朝焼けの白月
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《《 Heyガイス!!
まだまだこれからだぜー!
着いてこれてるかー!?
Yearー!》》
「ったく…相変わらず深夜でも
テンション高いな、あいつは」
深夜
教員寮の自室
まだ残っていた仕事を片付けるため
長時間パソコンと向かい合っていたが
眠くなり
ラジオをつければ
プレゼントマイクの声が
部屋中に響き渡る
おかげで目は覚めたが
耳がキンキンする
「ったく…全室防音壁で良かった」
付けるタイミングを間違えたと
ラジオを切ろうとして
手が止まる
《えーなになにっ
〝プレゼントマイクに相談したいことがあり
初めて投稿しました
とある事情で長年
疎遠になってしまったのだけれど
もう一度
会いたい人がいるんです
けれど自分勝手で今更すぎると
1歩を踏み出せずにいます
否定されるのが怖くて…
このまま、諦めるべきでしょうか……?〟》
《カーっ!!
なかなかシリアスな
相談じゃねーかぁ
否定されるのがこわい?
俺から言わせりゃそいつぁ贅沢な悩みだな!
会いたいヤツがいる
どこ行きゃ会えるかも分からねぇ
このまま二度と会えねぇかもしれねぇのに
どうすることも出来ない
ただ待つしかできねぇ
そんな惨めなヤロー共と比べりゃな!
ホントは分かってんだろ?
俺の言葉ひとつで
その1歩を踏み出せるなら
俺から言えることはひとつだ!ーーー》
ラジオを切り
その先を聞くのは辞めた
あいつの声で充分に目が覚めたし
あいつの回答は分かりきっていたから
手元の残った仕事に再度集中
無音の部屋に
キーボードを叩く音だけが響く
ふと
見上げた窓の外は
燃えるような朝焼けが広がっていた
そんな中にほんの小さな白月が浮かんでいた
マイクのラジオを切ってから
何時間すぎたのだろう
いつの間にか夜は明けていたらしい
パソコンの画面ばかりを見て
疲れた目を抑える
「はぁ…家で仮眠するより
学校行って寝袋で寝た方が合理的、か…」
シャワーを浴び
鏡に映る自分の顔が目に入る
充血した目に
酷いクマだ
「髭でも剃るか」
久しぶりに見た鏡に写る自分は
酷く疲れた顔をしていた
眠いような
妙に目の冴えたような
なんとも朧気な頭で玄関へ向かう
玄関を出る寸前
ふと昔
雄英生時代に4人で撮った写真が目に入る
写真に映る2人は
俺たちと違って全く変わらない
当時の姿のまま笑っていた
「……写真なんだから、当たり前か
疲れてるな
俺も」
いってきます
と
写真につぶやき
教員寮を出て雄英へ向かう
「マイクもそろそろラジオ局から帰ってくる頃か
あいつも見てたのかね」
まだほんのり
朝焼けの名残が映る空
まだそこにいる白月に問いかけてみる