黒の時代
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改めて丸メガネのお兄さんのなまえもおしえてもらって、わたしたちはアンゴさん、オダサクさん、オサムの順番で席にすわった。
わたしはオサムのとなりにすわろうとしたけど、なぜかオサムのひざの上にのせられた。けどいやなわけがないし、オサムとふれあえるのはうれしいからそのまま大人しくしていた。
「そういえば、なまえさん、名字はなんて言うんですか?」
マスターにお酒がのめないからリンゴジュースをもらい、オサムたちの会話を聞いていたらアンゴさんにそうきかれた。
オサムに話すきょかはもらったから問いにこたえる。
「……わかんない。気付いたら、ずっとおりの中に閉じこめられてたから、家のことも、おかあさんたちのこともしらない。」
「……そう、ですか。すみません。」
アンゴさんはかおにぎゅっとしわを作ってへんな顔をする。
それがなんとなくわるいことをしてしまった気がして、あわててちがうことを言う。
「あ、でも、わたしが16さいになったら“太宰”って名字もらえるってオサムが言ってた……!」
むかし、オサムから聞いたことをそのまま伝えればアンゴさんはまたのんでいたお酒をぶっとふきだす。
「太宰君、こんな子供まで手を出してたんですか……」
「ちょっと安吾、までってどういう意味。」
オサムとアンゴさんはあれこれ話し合っていて、よく分からなかったけど、オダサクさんが「太宰となまえが結婚するってことか。」って言ったら話が止まった。
「そう!御祝儀よろしくね。」
「あぁ、めでたいことだからな。美味いカレーとベビー用品を用意しておこう。」
「準備がいいね。」
「いや、突っ込んでください!まず17歳が6歳に手を出しているところが可笑しいんです!というか、気が早いでしょ!!」
3人が話している間、わたしはのどがかわいてリンゴジュースをのもうとしたら無くなってることに気付いた。
マスターにあたらしいのをもらおうとしたけど、そのまえに「はい。」ってオサムからのみものがわたされた。中身はわからない。
「?オサム?」
「なぁに?」
中身がなにか聞こうとしたけど、オサムは早くのめ、って言うような声でこっちを見た。
「……」
中身が何かは分からなかったけど、オサムがのぞむなら、なんでもできる。
そんなおもいだけでゴクリとのめばのどがやけるような、そんな感覚がして急にねむくなる。
「……オサ、ム、?」
さいごに目を閉じるしゅんかん、オサムはいつもと同じようにわたしをあわれむような目でわらっていた。
「あらら、寝ちゃったねぇ。」
机に突っ伏してすやすやと眠るなまえの頬をつんつんと太宰はつついて遊ぶ。
その傍らでは良識がありこの中で一番の常識人、坂口安吾が顔を手で覆い深いため息をついていた。
「太宰……子供に酒はさすがにダメだ……」
織田作は静かに注意をするが、胃を抑えている安吾は心なしか顔色も悪い。
「……それで、どういう風の吹き回しですか。」
「なにがー?」
仕切り直すように一つ咳をし、話を切り出した安吾に対し、太宰はとぼけてかえす。
「貴方の女性関係がだらしないのは知ってましたが……それにしても今回のこれは異常です。」
安吾の言葉に太宰は静かに言葉を返す。
「それは、私となまえに関するあの“噂”のことを言ってるのかな?」
噂___“太宰幹部は幼い子供のお人形さんを洗脳し、閉じ込めている。”
それは誰から言い始めたのかも、どこから流れ始めたのかもわからない一つの異常。
「太宰は……なまえのことが好きなのか?」
太宰は織田作の言葉に一瞬だけ目を見張らせるが、すぐに元の表情に戻り「勿論、愛してるよ。」と答えた。その言葉は決して嘘では無いのだろうが、得体の知れない異質なものを感じる。
「……貴方が言うと胡散臭いですね。」
「えー、安吾ってば酷いや。」
「自業自得です。」
ぶー、と子供のように頬を膨らませ、不貞腐れる太宰を横目でちらりと見ると織田作は一言、「意外だな。」とだけ言った。
「何がですか?」
「あぁ、太宰の態度がなまえに対して素っ気なく見えたものだから意外だと思ってな。」
「……あぁ、確かにそうですね。」
織田作の言葉に安吾も思い当たる節があるのか、肯定する。
「なまえさんにだけ冷たいのは何か理由でも?」
安吾が訳を聞くと太宰は「簡単なことさ。」と体を机に突っ伏し、グラスに入った氷で遊びながら答える。
「だって、可愛いでしょ?」
「……は?」
思いもかけない太宰の言葉に安吾は硬直した。
「捨てられたくない、嫌われたくない、ずっと傍にいたい……」
「?なんのことだ?」
「この子がずっと思ってることだよ。可愛いでしょ?捨てるどころかなまえはもう私から逃げることも離れることもできないというのに。それに怯えてずっと私を忘れられず、執着し続けるなまえ。」
ほんと、無知で愚かで可愛い子。
甘やかすことはできる。しかしそれをやってしまえば安心感を覚え、私に執着する心を忘れていく。そうならないために素っ気なく接して私に執着するように仕向けるんだ。
そう言って嗤う太宰は無垢な子供のような顔でわらっていた。
「……どうしてその子に、そこまで執着するんで?」
安吾が聞けば太宰はなまえの髪を愛おしげに梳きながら遠い昔を思い出すように語りだした。
わたしはオサムのとなりにすわろうとしたけど、なぜかオサムのひざの上にのせられた。けどいやなわけがないし、オサムとふれあえるのはうれしいからそのまま大人しくしていた。
「そういえば、なまえさん、名字はなんて言うんですか?」
マスターにお酒がのめないからリンゴジュースをもらい、オサムたちの会話を聞いていたらアンゴさんにそうきかれた。
オサムに話すきょかはもらったから問いにこたえる。
「……わかんない。気付いたら、ずっとおりの中に閉じこめられてたから、家のことも、おかあさんたちのこともしらない。」
「……そう、ですか。すみません。」
アンゴさんはかおにぎゅっとしわを作ってへんな顔をする。
それがなんとなくわるいことをしてしまった気がして、あわててちがうことを言う。
「あ、でも、わたしが16さいになったら“太宰”って名字もらえるってオサムが言ってた……!」
むかし、オサムから聞いたことをそのまま伝えればアンゴさんはまたのんでいたお酒をぶっとふきだす。
「太宰君、こんな子供まで手を出してたんですか……」
「ちょっと安吾、までってどういう意味。」
オサムとアンゴさんはあれこれ話し合っていて、よく分からなかったけど、オダサクさんが「太宰となまえが結婚するってことか。」って言ったら話が止まった。
「そう!御祝儀よろしくね。」
「あぁ、めでたいことだからな。美味いカレーとベビー用品を用意しておこう。」
「準備がいいね。」
「いや、突っ込んでください!まず17歳が6歳に手を出しているところが可笑しいんです!というか、気が早いでしょ!!」
3人が話している間、わたしはのどがかわいてリンゴジュースをのもうとしたら無くなってることに気付いた。
マスターにあたらしいのをもらおうとしたけど、そのまえに「はい。」ってオサムからのみものがわたされた。中身はわからない。
「?オサム?」
「なぁに?」
中身がなにか聞こうとしたけど、オサムは早くのめ、って言うような声でこっちを見た。
「……」
中身が何かは分からなかったけど、オサムがのぞむなら、なんでもできる。
そんなおもいだけでゴクリとのめばのどがやけるような、そんな感覚がして急にねむくなる。
「……オサ、ム、?」
さいごに目を閉じるしゅんかん、オサムはいつもと同じようにわたしをあわれむような目でわらっていた。
「あらら、寝ちゃったねぇ。」
机に突っ伏してすやすやと眠るなまえの頬をつんつんと太宰はつついて遊ぶ。
その傍らでは良識がありこの中で一番の常識人、坂口安吾が顔を手で覆い深いため息をついていた。
「太宰……子供に酒はさすがにダメだ……」
織田作は静かに注意をするが、胃を抑えている安吾は心なしか顔色も悪い。
「……それで、どういう風の吹き回しですか。」
「なにがー?」
仕切り直すように一つ咳をし、話を切り出した安吾に対し、太宰はとぼけてかえす。
「貴方の女性関係がだらしないのは知ってましたが……それにしても今回のこれは異常です。」
安吾の言葉に太宰は静かに言葉を返す。
「それは、私となまえに関するあの“噂”のことを言ってるのかな?」
噂___“太宰幹部は幼い子供のお人形さんを洗脳し、閉じ込めている。”
それは誰から言い始めたのかも、どこから流れ始めたのかもわからない一つの異常。
「太宰は……なまえのことが好きなのか?」
太宰は織田作の言葉に一瞬だけ目を見張らせるが、すぐに元の表情に戻り「勿論、愛してるよ。」と答えた。その言葉は決して嘘では無いのだろうが、得体の知れない異質なものを感じる。
「……貴方が言うと胡散臭いですね。」
「えー、安吾ってば酷いや。」
「自業自得です。」
ぶー、と子供のように頬を膨らませ、不貞腐れる太宰を横目でちらりと見ると織田作は一言、「意外だな。」とだけ言った。
「何がですか?」
「あぁ、太宰の態度がなまえに対して素っ気なく見えたものだから意外だと思ってな。」
「……あぁ、確かにそうですね。」
織田作の言葉に安吾も思い当たる節があるのか、肯定する。
「なまえさんにだけ冷たいのは何か理由でも?」
安吾が訳を聞くと太宰は「簡単なことさ。」と体を机に突っ伏し、グラスに入った氷で遊びながら答える。
「だって、可愛いでしょ?」
「……は?」
思いもかけない太宰の言葉に安吾は硬直した。
「捨てられたくない、嫌われたくない、ずっと傍にいたい……」
「?なんのことだ?」
「この子がずっと思ってることだよ。可愛いでしょ?捨てるどころかなまえはもう私から逃げることも離れることもできないというのに。それに怯えてずっと私を忘れられず、執着し続けるなまえ。」
ほんと、無知で愚かで可愛い子。
甘やかすことはできる。しかしそれをやってしまえば安心感を覚え、私に執着する心を忘れていく。そうならないために素っ気なく接して私に執着するように仕向けるんだ。
そう言って嗤う太宰は無垢な子供のような顔でわらっていた。
「……どうしてその子に、そこまで執着するんで?」
安吾が聞けば太宰はなまえの髪を愛おしげに梳きながら遠い昔を思い出すように語りだした。
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