愛し子
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「いいかい、君を拾ったのは私だ。君は私に拾われたのだからその身も、命も、全て私のものだ。いいね?」
毎日のように繰り広げる脱走劇。
それは私が勝利することなく毎日は進み、負けることにも、部屋の中で小さく収まっているのも慣れてきた頃、太宰は出来の悪い子供に言い聞かせるように言った。
確かに私は貴方に拾われた。
きっと、今よりもあの時死んだ方がずっと楽で自由の身に慣れただろうに。こんなどこにも行けない足では生きながら死んだようなもんじゃないか。
恨みや諦め、そして一種の疑問を目の前の私を拘束し続ける男に向ける。
こいつは何故私を拘束し続けるのだろう。太宰は時折執着や依存など、粘着質で狂気的な愛情を見せるくせに、決してそれは言葉をとして口に出されることは無い。
だからどう対処すればいいのかこちら側としても困っていまうのだ。はっきりとした好意が向けられない限り、私はそれを拒むことも受け入れることも出来ない。
「私としては君がいくら勝ち目のない脱走劇を続けようと一向に構わないが……私は意外と気が短くてね。」
太宰は形だけの笑みを作り、足が金属製の錠で繋がれた私に近付いてくる。
そして、その手にはしっかりと銃が握られていた。
「ふふ、やっぱりこの手の脅しは効かないのだね。」
人の頭に銃を突き付けときながら愉しそうに笑うこいつはきっとイカれてる。
「逃げられるというなら逃げてもいいよ?きっと私は私から逃げた君を殺してしまうだろうけど、死んでしまっても大事にするから安心するといい。」
その言葉に私は男の手により死んだ後も一生囚われ続けることを悟った。
何故太宰が私に目を付けたのか、何故こんなにも執着ともいえる愛情を向けられるのかは未だに分からない。けれどこんな狂った男の愛情を心地よく思い始めた私も大概狂い始めているのかもしれない。
それは太宰の重すぎる愛から逃げられないことへの絶望か、私から太宰への想いの変化か。
きっと私には一生分からない。