一万打企画
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「はァ〜………………」
その日、太宰は社員が鬱陶しいと思うほど重く長いため息を吐き、机に突っ伏していた。
外は快晴、清々しいこの天気の中、事務室だけ湿度が高く感じるのは恐らく太宰のせいだろう。
「あ、あの〜……ど、どうかしたんですか……?」
誰もがめんどくさいと思う中、そんな役割をこうむったのは社の新人であり、よく先輩の被害にあっている中島敦だ。
「……敦君。」
「は、はい!」
「私がなまえと少し前から同居しているのは知っているね?」
そう、つい一ヶ月程前のことだ。
太宰は約六年余りのなまえへの片想いを実らせ、あれよあれよという間にことを進め同居にいたったのは。
片想いを実らせ恋人となった時に太宰はそれはもう大喜びをしていたものだが、今の太宰は頭からキノコが生えそうな勢いで、あの時とは正反対だ。
この一ヶ月の間に何があったのか。
「知ってますけど……それが何か?」
敦が不思議そうに聞けば太宰は倒していた体を起こし、ガッと強く敦の肩を掴んだ。
「ぇ!?ちょ、太宰さん!!?こわいこわいこわいこわい!!?!」
鬼気迫る様子の太宰に敦は体を仰け反らせる。
「手が……出せないっ……!」
「は、はぃ?」
二人の話に聞き耳を立てていた人間は今更何を……と呆れた表情を見せるが太宰は本気だった。
「手が出せないってアンタ、女の扱いには慣れてんだろう?それに同居してるならいくらでもチャンスはあるだろうに。」
与謝野の言うことは最もで、皆うんうんと頷いている。
「甘い、甘いですよ。与謝野先生。確かにあの子は無防備すぎてチャンスはいくらでもあるんですけど……手を出した後で嫌だったとか拒否された挙句別れ話でも出されたら確実に私は死にます。」
「自殺志望が何言ってんだい。」
話しているだけでも絶望を露にしたような顔をする太宰にナオミは目を光らせて聞く。
「なまえさんが無防備とは、いったいどんな状況で?」
やはり女子だからか、こういう話は好きなようで、ナオミだけでなく鏡花も近くに来て聞く姿勢を取る。
「そうだねぇ……例えば、お風呂上がりは大きめの緩い服がいいからってダボダボで簡単に中が見えそうな服を着る時、とか。他には寝る時にそんな服で理性が危ないから少し距離取ろうとするのにわざわざ同じ布団に入ってきてひっついてくる時、とか。」
「きゃー!なまえさんってば積極的ですわ!」
頬を赤く染めて盛り上がるさまは微笑ましいが太宰の精神状態はそれどころではなかった。
「手は出せないのにそんな状態だからもう眠くて眠くて……というわけでおやすみ〜。」
「寝るな!!」
言うだけ言って太宰はソファで寝ようとすると国木田からは怒鳴り声があがったが、太宰はそれを気にせずいつも通り寝てしまった。
***
「あ、起きた。おはよう、治。」
次に太宰が目を覚ました時、太宰の頭を撫でるなまえがいた。
無自覚なのか、柔らかく包み込むような笑顔で笑うなまえに太宰は眩しく思いつつ、接吻する。
「……なまえ、何か私としたいことはあるかい?」
「え?また急だね……強いて言うなら夕飯の買い出しかな。米買いたいけど重いから持って。」
恋人の太宰の悩みなどつゆ知らず、どこまでもいつも通りのなまえに太宰は一つ、重いため息を吐いた。
***
夜、風呂も入り終わりゆっくりと体を伸ばしている時間。
ソファに座る太宰は隣でくつろいでいるなまえをちらりと見ては頭を抱える。
自分の体のサイズより大きいパジャマからは出来た隙間からチラチラと自分よりも白い肌色が覗いており、太宰はゴクリと息を飲む。
太宰がそんな欲を自分に持っているとも知らずに、なまえは呑気に欠伸をして「そろそろ寝る?」なんて言っている。
危機管理能力は無いのか……と考えたところで太宰はハッと気付く。
「ねぇ、なまえ。」
「ん?なに?」
「君、付き合う前は私が泊まりに来てもかっちり着込んでたよね?」
「そうだね。」
「じゃぁ、なんで今はそんなに心臓に悪い服を着ているのかな?」
「太宰なら、大丈夫だからだよ。」
太宰の最もな質問になまえは少し間が空いて答えた。
「明日、朝から仕事あるんでしょ?寝ないの?」なんて太宰に隣からなまえは聞くが、太宰の耳には入っていない。
「……太宰?」
「なまえ。」
トン、と押されそのまま力に従うようにソファに倒れる。
いきなりのことに対応出来ず、目を見開いていれば、その上に太宰は覆い被さる。
「あのねぇ、なまえ。私も男だ。そんなに無防備で私に“こういうこと”、されても知らないよ。」
太宰はなまえの手首に噛み付くように触れる。傷は付かないが、肌には歯がくい込んだ感触がする。
「私の想いは、きっと君が思うよりずっと重い。なんせ六年余りの想いが詰まっているのだからね。
私の想いは、きっと君が考えるような優しく純粋なものなんかじゃない。叶うなら、君の奥の奥まで全てを暴いて、噛み付いて、最後は殺してしまいたい。」
太宰はなまえの服をあげ、つつつ、と白魚のようなお腹を滑り、最後は子宮がある部分で止まる。
「……それでもまだ、私なら大丈夫と言えるかい?」
太宰の手は子宮の上を滑っていたが、その言葉に反応するようにぐっと力が強められていく。
その様子を見てなまえは軽くため息を吐き、諦めたように口を開く。
「……“こういうこと”、されたかったって言ったら?」
「!」
なまえは太宰の服を自分の方へ引っ張り、顔が同じくらいの高さまでくるとそのまま接吻をした。
「……別に、危機管理能力がそんなに乏しい訳じゃないし太宰がそれくらい重いことも知ってた。あと誰にだってあんな無防備な姿晒すわけじゃないよ。」
なまえは頬を優しく撫で語りかけるが、当の本人である太宰は驚きで固まっている。
なまえは気付いていないのか、それとも気付いていてやってるのかは分からないが追い討ちをかけていく。
「太宰が重いってことを知った上で、太宰に“こういうこと”されたくてやってた、って言ったら、太宰は私のこと嫌いになる?」
太宰は目を見開いて、なまえの肩に顔を埋める。
「君、いつからそんな性格悪くなったの。」
「一緒にいる男の影響だね。」
「……男の趣味、悪い。」
「私もそう思う。だってそいつ、ストーカーだし。」
「今は恋人、でしょ。」
わしゃわしゃと頭を撫でつつ言葉遊びをすれば太宰は少しだけ拗ねていた。
「……“こういうこと”、されたくてやってた、って言ったよね。」
「うん。」
「……本当にいいの。」
「いいけど、明日も仕事じゃないの?」
「なまえってば恋人よりも仕事取れって言うの?」
「後で国木田さんに怒られても知らないから。」
二人は部屋の電気を消し、恋人として初めての夜を過ごした。
[完]
アトガキ↓
はい、ここまで読んでくれてありがとうございました!!リクエスト内容は【「探偵がストーカーってどうなの。」の恋人if】でした!
黒の時代か探偵社か指定がなかったので勝手に探偵社ということにしてしまいましたが、良かったでしょうか……?ダメだったらごめんなさい……!先にお詫びしときます!!
【蛇足】
今回文中に出てきた夢主の台詞で、「太宰なら、大丈夫だからだよ。」とあったと思うのですが、正確に言えば夢主は「太宰になら襲われても大丈夫だからだよ。」という意味で言っています。
しかし太宰は「太宰なら襲わないだろうし男と思ってないから大丈夫だよ。」と取ってしまい、ちょっとしたすれ違い……みたいな。
恋人になったら夢主の言葉足らずでちょっとしたすれ違いで太宰さんが苦労すればいいなって思っています。
恐らく恋人になったら本作品の太宰さんは片思い歴が長すぎて手が出せなくて、夢主は太宰さんに心開いて受け入れる覚悟は出来てるからいつでもいいよって感じになると思います。はい。
その日、太宰は社員が鬱陶しいと思うほど重く長いため息を吐き、机に突っ伏していた。
外は快晴、清々しいこの天気の中、事務室だけ湿度が高く感じるのは恐らく太宰のせいだろう。
「あ、あの〜……ど、どうかしたんですか……?」
誰もがめんどくさいと思う中、そんな役割をこうむったのは社の新人であり、よく先輩の被害にあっている中島敦だ。
「……敦君。」
「は、はい!」
「私がなまえと少し前から同居しているのは知っているね?」
そう、つい一ヶ月程前のことだ。
太宰は約六年余りのなまえへの片想いを実らせ、あれよあれよという間にことを進め同居にいたったのは。
片想いを実らせ恋人となった時に太宰はそれはもう大喜びをしていたものだが、今の太宰は頭からキノコが生えそうな勢いで、あの時とは正反対だ。
この一ヶ月の間に何があったのか。
「知ってますけど……それが何か?」
敦が不思議そうに聞けば太宰は倒していた体を起こし、ガッと強く敦の肩を掴んだ。
「ぇ!?ちょ、太宰さん!!?こわいこわいこわいこわい!!?!」
鬼気迫る様子の太宰に敦は体を仰け反らせる。
「手が……出せないっ……!」
「は、はぃ?」
二人の話に聞き耳を立てていた人間は今更何を……と呆れた表情を見せるが太宰は本気だった。
「手が出せないってアンタ、女の扱いには慣れてんだろう?それに同居してるならいくらでもチャンスはあるだろうに。」
与謝野の言うことは最もで、皆うんうんと頷いている。
「甘い、甘いですよ。与謝野先生。確かにあの子は無防備すぎてチャンスはいくらでもあるんですけど……手を出した後で嫌だったとか拒否された挙句別れ話でも出されたら確実に私は死にます。」
「自殺志望が何言ってんだい。」
話しているだけでも絶望を露にしたような顔をする太宰にナオミは目を光らせて聞く。
「なまえさんが無防備とは、いったいどんな状況で?」
やはり女子だからか、こういう話は好きなようで、ナオミだけでなく鏡花も近くに来て聞く姿勢を取る。
「そうだねぇ……例えば、お風呂上がりは大きめの緩い服がいいからってダボダボで簡単に中が見えそうな服を着る時、とか。他には寝る時にそんな服で理性が危ないから少し距離取ろうとするのにわざわざ同じ布団に入ってきてひっついてくる時、とか。」
「きゃー!なまえさんってば積極的ですわ!」
頬を赤く染めて盛り上がるさまは微笑ましいが太宰の精神状態はそれどころではなかった。
「手は出せないのにそんな状態だからもう眠くて眠くて……というわけでおやすみ〜。」
「寝るな!!」
言うだけ言って太宰はソファで寝ようとすると国木田からは怒鳴り声があがったが、太宰はそれを気にせずいつも通り寝てしまった。
***
「あ、起きた。おはよう、治。」
次に太宰が目を覚ました時、太宰の頭を撫でるなまえがいた。
無自覚なのか、柔らかく包み込むような笑顔で笑うなまえに太宰は眩しく思いつつ、接吻する。
「……なまえ、何か私としたいことはあるかい?」
「え?また急だね……強いて言うなら夕飯の買い出しかな。米買いたいけど重いから持って。」
恋人の太宰の悩みなどつゆ知らず、どこまでもいつも通りのなまえに太宰は一つ、重いため息を吐いた。
***
夜、風呂も入り終わりゆっくりと体を伸ばしている時間。
ソファに座る太宰は隣でくつろいでいるなまえをちらりと見ては頭を抱える。
自分の体のサイズより大きいパジャマからは出来た隙間からチラチラと自分よりも白い肌色が覗いており、太宰はゴクリと息を飲む。
太宰がそんな欲を自分に持っているとも知らずに、なまえは呑気に欠伸をして「そろそろ寝る?」なんて言っている。
危機管理能力は無いのか……と考えたところで太宰はハッと気付く。
「ねぇ、なまえ。」
「ん?なに?」
「君、付き合う前は私が泊まりに来てもかっちり着込んでたよね?」
「そうだね。」
「じゃぁ、なんで今はそんなに心臓に悪い服を着ているのかな?」
「太宰なら、大丈夫だからだよ。」
太宰の最もな質問になまえは少し間が空いて答えた。
「明日、朝から仕事あるんでしょ?寝ないの?」なんて太宰に隣からなまえは聞くが、太宰の耳には入っていない。
「……太宰?」
「なまえ。」
トン、と押されそのまま力に従うようにソファに倒れる。
いきなりのことに対応出来ず、目を見開いていれば、その上に太宰は覆い被さる。
「あのねぇ、なまえ。私も男だ。そんなに無防備で私に“こういうこと”、されても知らないよ。」
太宰はなまえの手首に噛み付くように触れる。傷は付かないが、肌には歯がくい込んだ感触がする。
「私の想いは、きっと君が思うよりずっと重い。なんせ六年余りの想いが詰まっているのだからね。
私の想いは、きっと君が考えるような優しく純粋なものなんかじゃない。叶うなら、君の奥の奥まで全てを暴いて、噛み付いて、最後は殺してしまいたい。」
太宰はなまえの服をあげ、つつつ、と白魚のようなお腹を滑り、最後は子宮がある部分で止まる。
「……それでもまだ、私なら大丈夫と言えるかい?」
太宰の手は子宮の上を滑っていたが、その言葉に反応するようにぐっと力が強められていく。
その様子を見てなまえは軽くため息を吐き、諦めたように口を開く。
「……“こういうこと”、されたかったって言ったら?」
「!」
なまえは太宰の服を自分の方へ引っ張り、顔が同じくらいの高さまでくるとそのまま接吻をした。
「……別に、危機管理能力がそんなに乏しい訳じゃないし太宰がそれくらい重いことも知ってた。あと誰にだってあんな無防備な姿晒すわけじゃないよ。」
なまえは頬を優しく撫で語りかけるが、当の本人である太宰は驚きで固まっている。
なまえは気付いていないのか、それとも気付いていてやってるのかは分からないが追い討ちをかけていく。
「太宰が重いってことを知った上で、太宰に“こういうこと”されたくてやってた、って言ったら、太宰は私のこと嫌いになる?」
太宰は目を見開いて、なまえの肩に顔を埋める。
「君、いつからそんな性格悪くなったの。」
「一緒にいる男の影響だね。」
「……男の趣味、悪い。」
「私もそう思う。だってそいつ、ストーカーだし。」
「今は恋人、でしょ。」
わしゃわしゃと頭を撫でつつ言葉遊びをすれば太宰は少しだけ拗ねていた。
「……“こういうこと”、されたくてやってた、って言ったよね。」
「うん。」
「……本当にいいの。」
「いいけど、明日も仕事じゃないの?」
「なまえってば恋人よりも仕事取れって言うの?」
「後で国木田さんに怒られても知らないから。」
二人は部屋の電気を消し、恋人として初めての夜を過ごした。
[完]
アトガキ↓
はい、ここまで読んでくれてありがとうございました!!リクエスト内容は【「探偵がストーカーってどうなの。」の恋人if】でした!
黒の時代か探偵社か指定がなかったので勝手に探偵社ということにしてしまいましたが、良かったでしょうか……?ダメだったらごめんなさい……!先にお詫びしときます!!
【蛇足】
今回文中に出てきた夢主の台詞で、「太宰なら、大丈夫だからだよ。」とあったと思うのですが、正確に言えば夢主は「太宰になら襲われても大丈夫だからだよ。」という意味で言っています。
しかし太宰は「太宰なら襲わないだろうし男と思ってないから大丈夫だよ。」と取ってしまい、ちょっとしたすれ違い……みたいな。
恋人になったら夢主の言葉足らずでちょっとしたすれ違いで太宰さんが苦労すればいいなって思っています。
恐らく恋人になったら本作品の太宰さんは片思い歴が長すぎて手が出せなくて、夢主は太宰さんに心開いて受け入れる覚悟は出来てるからいつでもいいよって感じになると思います。はい。