朝焼けの白月
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約束ってのは
希望の光にもなるし
呪いにもなる
俺は
俺たちは
今もまだお前の帰りを
ここで待ち望んでいる
…………………………………ꕤ.。
相澤side
もう何年も前のことだ
初めてあいつに会った日のことを
俺は今でも鮮明に覚えている
雄英高校1年生の春
初めて顔を合わせるクラスメイト達の中に
妙に人目を引く
女子生徒がひとりいた
陰りのない白銀の髪
色白で華奢な体つき
闇夜の中でも輝きそうな深紅の瞳
ただそれだけでも
思わず見入ってしまうというのに
彼女が連れている黒狐
相反する色合いの
ひとりと1匹
陰のある儚げな美しさを
かもし出していた
高嶺の花
そんな言葉が似合うような
何となく近寄り難い
女子生徒だった
こんなにも華奢で戦えるのか
きっと誰もがそう思うだろう
見るからに個性はあの黒狐なのだろうが
一体どう戦うのか皆目検討もつかない
前の席に座る彼女を
何となく眺めていたら
目の前が真っ暗になった
鼻先に触れる柔らかな感触
「は…?浮いて……る」
視界が真っ暗になったのは
彼女の連れている狐が空に浮き
うろちょろと落ち着きなく駆け回り
相澤の眼前を黒狐の尾が覆ったからだった
『こら、おいで
…ごめんね?』
「いや……」
綺麗な声だった
思わず少しの間見とれてしまっていた
真っ直ぐこちらを見下ろす紅い瞳が
いやに脳裏に焼き付いた
クラス全体の自己紹介
『卯月……卯月紡希
キュウコウ
こっちは九皐よろしく』
名乗るだけの簡素な自己紹介
とてもよろしくして欲しいようには見えない
「相澤消太、個性は抹消です
よろしくお願いします」
まぁ自分も人のことは言えないか
彼女の纏う空気から
誰もが声をかけるのを躊躇っていた
そして本人も
それを望んでいるかのようで
静かに燃ゆる紅い瞳は
ただ虚空を見つめていた