条件を聞いてみると……、回復無しで全員撃破した上で、ボスを倒す事。
「もちろん、メロコのチーム・シェダルが物足りなくなったら、他のチームで練習してもいいよ」
「他にもあるの?」
「もちろん。オレらそれぞれが得意なタイプを率いるボスってワケ。ピーニャとメロコは優しいけど、オレは手加減なんてしてあげないから覚悟しとけよ」
「最後に来るとしたらわたしの所かな? 来てくれるの楽しみにしてるね!!」
「んぇえ……」
「出来る事ならば、六つの星を集めて欲しかったが……」
「ノルマクリア出来たら、皆で校長に頭下げて休学許可もぎ取ったげる。その時には、もう校長も頷いてくれるだろうけど。……星を墜としたうちらが、今度は星を打ち上げるのかぁ……」
しみじみと呟いたボタンちゃん。その時、いたる所に設置されていた拡声器のスイッチが入った。ピー、ガガッ、というノイズの後に、メロコちゃんの威勢の良い声が響く。
『アオイ、ノルマ達成! 記録更新出来てねぇぞ!!』
「おー、終わった。んじゃ次、紫音だね」
『次、紫音! 用意が出来たら開始位置に来い!!』
「ひぃ〜!!」
いよいよ順番が来た。最初は、ラクシア、カロン、ジャックの三匹で参加しようと思っていた。だけど、あんなに走り回らきゃいけないとは……。カロンはあっちこっち走り回るのに向いてない。ニャッコもユミョンも炎タイプが苦手。そうなると、残る選択肢はモノズだけになる。
『どうした! ビビったか!?』
「何をぉ〜!? ビビってませんよ、やってやらぁ!!」
ご覧に入れましょう、初心者でもやれば出来るという事を!!
『紫音の為にポケモンも準備してやったんだ。バテんなよ。……おい、お前ら! 初心者が相手だ。丁重におもてなししてやれ!!』
「うおおおー!!」
丁重なおもてなしヤッター。……これはアレですよね、ヤクザとかマフィア的な言い回し。ボコボコにしてやれってヤツ! 負けてたまるかぁ!!
「よっしゃ行くぞ〜!」
「ごろぁ!」
「のんのず!!」
『おー』
「…………は」
開始位置に立って、ボールからポケモンを三匹出した。気合十分、てやんでぃ! そんな気合を入れてたら、サポートに付いたネルケがあんぐりと口を開けた。ネルケだけじゃない。近くにいた人はもちろん、少し離れた場所にいる人達もみーんなこっちを見て大きな口を開けてる。
「なっ……、何だそいつー!!」
「何だそいつー! と言われたら……」
『オルティガのケツ決まってっから、その話は後にしろ! 今回のノルマは十五分で三十匹だ!!』
「えぇ……、残念。……それでは紫音、行っきま〜す!!」
ロケット団式名乗りは、メロコちゃんの大声で中断する事に。次回は是非フル尺を頂けると嬉しいな!
手を挙げて宣言した私に、ジャックのサイズにあわあわしていた生徒達が慌ててボールからポケモンを出し始めた。
まず飛び出してきたのはヘルガー、デルビル二匹。その向こうに、タマゴの殻を被った様なポケモンも見える。
「な、何だろあのポケモン……」
「もう始まってるぜ。迷うより慣れた方が良いんじゃねぇか?」
「ヒントは……」
「お勉強しな」
「うぃっす」
ちくしょー! とりあえずラクシアだ!
「ラクシア! 前方突撃!」
「ごろー!」
「よしっ、続いてモノズ! ラクシアの足音をよく聞いてラクシアに続いて!!」
「のずっ!」
ふんすっ、と気合を入れたモノズ。ラクシアを追い掛けるモノズの初動がちょっとズレている。相手も四足歩行、ラクシアも四足歩行。
そう、目が見えないモノズにとって音だけが頼りなのに、普通のポケモンバトルと違って周りはポケモンだらけ。私の指示では足りなかったんだ……!
「あああ! モノズストップー!!」
「のぁー!?」
ガシャン! テントの梁に激突したモノズが、フラフラしている。慌てて駆け寄って、いつもの様に傷薬を……、と鞄に手を突っ込もうとしたら、その動きをネルケが止めた。
「診せな」
「のぅ……」
「ごめんねモノズ……」
「オレが診てる間に次の指示出してやんな。回復の間も、カウントは止まらねぇからな」
「えっ! えっと、次、ジャック!!」
『おー』
ん? そう言えばジャックってエスパータイプだな? 相手のデルビル、ヘルガーって悪タイプですよね?
「あっ、やば……」
『おらっ』
「ギャウン!?」
「ふぁっ」
ジャックがヘルガーをデコピンで弾いた。エスパーパワーなんて使わないシンプルな物理。べいんっ、と弾かれたヘルガーが、近くにいたデルビルを巻き込んで吹っ飛んでいく。
『これで良いのか?』
「た、倒した判定になるのかな……?」
『ピィー……、ガガッ……。おい紫音! 撃破するのは一匹ずつだ! 今のはノーカウントだぞ!!』
『ルール説明に無かっただろうが』
『デコピンで弾き飛ばすな』
『じゃあ叩くか』
「物騒」
思わず突っ込んでしまったけど、潰されてペラペラになるポケモンとか見たくないです。何だそのトムとジェリー的な描写。さすがにジャンル違うのでダメだと思います。
「さすが伝説のポケモン……。規格外ですね……」
「素が出てます」
「おっと。じゃあ再開と行くか」
モノズも帰ってきた。よし、じゃあ気を取り直して……!
「順番回ってきたよ! ラクシア! 突撃!!」
「ごろろろ!!」
ラクシアがタマゴの殻被ったポケモンに体当たりを仕掛ける。同時に、向こうも大きく口を開けた。
──ガブリ。
「ろぁーっ!?」
「かぴゃー!?」
「ごろっ! ろわぁーん!!」
「ら、ラクシア!?」
ラクシアが泣いて戻ってきた! え!? 何で!? 相手は炎タイプなのに!! 噛まれた脚を気にしているから手に取ってみると、触ったら痛いみたいでまた悲鳴を上げた。
「カプサイジだ。噛まれると辛い。……草タイプとの混合タイプだ」
「噛まれると辛い!? 痛いんじゃなくて!?」
草タイプなのに苦手炎タイプを併せ持つポケモンがいるなんて……! ポケモン奥深い……、って言ってる場合じゃない!
ラクシア辛いの苦手なのに! タイプ的にも苦手、味も苦手なんてダブルパンチ。そんな事ある!?
『喜べ。ラクシアの為に多めに用意したんだぜ。よく考えて回しな』
にんまりしてるメロコちゃんが見える気がする。
何と言う事でしょう……。STC、とんでもなく難易度高いぞ……!!
時間は減るのにノルマは減らない。そして何より、走り続けるのが大変。
「お疲れ様でスター。……何とか初級クリアしたな」
「……」
「ビワ姉、強化ポイントピックアップ出来てる?」
「もちろん! 後でトレーニングと目標リストを作って送るね!」
「…………」
「その肝心の紫音殿が死んでおるが」
「相棒と仲良く倒れて。……面白いから、しまにも送ってやろ」
「この調子じゃあ、休学届の受理は出来ねぇな」
「燃え尽きた……、もう真っ白だ……」
「はは、お疲れ様でスター。はいこれ、サイコソーダ」
「先にラクシア達に飲ませてあげて……」
「おっけ。じゃあこれツケとくね」
「んぇえ!?」
「もう! ピーニャ君、意地悪言わないであげて」
わいわいガヤガヤ。ラクシア達より先に体力が切れた私が倒れ込んだ周りで、皆が好き勝手にあれこれ言っている。うう、でも起き上がって突っ込む体力も無いよ……。
私の初めてのSTCチャレンジは、こうして幕を閉じたのだった……。