ポートマフィア編
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驚く私や友人、それに太宰の部下?をよそに太宰は手を掴んだと思えば私を引っ張って走っていく。
後ろからは友人のなまえ!?という声や太宰を引き止めるような声、それと太宰がエスコートしていただろう女の人のヒステリックな声が聞こえる。
けれど太宰はそれに止まることなく、むしろ足を早めて追いかけてくる黒服の人達を翻弄していく。
薄暗い路地に入り、迷路のような入り組んだ道を曲がったり真っ直ぐ行ったりとするもんだから、私にはもうどうやったらここから出れるのかは分からない。
絶対に逃げられないこの状況で、やっぱり態度が悪かったから殺されんのかな。できるなら痛みは一瞬の方向でお願いしたいけど、マフィアってそういうリクエストって聞いてくれるのかな。
なんて半分冗談半分本気のことを考えつつ南無阿弥陀仏と(心の中で)唱える。
どうか来世はマフィアもヤクザも犯罪も何も関係ない平凡で平和な日々が送れますように。
そう願ったところで私を引っ張っていた太宰の足がピタリと止まった。
気付けば先程まで私達を追いかけていた黒服の人達がいない。
本当に撒いたのか、と思うと太宰って頭いいんだなと実感した。
「なまえ」
どこかぼんやりとこの状況を考えていれば、壁に体を押し付けられた。
いきなりのことで驚いたが、見れば太宰の手が私の顔の横をつき、その長い足は私の足と足の間に滑り込む。
えっと、これは女子なら誰もが羨む壁ドンなるものですか?
それとも人類みな誰でもされれば驚くカツアゲというやつですか?
ダメだ、状況がよめない。
とりあえず名を呼ばれたのではい、と返事をしておく。
「ねぇ、さっきなんで目を逸らしたの。目、あったよね。」
もはや疑問形でもないその問いはなんとも答えづらいもので、なんと答えればいいのか悩んでいれば太宰は仄暗い、恐らく仕事の時はよく見せるのだろう深い深い底なんて見えない恐ろしい目をしていた。
「……仕事、邪魔したら悪いかなって思ったから。」
「……ふーん。」
太宰は興味なさそうな声をあげる。
私の顔の横についていた手がゆっくりと動き出す。それは頬を撫でたあと、ゆっくりと降下し、長くて男の人にしては細いのに、ゴツゴツと自分とは違う硬さを感じさせるそれは少しだけ力を入れて私の首を絞めた。
「、く、るし……!」
「私のこと嫌いになった?だから目を逸らしたの?好きな男でもできた?」
太宰は首を絞めながらよく分からないことを聞いてくる。
「私は君しか考えられないのに、それなのに、君が私と違うなら、君が私以外を想うなら、」
“死んじまえ”
声は聞こえなかったけど、口はそう動いていた。
太宰から聞かされる言葉一つ一つが、感情を一つの器に収めきれなくて困って泣きそうな子供に見えて、霞んできた視界の中、最後の気力を振り絞ってそのボサボサな蓬髪を撫でる。
「だ、いじょーぶ。わたし、だざいの、こと、きら、いになんて、ならない、よ」
途切れ途切れの言葉で、少しでも太宰が安心できるように笑って太宰が欲しいであろう問いの答えを本心で応えてやる。
だいじょーぶ、きらいになんてならないよ。
太宰が例え暇つぶしにちょうどいい相手としてストーカーするようなまぁまぁヤバいやつだとしても、裏社会で誰もが恐れるような存在だったとしても、それを知った上で一緒にいてもいいと思ったんだから。
そう簡単には嫌いになれないよ。
そうやって拙いながらも自分の想いを伝えれば徐々に首を絞めていた手の力は弱まり、太宰は包帯を巻いていない左目から涙を流す。
少しずつ呼吸は楽になり、体内に入ってきた酸素に感謝した。お前の重要さがよく分かったよ。
「……太宰?」
太宰は弱ったように私の方へ体を凭れる。
ただの一般人である私がそれを支えきれるわけもなく、ずるずると体を壁伝いに座らせ、漸く一息をついた。
それでもなにかに怯えるように、譫言のようになまえ 、なまえ と口にする太宰を怒れるはずもなく、私は小さな子供をあやす様にぽんぽん、と一定の早さでゆっくりと背中を叩いた。
後ろからは友人のなまえ!?という声や太宰を引き止めるような声、それと太宰がエスコートしていただろう女の人のヒステリックな声が聞こえる。
けれど太宰はそれに止まることなく、むしろ足を早めて追いかけてくる黒服の人達を翻弄していく。
薄暗い路地に入り、迷路のような入り組んだ道を曲がったり真っ直ぐ行ったりとするもんだから、私にはもうどうやったらここから出れるのかは分からない。
絶対に逃げられないこの状況で、やっぱり態度が悪かったから殺されんのかな。できるなら痛みは一瞬の方向でお願いしたいけど、マフィアってそういうリクエストって聞いてくれるのかな。
なんて半分冗談半分本気のことを考えつつ南無阿弥陀仏と(心の中で)唱える。
どうか来世はマフィアもヤクザも犯罪も何も関係ない平凡で平和な日々が送れますように。
そう願ったところで私を引っ張っていた太宰の足がピタリと止まった。
気付けば先程まで私達を追いかけていた黒服の人達がいない。
本当に撒いたのか、と思うと太宰って頭いいんだなと実感した。
「なまえ」
どこかぼんやりとこの状況を考えていれば、壁に体を押し付けられた。
いきなりのことで驚いたが、見れば太宰の手が私の顔の横をつき、その長い足は私の足と足の間に滑り込む。
えっと、これは女子なら誰もが羨む壁ドンなるものですか?
それとも人類みな誰でもされれば驚くカツアゲというやつですか?
ダメだ、状況がよめない。
とりあえず名を呼ばれたのではい、と返事をしておく。
「ねぇ、さっきなんで目を逸らしたの。目、あったよね。」
もはや疑問形でもないその問いはなんとも答えづらいもので、なんと答えればいいのか悩んでいれば太宰は仄暗い、恐らく仕事の時はよく見せるのだろう深い深い底なんて見えない恐ろしい目をしていた。
「……仕事、邪魔したら悪いかなって思ったから。」
「……ふーん。」
太宰は興味なさそうな声をあげる。
私の顔の横についていた手がゆっくりと動き出す。それは頬を撫でたあと、ゆっくりと降下し、長くて男の人にしては細いのに、ゴツゴツと自分とは違う硬さを感じさせるそれは少しだけ力を入れて私の首を絞めた。
「、く、るし……!」
「私のこと嫌いになった?だから目を逸らしたの?好きな男でもできた?」
太宰は首を絞めながらよく分からないことを聞いてくる。
「私は君しか考えられないのに、それなのに、君が私と違うなら、君が私以外を想うなら、」
“死んじまえ”
声は聞こえなかったけど、口はそう動いていた。
太宰から聞かされる言葉一つ一つが、感情を一つの器に収めきれなくて困って泣きそうな子供に見えて、霞んできた視界の中、最後の気力を振り絞ってそのボサボサな蓬髪を撫でる。
「だ、いじょーぶ。わたし、だざいの、こと、きら、いになんて、ならない、よ」
途切れ途切れの言葉で、少しでも太宰が安心できるように笑って太宰が欲しいであろう問いの答えを本心で応えてやる。
だいじょーぶ、きらいになんてならないよ。
太宰が例え暇つぶしにちょうどいい相手としてストーカーするようなまぁまぁヤバいやつだとしても、裏社会で誰もが恐れるような存在だったとしても、それを知った上で一緒にいてもいいと思ったんだから。
そう簡単には嫌いになれないよ。
そうやって拙いながらも自分の想いを伝えれば徐々に首を絞めていた手の力は弱まり、太宰は包帯を巻いていない左目から涙を流す。
少しずつ呼吸は楽になり、体内に入ってきた酸素に感謝した。お前の重要さがよく分かったよ。
「……太宰?」
太宰は弱ったように私の方へ体を凭れる。
ただの一般人である私がそれを支えきれるわけもなく、ずるずると体を壁伝いに座らせ、漸く一息をついた。
それでもなにかに怯えるように、譫言のようになまえ 、なまえ と口にする太宰を怒れるはずもなく、私は小さな子供をあやす様にぽんぽん、と一定の早さでゆっくりと背中を叩いた。