ポートマフィア編
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ついに来てしまった日曜日。
友達に今日の謎の誘いについて行くかどうか相談した結果、結局来てしまった……やはり顔がいいからかな……
赤レンガ倉庫の前に12時集合との約束だったので五分前には着くよう来たが、黒衣の男……改め、太宰治さんはもう来ていた。早いな。
「すみません、お待たせしました。」
「……」
太宰さんは呆然としながら今日の私の服装を上から下まで見ると顔を逸らして一言、「似合ってる。」と言ってくれた。普段は店の制服だから私服で会うのは初めてか。
それにしても、初めて会った時よりも吃らず話してくれるようにはなったけど、相変わらず目は合わせてくれない。やはり嫌われているのだろうか。
太宰さんは「行くよ。」とだけ簡潔に言うと、スマートに私の手を引いて歩き出した。……おぉ、かっこいい。
何処に行くのか、なんて何も知らされてないし、そもそも私達は客も店員の関係で私は織田作さんから太宰さんの話はちょこちょこ聞いているから知っているが、太宰さんは私のことなんて何も知らないはず。
なぜ私が呼び出されたのかもどこに行くかも未だに分かっていない。というか、聞いても「内緒」とか「後でね」という返事ばかりではぐらかされる。
何処に連れてかれるんだろうか、とりあえず闇取引とかそういう恐ろしい所には連れていかれませんように。
「ここだよ。」
着いた先は水族館だった。
しかも、新しく出来た広くてデートスポットや家族サービスに最適と噂の。
確かに近いうちに行きたいとは思っていたけれど、何故私は赤の他人も同然の人と来てるんだろう。まるでこれではデートみたいだ。
いやいや、自惚れるな私。
こんなイケメンが私みたいなどこにでもいるような学生をデートに誘うはずがない。
そう一人で考えていると、太宰さんがいつの間にか入場チケットを買って来てくれていた。もちろん、私の分も。
「え、すいません。いくらでしたか?」
「気にしなくていいよ。」
「いやいや、でも悪いですし……」
「デートなのに女性に支払いさせるわけないでしょ。」
当たり前のように言って手を引く太宰さん。
あ、やっぱりこれってデートだったんだ。なんて考えたのはきっとサラッと女性を期待させることを言うこの人への防衛本能だろう。
美形の落としテク……恐ろしいな。
中は休日ということもあってか人は多い方だった。しかし、それでもはぐれなかったのは太宰さんが手を引いてエスコートしてくれたおかげだろう。
水槽の前には人が沢山いたはずなのに、太宰さんに手を引かれて歩いていればいつの間にか一番前にいてよく魚が見れた。
シャチにイルカにサメにペンギン、全て間近で見れて元は取れただろう。
疲れたらベンチに座ってお互いのことを話し合って、お腹が減ったらオシャレなレストランで美味しいご飯を食べる。
いつの間にか暗くなり始めた辺りを見て、少しだけ帰りたくないと子供みたいなことを考えてしまう。
来てよかったと思う。太宰(同い年と分かったので呼び捨て)の話は面白いし、女性を扱いに慣れているのか、エスコートも上手い。(ただし、ふとした瞬間にまだ目はそらされる。)
「今日は誘ってくれてありがとう。」
だから一日が驚くほど早くて少しだけこの別れを名残惜しく思ってしまう。
「……好きだよ。」
太宰は家に送ってくれる最中、私を見向きもせず、手を繋いだままぽつりと言葉を零した。
それはまだ夏の夜に聞くにはあまりにも声が小さくて聴き逃してしまいそうだった。
事実、私はそれが幻聴だったのではないかと思う。
だって太宰はその言葉を零した以降も何事も無かったかのように歩いているから。
けれど少しだけ力を強めて握られた手からそれが幻聴ではないと教えてくれた。
「私も好きだよ。」
私の素直な気持ちに太宰は驚いたようにこちらを見る。目が落ちそうなくらい開いていて、この人こんな顔もできるんだな、なんて当たり前のことを考えた。
「え、それって___」
「太宰も好きだったんだね、水族館。」
「……は?」
そうか、なぜ私が水族館に誘われたのか疑問だったが、ここに来てやっと解決した。
「確かに家族とか恋人が沢山来てる水族館に一人で行くのは難しいよね。」
「え、いや、あの、なまえの言う好きってもしかして……?」
「え、そんな好きって告白するくらい水族館が好きなんだよね?私も水族館好きなんだよ。」
私のおすすめはクラゲかな。イルカとかシャチも好きだけどクラゲのあのゆるい感じが好き。
仲間が出来たようで嬉しくて、にっこりと笑ってそう言えば落ち込んだ様子で「……うん、そうだね……」と返された。
あぁ、お土産コーナーにクラゲのぬいぐるみが無かったから落ち込んでるのかな?
よく分からんが、哀れなほど落ち込んでいるから慰めに頭を撫でてやれば瞬時に距離を取られた。3mくらい。
えぇー……私そんなに怖いかな……?別に頭掴んで握りつぶしたりとかしないのに。
つられるように私も落ち込みつつ、家まで送られた。
最後の最後まで落ち込んだまま去っていく背中を見届け、家に入る。
……そういえば、私は名前も好きな食べ物も飲み物も行きたい場所も住所も何も教えてないのに太宰はまるで当たり前のように知っていたな……
なんで分かったんだろう、なんて小さな疑問は母からの夕飯の知らせに消えていった。
友達に今日の謎の誘いについて行くかどうか相談した結果、結局来てしまった……やはり顔がいいからかな……
赤レンガ倉庫の前に12時集合との約束だったので五分前には着くよう来たが、黒衣の男……改め、太宰治さんはもう来ていた。早いな。
「すみません、お待たせしました。」
「……」
太宰さんは呆然としながら今日の私の服装を上から下まで見ると顔を逸らして一言、「似合ってる。」と言ってくれた。普段は店の制服だから私服で会うのは初めてか。
それにしても、初めて会った時よりも吃らず話してくれるようにはなったけど、相変わらず目は合わせてくれない。やはり嫌われているのだろうか。
太宰さんは「行くよ。」とだけ簡潔に言うと、スマートに私の手を引いて歩き出した。……おぉ、かっこいい。
何処に行くのか、なんて何も知らされてないし、そもそも私達は客も店員の関係で私は織田作さんから太宰さんの話はちょこちょこ聞いているから知っているが、太宰さんは私のことなんて何も知らないはず。
なぜ私が呼び出されたのかもどこに行くかも未だに分かっていない。というか、聞いても「内緒」とか「後でね」という返事ばかりではぐらかされる。
何処に連れてかれるんだろうか、とりあえず闇取引とかそういう恐ろしい所には連れていかれませんように。
「ここだよ。」
着いた先は水族館だった。
しかも、新しく出来た広くてデートスポットや家族サービスに最適と噂の。
確かに近いうちに行きたいとは思っていたけれど、何故私は赤の他人も同然の人と来てるんだろう。まるでこれではデートみたいだ。
いやいや、自惚れるな私。
こんなイケメンが私みたいなどこにでもいるような学生をデートに誘うはずがない。
そう一人で考えていると、太宰さんがいつの間にか入場チケットを買って来てくれていた。もちろん、私の分も。
「え、すいません。いくらでしたか?」
「気にしなくていいよ。」
「いやいや、でも悪いですし……」
「デートなのに女性に支払いさせるわけないでしょ。」
当たり前のように言って手を引く太宰さん。
あ、やっぱりこれってデートだったんだ。なんて考えたのはきっとサラッと女性を期待させることを言うこの人への防衛本能だろう。
美形の落としテク……恐ろしいな。
中は休日ということもあってか人は多い方だった。しかし、それでもはぐれなかったのは太宰さんが手を引いてエスコートしてくれたおかげだろう。
水槽の前には人が沢山いたはずなのに、太宰さんに手を引かれて歩いていればいつの間にか一番前にいてよく魚が見れた。
シャチにイルカにサメにペンギン、全て間近で見れて元は取れただろう。
疲れたらベンチに座ってお互いのことを話し合って、お腹が減ったらオシャレなレストランで美味しいご飯を食べる。
いつの間にか暗くなり始めた辺りを見て、少しだけ帰りたくないと子供みたいなことを考えてしまう。
来てよかったと思う。太宰(同い年と分かったので呼び捨て)の話は面白いし、女性を扱いに慣れているのか、エスコートも上手い。(ただし、ふとした瞬間にまだ目はそらされる。)
「今日は誘ってくれてありがとう。」
だから一日が驚くほど早くて少しだけこの別れを名残惜しく思ってしまう。
「……好きだよ。」
太宰は家に送ってくれる最中、私を見向きもせず、手を繋いだままぽつりと言葉を零した。
それはまだ夏の夜に聞くにはあまりにも声が小さくて聴き逃してしまいそうだった。
事実、私はそれが幻聴だったのではないかと思う。
だって太宰はその言葉を零した以降も何事も無かったかのように歩いているから。
けれど少しだけ力を強めて握られた手からそれが幻聴ではないと教えてくれた。
「私も好きだよ。」
私の素直な気持ちに太宰は驚いたようにこちらを見る。目が落ちそうなくらい開いていて、この人こんな顔もできるんだな、なんて当たり前のことを考えた。
「え、それって___」
「太宰も好きだったんだね、水族館。」
「……は?」
そうか、なぜ私が水族館に誘われたのか疑問だったが、ここに来てやっと解決した。
「確かに家族とか恋人が沢山来てる水族館に一人で行くのは難しいよね。」
「え、いや、あの、なまえの言う好きってもしかして……?」
「え、そんな好きって告白するくらい水族館が好きなんだよね?私も水族館好きなんだよ。」
私のおすすめはクラゲかな。イルカとかシャチも好きだけどクラゲのあのゆるい感じが好き。
仲間が出来たようで嬉しくて、にっこりと笑ってそう言えば落ち込んだ様子で「……うん、そうだね……」と返された。
あぁ、お土産コーナーにクラゲのぬいぐるみが無かったから落ち込んでるのかな?
よく分からんが、哀れなほど落ち込んでいるから慰めに頭を撫でてやれば瞬時に距離を取られた。3mくらい。
えぇー……私そんなに怖いかな……?別に頭掴んで握りつぶしたりとかしないのに。
つられるように私も落ち込みつつ、家まで送られた。
最後の最後まで落ち込んだまま去っていく背中を見届け、家に入る。
……そういえば、私は名前も好きな食べ物も飲み物も行きたい場所も住所も何も教えてないのに太宰はまるで当たり前のように知っていたな……
なんで分かったんだろう、なんて小さな疑問は母からの夕飯の知らせに消えていった。