パルデア上陸編
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ぺちぺちとほっぺたを叩かれる感覚。空は高く、雲一つ無い青空。その端にフカマル。
「……フカマル!?」
「フカフカ」
そうだよ、と言わんばかりにフカマルが返事をしてくれた。うーん可愛い! ……じゃなくて。
「私の手持ちにはフカマルいなかったはずなんだけどな〜?」
と言うかここはどこ。
ガバリと起き上がって、やっと寝てた事に気が付いた。周りを見ると、ハネッコが飛んでる。その光景にジョウト地方かな? とも思ったけど、草むららしい草むらも無く自由気ままにふわふわ飛んで近寄ってきた。……近寄ってきた!? 可愛い!!
「わは〜! 可愛い! いいねぇ可愛い!! うちの子にならない!?」
「フカ……」
ハッ! そうだよ現状把握。ありがとうフカマル、現実に戻してくれて。だから大丈夫かコイツみたいな目をしないで欲しい。
ハネッコを抱えてぐるっと一周。うーん、やっぱり知ってる風景じゃない。
「……知らないなぁ……」
と言うか、私何してた? ゲームしてて気付いたらここに……。うーん困ったねぇ。
「……可愛い子がいるから何でもいっか……」
紫音。うん、名前はちゃんと分かってる。ポケモンがいる世界にトリップしたっぽいちょっと嬉しい。
「……ん? 待てよ、フカマルって草地には生息してなくない? シンオウじゃ洞窟じゃなかった?」
つまりこの子は野生じゃなくて……。
「探しましたですよ、フカマル先輩」
「あっドモ……」
そう思い当たった時、のしのし、と男性が歩いて来た。彼の声が聞こえてくるなり、フカマルは嬉しそうに鳴き声を上げて駆け寄っていく。
「はい、どうも。フカマル先輩が急に走り出したので、何事かと思いましたですよ」
「あっそうだったんですね……。まぁフカマルって砂地とか洞窟にいるはずのポケモンですしね」
「そうなのです。しかしまさか人がいたとは……。あなたは何故ここに?」
それが分かれば苦労はしません。……とは言えないので、とりあえず困った顔をして視線を逸らした。
「……どうかしましたか?」
ずんずん近付いてきた。よく見たら眼力がすごい、強そうだし嘘はすぐ見破られる気がする。
「えーっ、とですね……」
「はい」
圧がすごい〜! 何て言おうか悩む私の言葉を辛抱強く待ってくれる人に、私は腹を決めて真実を口にした。
「気付いたらここにいました」
「……」
「…………」
「はね?」
どうしたの? と言った様子で首を傾げたハネッコ以外二人とも何も言わない。いたたまれなくなって、私は腕に抱いてたハネッコで顔を隠した。
「この子は近付いてきたので可愛くて思わず抱き締めてそのまま……、ハイ……」
「……」
「……ハネッコです……」
「…………」
「……アッ! もしかしてハネッコもあなたのポケモンでしたか!?」
「……いいえ、その子は野生のハネッコです」
「そですか……」
「…………」
うぇ〜ん何か言ってよぉ! ハネッコを身代わりにしてるのに怖い〜!!
正直に話したのに眼力がすごい。何ならちょっとレベル上がった気もする。
「あの……、私、シンオウ地方にいたはずなんですけど……」
「シンオウ地方、ですか?」
「シンオウ地方とは違うな〜っていうのは分かります、ハイ……」
「そうですね。ここはパルデア地方ですから、シンオウ地方とは随分離れた場所ですが……」
疑いの視線は相変わらず。ひぇ〜! 怖いよ〜!! だってシンオウ地方ってゲームの中の話な訳で嘘はついてないですよ最後にプレイしてたのでプラチナだもん。
そうだ、ここはシンオウ伝説から話を組み立てようそれっぽいのを! 今!! ここで!!
「あっ! えっと道を歩いてたらですね、スポッと穴に落ちたんです」
「穴に」
「そして気付いたらここで寝てて、その子にぺちぺち起こされました」
「……シンオウ地方……。穴……」
男性はふむ、と考え込んだ。何か思い当たってくれたかな。シンオウ神話の空間にまつわる話に思い当たってくれれば、不審者じゃないですよ〜って事に……、なりませんかね……。
「少々失礼します」
「はい……、えっ!」
ナニソレ〜!! 男の人のジャケットから四角い機械? が飛び出してきた! しかも何かロトムみたいな鳴き声しなかった!? ロトムいるの!?
「校長先生、少々お伺いしたい事が……」
「それ電話!? ……あっごめんなさい黙ります」
しかも機械で話し始めた。あのちっちゃいのは電話で? どうやらロトムがあのちっさい機械に入ってて? もう訳が分からないよ。
「……ハネッコちゃん……」
「……はね?」
もしかして自分の事? みたいな顔された。そうだよ君はハネッコちゃんだよ。それはそれとして。
「もしかしてコレ、時代も超えたパターンでは?」
とんでもない事になったなぁ。そう呟く私は、この時はまだちょっとワクワクしている気持ちの方が強かった。