ポートマフィア編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
太宰が退室し数十分、扉の向こうからは怒鳴り声が聞こえてくる。
最初は素直に待っておこうと思ったのだがここまで来ると少し気になってしまうのが本音で……、
少しくらいならいいかな、とバレないように扉を少しだけ開けて隙間から様子を伺う。
扉の向こうではやはり太宰は喧嘩をしていた。というか赤銅色の髪の少年に首元を締められている。
様子を見るに、赤銅色の少年は怒り狂っているようだが太宰は面倒そうに言葉を交わしては帰れというように手をシッシッと振っている。そしてその扱いにまた怒る……の繰り返しのようだ。
これ……止めた方がいいのかな?
なんてどうするか悩んでいれば赤銅色の少年は私に気付いたのか、目が合うと海を連想させる蒼い目が大きく見開かれた。
「おい太宰……なんでここに女がいんだよ!!」
ここのセーフハウスは地理的な問題上で仕事の重要書類が大量に置かれてんだろうがッ!!
と、怒鳴り声をあげた赤銅色の少年は太宰に敵の間者かもしれない女を連れ込んでんじゃねぇと言いたいようだが、太宰はそれに反論するようにはァ?こいつ馬鹿?というような顔をした。
「君、馬鹿なの?」
そして顔だけじゃなくて言った。
まぁその言葉に当然赤銅色の少年は、ンだと!?と怒るが太宰はそれをスルーして続けた。
「彼女は正真正銘善良な一般市民だ。裏特有の血や硝煙の臭い、気配がないことからそれくらい分かるだろう?」
わからないです。
当たり前のように言うが私には分かりません。
いや、貴方とか前私を殺そうとした人──芥川君と名前を教えてもらった。──とかあからさまに危ない人は分かるけど、そうでもない人は分かりません。
けれど赤銅色の少年は太宰の言葉に何か思うところあったのか、一つ舌打ちすると何も言わなかった。
「大体、なまえが裏の人間ならとぉっくにどんな手を使ってでも部下として傍に置いてるよ。今は森さんがダメっていうからそれもできないけどね。」
「……なまえ?」
表の人間で良かった。
どんな手を使ってでも、って裏で生まれていたら私どうされてたんだろう。
しかし赤銅色の少年は太宰の少し物騒とも取れる言葉を無視し、何故か私の名前を反復した。
はい、と一応返事をすれば太宰に向いていた目は私に向き、太宰に向き、そしてまた私に向いた。
「手前が、なまえ……?」
「私が、なまえですけど……?」
え、私の名前ってみょうじなまえだよね?私の知らない間に名前がかわってた、とかないよね?
なんて考えていれば今度は何故か憐れみの目で見られた。
何故だろうか、初対面だよね?
──その憐れみの目が太宰からのストーカー行為に対する同情心とはまだ私は知らない。──
「えっと、」
なんで太宰に怒っているのか、色々と聞きたいことがあって赤銅色の少年に話しかけようとするが、名前が分からないので呼びかけられない。もどかしい。
それに気付いたのか、赤銅色の少年は「あー……中原中也だ。」と名乗ってくれた。最初名乗るのを少しだけ躊躇したのはマフィア故だろうか。名乗ってもらって自分も名乗らないのは変なのでみょうじなまえです、と簡単な自己紹介をする。
「えっと、中原さん、そんなに怒ってどうしたんですか?」
「どうした、だと……?」
私の問いに対し、中原さんは怒りを思い出したように肩を震わせ、太宰を指さした。
「この木偶が仕事中に部下放ってほっつき歩くせいでどうにかしてくれってこいつの部下が泣きついてきたんだよ!!」
「……仕事を放ったらかしてまで大切な用が太宰にあったとか、」
「これ(盗聴器)から暇そうななまえの声が聞こえたからGPSで場所を確認して迎えに行くついでにお茶でもしようと思ってたんだよ。ほらね、大切な用事だろう?」
「どこがだこのストーカー野郎!!」
そうだった、こいつ私のストーカーだった。
というかGPSとかいつの間に……通りでよく会うと思った。
別に場所を把握されたり聞かれたりして困ることはないけど世間的にやばいのでそろそろやめて欲しい。
「とっとと仕事に戻んぞ、この人間失格野郎。」
「いーやーだー、このミニゴリラー!!」
「誰がミニだ!誰が!!」
太宰は襟首を引っ掴まれてズルズルと引き摺られて仕事に戻っていく。
途中、「なまえー!!」と助けを求めるように手を伸ばされたがさっさと仕事へ行ってこいの意味を込めて笑顔で手を振っておいた。
それにショックを受けた太宰を鼻で嗤う中原さんは普段からさぞ太宰に迷惑を掛けられているのだろう。ご愁傷さまです。
中原さんは仕事に戻る際、少しだけ心配したように振り返り私を見た。
もしかして……と察して中原さんに声を掛ける。
「私なら一人で帰れるので大丈夫です。」
「!……そうか、気をつけて帰れよ。」
どうやら私の心配してくれている、という予想は当たっていたようで、中原さんは少し驚いた顔をするが、すぐにまたなんとも言えない顔に戻り、一声掛けてくれた。
マフィアなのにいい人だな、なんて思いつつ、はい。と大丈夫だと伝えるように私も一つ返事を返した。
最初は素直に待っておこうと思ったのだがここまで来ると少し気になってしまうのが本音で……、
少しくらいならいいかな、とバレないように扉を少しだけ開けて隙間から様子を伺う。
扉の向こうではやはり太宰は喧嘩をしていた。というか赤銅色の髪の少年に首元を締められている。
様子を見るに、赤銅色の少年は怒り狂っているようだが太宰は面倒そうに言葉を交わしては帰れというように手をシッシッと振っている。そしてその扱いにまた怒る……の繰り返しのようだ。
これ……止めた方がいいのかな?
なんてどうするか悩んでいれば赤銅色の少年は私に気付いたのか、目が合うと海を連想させる蒼い目が大きく見開かれた。
「おい太宰……なんでここに女がいんだよ!!」
ここのセーフハウスは地理的な問題上で仕事の重要書類が大量に置かれてんだろうがッ!!
と、怒鳴り声をあげた赤銅色の少年は太宰に敵の間者かもしれない女を連れ込んでんじゃねぇと言いたいようだが、太宰はそれに反論するようにはァ?こいつ馬鹿?というような顔をした。
「君、馬鹿なの?」
そして顔だけじゃなくて言った。
まぁその言葉に当然赤銅色の少年は、ンだと!?と怒るが太宰はそれをスルーして続けた。
「彼女は正真正銘善良な一般市民だ。裏特有の血や硝煙の臭い、気配がないことからそれくらい分かるだろう?」
わからないです。
当たり前のように言うが私には分かりません。
いや、貴方とか前私を殺そうとした人──芥川君と名前を教えてもらった。──とかあからさまに危ない人は分かるけど、そうでもない人は分かりません。
けれど赤銅色の少年は太宰の言葉に何か思うところあったのか、一つ舌打ちすると何も言わなかった。
「大体、なまえが裏の人間ならとぉっくにどんな手を使ってでも部下として傍に置いてるよ。今は森さんがダメっていうからそれもできないけどね。」
「……なまえ?」
表の人間で良かった。
どんな手を使ってでも、って裏で生まれていたら私どうされてたんだろう。
しかし赤銅色の少年は太宰の少し物騒とも取れる言葉を無視し、何故か私の名前を反復した。
はい、と一応返事をすれば太宰に向いていた目は私に向き、太宰に向き、そしてまた私に向いた。
「手前が、なまえ……?」
「私が、なまえですけど……?」
え、私の名前ってみょうじなまえだよね?私の知らない間に名前がかわってた、とかないよね?
なんて考えていれば今度は何故か憐れみの目で見られた。
何故だろうか、初対面だよね?
──その憐れみの目が太宰からのストーカー行為に対する同情心とはまだ私は知らない。──
「えっと、」
なんで太宰に怒っているのか、色々と聞きたいことがあって赤銅色の少年に話しかけようとするが、名前が分からないので呼びかけられない。もどかしい。
それに気付いたのか、赤銅色の少年は「あー……中原中也だ。」と名乗ってくれた。最初名乗るのを少しだけ躊躇したのはマフィア故だろうか。名乗ってもらって自分も名乗らないのは変なのでみょうじなまえです、と簡単な自己紹介をする。
「えっと、中原さん、そんなに怒ってどうしたんですか?」
「どうした、だと……?」
私の問いに対し、中原さんは怒りを思い出したように肩を震わせ、太宰を指さした。
「この木偶が仕事中に部下放ってほっつき歩くせいでどうにかしてくれってこいつの部下が泣きついてきたんだよ!!」
「……仕事を放ったらかしてまで大切な用が太宰にあったとか、」
「これ(盗聴器)から暇そうななまえの声が聞こえたからGPSで場所を確認して迎えに行くついでにお茶でもしようと思ってたんだよ。ほらね、大切な用事だろう?」
「どこがだこのストーカー野郎!!」
そうだった、こいつ私のストーカーだった。
というかGPSとかいつの間に……通りでよく会うと思った。
別に場所を把握されたり聞かれたりして困ることはないけど世間的にやばいのでそろそろやめて欲しい。
「とっとと仕事に戻んぞ、この人間失格野郎。」
「いーやーだー、このミニゴリラー!!」
「誰がミニだ!誰が!!」
太宰は襟首を引っ掴まれてズルズルと引き摺られて仕事に戻っていく。
途中、「なまえー!!」と助けを求めるように手を伸ばされたがさっさと仕事へ行ってこいの意味を込めて笑顔で手を振っておいた。
それにショックを受けた太宰を鼻で嗤う中原さんは普段からさぞ太宰に迷惑を掛けられているのだろう。ご愁傷さまです。
中原さんは仕事に戻る際、少しだけ心配したように振り返り私を見た。
もしかして……と察して中原さんに声を掛ける。
「私なら一人で帰れるので大丈夫です。」
「!……そうか、気をつけて帰れよ。」
どうやら私の心配してくれている、という予想は当たっていたようで、中原さんは少し驚いた顔をするが、すぐにまたなんとも言えない顔に戻り、一声掛けてくれた。
マフィアなのにいい人だな、なんて思いつつ、はい。と大丈夫だと伝えるように私も一つ返事を返した。
19/19ページ