ポートマフィア編
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高級菓子を受け取ってから暫く。
お菓子をくれたお客さん、まぁ黒いし名前知らないから「黒衣の男」と呼ぼう。
黒衣の男は週に一度、多くて二度の頻度で店に来るようになった。
何故知ってるかと言われればあの男が来るのは必ずと言っていいほど私のシフトの日であり、それ以外の日は来ていないと黒衣の男のファンである同僚から聞いたからだ。
「みょうじさん、注文取りに行くのお願いしてもいい?」
「あ、はい!」
黒衣の男が店に来るようになって、また女性陣の〈誰が注文を取りに行くか選手権〉が始まるかと思いきや、今となってはそのような争いは行われていない。
いや、確かに始まっていたのだが、見事勝ち抜いた人が注文を取りに行けば半泣きで帰ってきて、「みょうじさん注文お願いします。」と言われれば何があったと思うしかない。
どうやら誰が注文を取りに行っても結果は同じようで、黒衣の男は私を指名する。なんで指名制?そしてなんで私?謎その1だな。というか指名ってなんだ。ここはそういう店じゃねぇんだよ。ただの喫茶店だから。
なんて思っても先輩も同僚も皆「やっぱりイケメンは遠くから見るのに限る。」と目を遠くしながら注文を取りに行こうとしないので今回も私が行くはめになった。
「ご注文は?」
「……コーヒーとサンドイッチ。」
「かしこまりました。」と返事をし、その場を去ろうとすれば「ねぇ、」と声をかけられる。来た、この男の謎その2。
「……今休憩取れるよね?」
まぁ、確かにお昼の一番忙しい時間も過ぎたし、暇といえば暇だな。
そんな気持ちが見透かされたのか、黒衣の男は勝手に私が休憩に入ることを同僚に伝え、向かいの椅子に座るよう促した。
「失礼します。」
「……昼食は?」
「まだ食べてません。」
「そう。」とだけ頷くと店員(同僚)にオムライスを頼んだ。どうやら私の分で奢りらしい。いいのかな……
「……」
「……」
暫く私も黒衣の男も何も喋らず、沈黙を貫いていた。そう、こういう事はよくあった。黒衣の男はこの店に来るようになってから、私を(強制的に)休憩に入れさせ、こうして向かい合う。初めの頃は結構ビビったものだ。
「お待たせしました、オムライスです。」
「あ、ありがとうございます。……えっと、じゃぁ頂きますね。」
運ばれてきたオムライスを食べる前に黒衣の男に一言声を掛けるが返事はない。私、嫌われているんだろうか。
いや、嫌われているんだとしたら指名されることもこの謎の時間も無いだろう。かれこれこの謎の時間は2、3回は過ごしている。というより、何故私は名も知らぬ男とお茶しているのだろう。
しかも、何故か黒衣の男は目が合えば物凄い勢いで目を逸らし、私が少し笑えば血が出るような勢いで頭を机にぶつけるのだ。
謎だ、黒衣の男が謎でしかない。
「ねぇ、この間あげたお菓子美味しかった??」
「え、まぁさすが高級菓子でした。とても美味しかったです。」
いきなりの質問に適当に答えれば「そう、」と安堵したように呟かれる。
「じゃぁ、これあげる。」
そう言って渡されたのは肌触りが良さそうな上品なデザインの高そうなハンドタオル。
そんなものを買う余裕など学生の私にはないのだが……この人やっぱり見た目といいこんな高そうなものをポンっと出すとこといい裏社会の人間か?
「すみません、このハンドタオルを買い取るだけのお金がないので受け取れません。」
正直に言えば不機嫌そうに顔を顰められた。
「私は君にあげるって言ってるんだけど。」
「こんな高価なもの頂けません。」
菓子類なら別だが、学生の私がこんな高そうなものを持つなんて文武不相応だろう。というかなんでこんな高そうなのを私に?態々買ってきた……とは考え難いな。
こんなに顔が整ってるなら私みたいな平凡じゃなくてもっと美人の相手が出来るだろう。そもそも私はこの人の名前も知らないし、恐らく住む世界が違う。
「べっ別に君のためにこれを用意したとかそういうのじゃなくて、!そう、!落ちてた!落ちてたから届けにきただけで、!?!?」
そう考えていると黒衣の男はいきなり何かに気付いたかのように慌てて弁解し始めた。
「落ちてた?店にですか?」
「そう!店に落ちてたから店員である君に渡せばいいかなと、!だから決して君のために買ってきただとかどれにするか決めるだけで5時間以上掛かった上に気に入るものを作らせたりとかしてないし、そういうのじゃないから!!」
なんだ、店に落ちてたのか。それならそうと早く言ってくれれば良かったのに。怖いくらい私好みのデザインだったから私宛てと勘違いしてしまった。恥ずかしい。
「分かりました。この件についてはお任せ下さい。持ち主の元へ返せるよう努力致します。」
羞恥を隠すようにニッコリと笑い、箱ごと預かれば、黒衣の男は顔を伏して落ち込んでいた。何故に?
お菓子をくれたお客さん、まぁ黒いし名前知らないから「黒衣の男」と呼ぼう。
黒衣の男は週に一度、多くて二度の頻度で店に来るようになった。
何故知ってるかと言われればあの男が来るのは必ずと言っていいほど私のシフトの日であり、それ以外の日は来ていないと黒衣の男のファンである同僚から聞いたからだ。
「みょうじさん、注文取りに行くのお願いしてもいい?」
「あ、はい!」
黒衣の男が店に来るようになって、また女性陣の〈誰が注文を取りに行くか選手権〉が始まるかと思いきや、今となってはそのような争いは行われていない。
いや、確かに始まっていたのだが、見事勝ち抜いた人が注文を取りに行けば半泣きで帰ってきて、「みょうじさん注文お願いします。」と言われれば何があったと思うしかない。
どうやら誰が注文を取りに行っても結果は同じようで、黒衣の男は私を指名する。なんで指名制?そしてなんで私?謎その1だな。というか指名ってなんだ。ここはそういう店じゃねぇんだよ。ただの喫茶店だから。
なんて思っても先輩も同僚も皆「やっぱりイケメンは遠くから見るのに限る。」と目を遠くしながら注文を取りに行こうとしないので今回も私が行くはめになった。
「ご注文は?」
「……コーヒーとサンドイッチ。」
「かしこまりました。」と返事をし、その場を去ろうとすれば「ねぇ、」と声をかけられる。来た、この男の謎その2。
「……今休憩取れるよね?」
まぁ、確かにお昼の一番忙しい時間も過ぎたし、暇といえば暇だな。
そんな気持ちが見透かされたのか、黒衣の男は勝手に私が休憩に入ることを同僚に伝え、向かいの椅子に座るよう促した。
「失礼します。」
「……昼食は?」
「まだ食べてません。」
「そう。」とだけ頷くと店員(同僚)にオムライスを頼んだ。どうやら私の分で奢りらしい。いいのかな……
「……」
「……」
暫く私も黒衣の男も何も喋らず、沈黙を貫いていた。そう、こういう事はよくあった。黒衣の男はこの店に来るようになってから、私を(強制的に)休憩に入れさせ、こうして向かい合う。初めの頃は結構ビビったものだ。
「お待たせしました、オムライスです。」
「あ、ありがとうございます。……えっと、じゃぁ頂きますね。」
運ばれてきたオムライスを食べる前に黒衣の男に一言声を掛けるが返事はない。私、嫌われているんだろうか。
いや、嫌われているんだとしたら指名されることもこの謎の時間も無いだろう。かれこれこの謎の時間は2、3回は過ごしている。というより、何故私は名も知らぬ男とお茶しているのだろう。
しかも、何故か黒衣の男は目が合えば物凄い勢いで目を逸らし、私が少し笑えば血が出るような勢いで頭を机にぶつけるのだ。
謎だ、黒衣の男が謎でしかない。
「ねぇ、この間あげたお菓子美味しかった??」
「え、まぁさすが高級菓子でした。とても美味しかったです。」
いきなりの質問に適当に答えれば「そう、」と安堵したように呟かれる。
「じゃぁ、これあげる。」
そう言って渡されたのは肌触りが良さそうな上品なデザインの高そうなハンドタオル。
そんなものを買う余裕など学生の私にはないのだが……この人やっぱり見た目といいこんな高そうなものをポンっと出すとこといい裏社会の人間か?
「すみません、このハンドタオルを買い取るだけのお金がないので受け取れません。」
正直に言えば不機嫌そうに顔を顰められた。
「私は君にあげるって言ってるんだけど。」
「こんな高価なもの頂けません。」
菓子類なら別だが、学生の私がこんな高そうなものを持つなんて文武不相応だろう。というかなんでこんな高そうなのを私に?態々買ってきた……とは考え難いな。
こんなに顔が整ってるなら私みたいな平凡じゃなくてもっと美人の相手が出来るだろう。そもそも私はこの人の名前も知らないし、恐らく住む世界が違う。
「べっ別に君のためにこれを用意したとかそういうのじゃなくて、!そう、!落ちてた!落ちてたから届けにきただけで、!?!?」
そう考えていると黒衣の男はいきなり何かに気付いたかのように慌てて弁解し始めた。
「落ちてた?店にですか?」
「そう!店に落ちてたから店員である君に渡せばいいかなと、!だから決して君のために買ってきただとかどれにするか決めるだけで5時間以上掛かった上に気に入るものを作らせたりとかしてないし、そういうのじゃないから!!」
なんだ、店に落ちてたのか。それならそうと早く言ってくれれば良かったのに。怖いくらい私好みのデザインだったから私宛てと勘違いしてしまった。恥ずかしい。
「分かりました。この件についてはお任せ下さい。持ち主の元へ返せるよう努力致します。」
羞恥を隠すようにニッコリと笑い、箱ごと預かれば、黒衣の男は顔を伏して落ち込んでいた。何故に?