愛し子
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私の名前はみょうじなまえ……と言うらしい。私は普通の子が体験してるような幼少の頃の記憶がない。気付いた時にはそこにいたのだ。
そこは、禍々しい血が辺りを真っ赤に染め、物騒な銃を構えこちらの様子を冷や汗を流しながら伺っている黒服の厳つい男達がいた。
私は何故この場にいるのかが分からなかった。
今まで生きてきた筈なのに、まるで突然その場に放り出され、初めて息を始めたような感覚に陥る。
男達が何故こんなにも私を警戒しているのかも、何故私はここにいるのかも、どうして息をしているのかも分からないまま何時撃たれても可笑しくない状況が長く続いた。
そうしてどれ程の時が経ったのか。学のない私には分からなかったが長いようにも短いようにも感じた。いつまでこの状況が続くんだろう。
撃たれれば死ぬ、というのに私の体は動かなかった。
「皆さ〜ん。こんばんは〜。」
この緊迫した空気に似合わない声で厳つい男達の間を割って入ってきたのは端正な顔立ちをした包帯男の不敵な笑みだけだった。
「へぇ、この子がうちの傘下の組織を殲滅させた子?随分と可愛らしい子だねぇ。」
手を顎にあて、首を傾げながら近寄ってくる。血の池をジャブジャブと歩き、何が楽しいのか私の血塗れの顔を撫でる。この人は気でも狂っているのだろうか。
「だ、太宰幹部。その者は一人で組織を殲滅させる程の危険異能力者者です、早くこちらへ、」
「知ってるよそのくらい。彼女の異能力の情報は全てこちらに届いているからね。」
異能力?組織の殲滅?なんの話だ?
「あぁ、君はショックのあまり忘れてしまっているのかな?自分が両親を殺した人殺しだということを。」
「わたし、が……人、殺し……?」
「そう。君はある組織の令嬢だった。裏の世界の人間とは思えないほど両親に愛され、育ってきた子供。可哀想に。その異能力さえなければ幸せも続いていただろうにねぇ。」
彼は可哀想、という割にどうでも良さそうに溜息を吐いた。きっと彼にとってはそれが本心なのだろう。
「君の異能力は最も忌み嫌われる精神操作系だ。恐らく相手を鬱状態にし、自殺させる能力だろう。」
私も自他ともに認める自殺愛好家でね?君の異能力は素晴らしい。なんてよく分からない褒め言葉をもらった。
そうか、私が殺したのか。
この血の池も、私を愛してくれた人達の血。
そう思うと、スっとピースが嵌る感覚がした。
「さて、私達は君についての命令は受けていない。つまり殺しても、拾ってもどちらでも言い訳だが、何か遺言は?」
拾うも殺すも自分次第、と言う割にはもうどうするかは決まっているようで、彼の言葉に再び黒服達は銃を構えた。
「無いよ。死ぬつもりは無いから。」
「ほぅ……つまり君は私から逃げ切る、ということかな?」
彼はこの時初めて面白い、と言いたげにわらった。けれどそれはくだらないと神が人間を嘲笑っているようにも見える。
「いいえ、死ぬんじゃない。私はこれから目を覚ますんだ。」
先程から生きている感覚が無かった。
まるで天からふわりと堕とされたような感覚さえする。
ここで撃たれれば私は現実へと帰り、生きているという実感を得られるだろう。
そんな一縷の望みを掛けて殺されるというのなら、悪くは無い。
それからよ事はよく覚えていない。ただ、意識が落ちる前に男の目が落ちんばかりに見開いたのだけはよく覚えている。
それから事は早かった。
目が覚めれば見たこともないような豪華な部屋が広がっており、目の前には最後に見た時とは打って変わって笑顔の男がいた。
あれよあれよという間に服を用意され、ポートマフィアの幹部補佐という形だけの役職を与えられた。
何故ここまでしてくれるのか疑問に思いはしたが、首領が言うには男────太宰は私に惚れたらしい。
その言葉をそのまま信じるかとうかは別として、そんなものなのかと考えもした。
そうして私は太宰の補佐として空っぽの生活が始まった。
そこは、禍々しい血が辺りを真っ赤に染め、物騒な銃を構えこちらの様子を冷や汗を流しながら伺っている黒服の厳つい男達がいた。
私は何故この場にいるのかが分からなかった。
今まで生きてきた筈なのに、まるで突然その場に放り出され、初めて息を始めたような感覚に陥る。
男達が何故こんなにも私を警戒しているのかも、何故私はここにいるのかも、どうして息をしているのかも分からないまま何時撃たれても可笑しくない状況が長く続いた。
そうしてどれ程の時が経ったのか。学のない私には分からなかったが長いようにも短いようにも感じた。いつまでこの状況が続くんだろう。
撃たれれば死ぬ、というのに私の体は動かなかった。
「皆さ〜ん。こんばんは〜。」
この緊迫した空気に似合わない声で厳つい男達の間を割って入ってきたのは端正な顔立ちをした包帯男の不敵な笑みだけだった。
「へぇ、この子がうちの傘下の組織を殲滅させた子?随分と可愛らしい子だねぇ。」
手を顎にあて、首を傾げながら近寄ってくる。血の池をジャブジャブと歩き、何が楽しいのか私の血塗れの顔を撫でる。この人は気でも狂っているのだろうか。
「だ、太宰幹部。その者は一人で組織を殲滅させる程の危険異能力者者です、早くこちらへ、」
「知ってるよそのくらい。彼女の異能力の情報は全てこちらに届いているからね。」
異能力?組織の殲滅?なんの話だ?
「あぁ、君はショックのあまり忘れてしまっているのかな?自分が両親を殺した人殺しだということを。」
「わたし、が……人、殺し……?」
「そう。君はある組織の令嬢だった。裏の世界の人間とは思えないほど両親に愛され、育ってきた子供。可哀想に。その異能力さえなければ幸せも続いていただろうにねぇ。」
彼は可哀想、という割にどうでも良さそうに溜息を吐いた。きっと彼にとってはそれが本心なのだろう。
「君の異能力は最も忌み嫌われる精神操作系だ。恐らく相手を鬱状態にし、自殺させる能力だろう。」
私も自他ともに認める自殺愛好家でね?君の異能力は素晴らしい。なんてよく分からない褒め言葉をもらった。
そうか、私が殺したのか。
この血の池も、私を愛してくれた人達の血。
そう思うと、スっとピースが嵌る感覚がした。
「さて、私達は君についての命令は受けていない。つまり殺しても、拾ってもどちらでも言い訳だが、何か遺言は?」
拾うも殺すも自分次第、と言う割にはもうどうするかは決まっているようで、彼の言葉に再び黒服達は銃を構えた。
「無いよ。死ぬつもりは無いから。」
「ほぅ……つまり君は私から逃げ切る、ということかな?」
彼はこの時初めて面白い、と言いたげにわらった。けれどそれはくだらないと神が人間を嘲笑っているようにも見える。
「いいえ、死ぬんじゃない。私はこれから目を覚ますんだ。」
先程から生きている感覚が無かった。
まるで天からふわりと堕とされたような感覚さえする。
ここで撃たれれば私は現実へと帰り、生きているという実感を得られるだろう。
そんな一縷の望みを掛けて殺されるというのなら、悪くは無い。
それからよ事はよく覚えていない。ただ、意識が落ちる前に男の目が落ちんばかりに見開いたのだけはよく覚えている。
それから事は早かった。
目が覚めれば見たこともないような豪華な部屋が広がっており、目の前には最後に見た時とは打って変わって笑顔の男がいた。
あれよあれよという間に服を用意され、ポートマフィアの幹部補佐という形だけの役職を与えられた。
何故ここまでしてくれるのか疑問に思いはしたが、首領が言うには男────太宰は私に惚れたらしい。
その言葉をそのまま信じるかとうかは別として、そんなものなのかと考えもした。
そうして私は太宰の補佐として空っぽの生活が始まった。
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