私は少し昔にオサムに拾われた。


よく分かんないけど、わたしにはいのうりょくがあって、ゆうのうだかららしい。



オサムはいのうりょくをほめてくれるけど、周りの大人の人はこのいのうりょくのせいでわたしとはお話してくれないし、手も繋いでくれない。

あくたがわさんなんて、なぜかオサムがわたしをほめるたびに敵意が増している気がする。

この前だって、「何故だ……！何故貴様のような脆弱な奴があの人に認められて……！」ってよくわかんないけど、むずかしいこと言って、こわい顔してた。


そのたびにオサムはおもしろそうにわらって、チューヤは「餓鬼相手に嫉妬すんなよ……」ってため息吐いてた。


なんだかチューヤはたいへんそうだし、あくたがわさんはこわいけど、こうした時間はすきだった。



だってわたしと触れ合ったらブンカイ？されるからみんなそれを恐れてるって、だからだれもさわりあいっこしてくれないし、お話もしてくれないんだとオサムが言ってた。


だけどチューヤとかあくたがわさんとはさわりあいっこはできなくても、お話はできるからこのじかんがわたしはすき。


でも、いちばんだいすきなじかんはオサムといっしょにいれるとき。だってだれともわたしはさわりあいっこできないし、手もつなげないけどオサムだけはわたしと手をつないでくれるし、だきしめてもくれる。



わたしと手を繋いでくれる優しい人はオサムだけ。



チューヤもモリサンもコウヨウの姉さまもおはなしはしてくれるけど、決してわたしには触れてくれない。



だれとも触れ合うことの出来ないこの手はのろいだと思った。


だれにもさわれない手。けど、こんな手でも、



「なまえ、帰るよ。」


わたしの手をさわれる人がいた。握ってくれる人がいた。


「うん。」


それがうれしくて私は今日もオサムの冷たい手を握る。


オサムはいつも無表情で、何を考えてんのかよく分かんないけど、


こうして手をつないでくれるオサムはあたたかく感じた。