愛し子
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「今日はお土産にケーキを持ってきたよ!」
バン、と勢いよく扉が開けられたかと思えば告げられた言葉はそれだった。
「ケーキ?」
「そう、有名店のケーキを貰ったのだよ。」
そう言いながら見せられたのは大きくて美味しそうなショートケーキ。
珍しいこともあるもんだ。太宰はなるべく外の事柄に私を触れさせないよう徹底しているというのに。
「さァ、食べたまえ!」
太宰は手に持ったフォークを私の口に無理矢理突っ込む。美味しいけれどこれでは苦しい。
「……ほいひぃ(美味しい。)」
口にケーキが詰まって変な言葉しか話せないでいると笑われた。
……ムカつく。
そう思いながらも、流石は有名店。今まで知らなかったことを後悔してしまう。美味しくて手が止まらない。
もぐもぐと口を動かし、その美味しさを味わう。
「美味しいかい?」
「うん、おいし……ぃ、?!」
言いながら太宰へと体を向ければ、口を合わせられた。
優しく触れるだけの接吻。
かかった熱い吐息に近くにある端正な顔立ち、いつもの慈愛を孕んだ目とは明らかに違う、雄の目。
その全てが私の思考を停止させた。
「は、?」
「……うん、確かに美味しいねぇ。」
そういう頃には距離もその目も元に戻っていて、何だか狐に化かされたような気分になる。
「……珍しいこともあるもんだね。貴方が私に外の世界のものを触れさせるなんて。」
きっと先程の真意の読めない接吻のことを聞いたところではぐらかされるだろう。だから私は今回一番疑問に思ったことを聞いた。
太宰の全てを呑み込みそうな黒い目と視線が合う。それだけで得体の知れないものに触れた気がした。
「これはね、1種の鎖だよ。」
「鎖?」
「そう、君が私から逃げきったとしても永遠に私を忘れられないようにする鎖。」
愛おしげに頬を撫でられるが紡がれる言葉は背筋の凍るものがある。シャラ、とあるはずのない鎖が音を鳴らした気がした。
「なんで、私に執着するの?」
太宰は頬を撫でる手を止めると静かに問いに答えた。
「君が私の神様となりうるから。」
底の見えない目でわらう太宰は私から見れば恐ろしい怪物のように思えた。
私の気持ちを黒く塗りつぶし、自分の色に染めていく貴方は恐ろしい。
バン、と勢いよく扉が開けられたかと思えば告げられた言葉はそれだった。
「ケーキ?」
「そう、有名店のケーキを貰ったのだよ。」
そう言いながら見せられたのは大きくて美味しそうなショートケーキ。
珍しいこともあるもんだ。太宰はなるべく外の事柄に私を触れさせないよう徹底しているというのに。
「さァ、食べたまえ!」
太宰は手に持ったフォークを私の口に無理矢理突っ込む。美味しいけれどこれでは苦しい。
「……ほいひぃ(美味しい。)」
口にケーキが詰まって変な言葉しか話せないでいると笑われた。
……ムカつく。
そう思いながらも、流石は有名店。今まで知らなかったことを後悔してしまう。美味しくて手が止まらない。
もぐもぐと口を動かし、その美味しさを味わう。
「美味しいかい?」
「うん、おいし……ぃ、?!」
言いながら太宰へと体を向ければ、口を合わせられた。
優しく触れるだけの接吻。
かかった熱い吐息に近くにある端正な顔立ち、いつもの慈愛を孕んだ目とは明らかに違う、雄の目。
その全てが私の思考を停止させた。
「は、?」
「……うん、確かに美味しいねぇ。」
そういう頃には距離もその目も元に戻っていて、何だか狐に化かされたような気分になる。
「……珍しいこともあるもんだね。貴方が私に外の世界のものを触れさせるなんて。」
きっと先程の真意の読めない接吻のことを聞いたところではぐらかされるだろう。だから私は今回一番疑問に思ったことを聞いた。
太宰の全てを呑み込みそうな黒い目と視線が合う。それだけで得体の知れないものに触れた気がした。
「これはね、1種の鎖だよ。」
「鎖?」
「そう、君が私から逃げきったとしても永遠に私を忘れられないようにする鎖。」
愛おしげに頬を撫でられるが紡がれる言葉は背筋の凍るものがある。シャラ、とあるはずのない鎖が音を鳴らした気がした。
「なんで、私に執着するの?」
太宰は頬を撫でる手を止めると静かに問いに答えた。
「君が私の神様となりうるから。」
底の見えない目でわらう太宰は私から見れば恐ろしい怪物のように思えた。
私の気持ちを黒く塗りつぶし、自分の色に染めていく貴方は恐ろしい。
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