朝焼けの白月
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キラキラ
きらきら
まるで素敵な大人を見るかのように
強くてかっこいい先生を見るかのように
慈愛に満ちたヒーローを見るかのように
瞳を輝かせ
尊敬の眼差しを向ける彼らに
言えなかった
なぜ教職についたのか
ヒーローを志したのか
それは
償い
子供たちを養うためというのも
お金を稼ぐためなのも嘘では無い
けれどそれらは
後付けされた理由に過ぎない
償い
それは
小さな頃
私が私の個性のせいで
傷つけ、奪ってしまった
多くの魂
それに報いるために
他人を救い
償っているだけなのだ
生徒らに話して聞かせるには
あまりに夢のない
生々しく
凄惨な
私の幼少時代
ホントの私は
か弱くて、カッコ悪くて頼りない
ひとりで真っ直ぐ
立って歩くこともままならない
脆弱な操り人形
それでも私は戦い続ける道を選んだ
なぜなら私は
曲がりなりにもヒーローなのだから
··········································⟡.·*.
『ひざしー!みーっけた!』
サポート科を出た紡希は
授業を終えたひざしを見つけ
背後から駆け寄り
勢いそのままにその背中に
ぎゅっと抱きつく
「what?!っどーした紡希」
『いや〜子供たちの眼がキラキラして眩しくて』
「HA?」
『それより見てみてこの飾りっけ』
パワーローダーに仮縫いしてもらった
ヒーロースーツを自慢しに現れた紡希
フードを深くかぶりながらも
フードの縁や袖などにあしらわれた
飾りっけをひざしに見せびらかす
「おーパワーローダーいいセンスしてんな」
『可愛いよねこの刺繍もボタンも!
嫌味のない金色で華があって
でもどれも繊細で柔らかで
ひざしみたいにキラキラしてる』
ヒーロースーツに施された
ほんの少しの飾りっけを
愛おしげに優しくなぞる紡希
ひざしが紡希のためにパワーローダーに
頼んだという事実が
たまらなく嬉しいのだと
そのかすかな隙間から見える
笑顔が物語っている
「Ah〜お褒めに預かり光栄だがな紡希?
学校では俺の事下の名前じゃなくて
マイクって呼んでくれよ?」
『消太もひざしも同じこと言うね』
「HAHAそりゃそーだ
名前で呼ばれるのはスゲー嬉しいけど
そのcuteな声は外野のいない所で聞きたいんだよ」
『ふふ、なにそれ』
ひざしは
クスクスと笑う紡希のフードを外し
顕になった白銀の髪と
紡希の顔をまじまじと見つめる
『どうしたの?』
「いーや、似合ってるなってさ
verycuteだぜ?紡希」
紡希の柔らかな髪をすくい
Kissを落とす
ヒーロースーツを纏う彼女は
まるで漆黒の闇に浮かぶ白銀の月の様で
刺繍は、キラキラ光る星粒みたいだ
『んなっ……』
「なんだ?照れてんのか紡希」
いつもは無遠慮に距離を詰め
時には飛びついてくる距離感バカな紡希が
珍しく頬を染めマイクから半歩後ずさる
そんな反応が珍しくて
頬を染めあたふたする姿がが可愛くて
髪にキスを落とした距離のまま
紡希を見つめた
『…………』
「……なんとか言えよ俺がすべったみてーだろ」
『ひざしそんなに色気ムンムンだっけ?
10年という歳月を感じたよ…』
「真顔でヤメロこっちが恥ずかしくなるわ…」
お互い頬を赤く染め
なんとも言えぬ空気が当たりを包む
いっその事抱きしめてやろうかと
マイクの頭の中が迷走しだし
髪をすくっていた手を更に紡希へ伸ばした時
芦戸
「あ!マイク先生ー!紡希先生ー!
っ………あれ?お取り込み中でした?」
『三奈ちゃん!全然!お取り込み中じゃないよ!』
手を振りながら駆け寄ってくる芦戸三奈に対して
両手を広げて受け入れ態勢万全な紡希
その紡希の腕の中に
芦戸はなんの躊躇いもなく飛び込んだ
『三奈ちゃん~!』
腕の中にいる三奈を
ヨシヨシなでなでと可愛いがる紡希
「だーから女子生徒相手でも
その距離感はやめてやれ
家のガキ達と違うんだから」
引き剥がそうとするマイクの様子に
ピンと来た
芦戸がさらにぎゅっ、と紡希に抱きつく
「HA?」
「ムフ〜!マイク先生羨ましい?」
「う、羨ましくなんかねーよ!
ったく紡希は相変わらず子供相手だと
距離感バグってやがるな
…そういやお前自分より背が低いやつにも
そんな感じだったけど
パワーローダーには____」
『あ!そういえばパワーローダーが
このヒーロースーツ仮縫いって
言ってた!返しにいかないと!
それじゃ!またね三奈ちゃん!マイク!』
言うがいなや紡希は
再度三奈をギュッと抱きしめてから
逃げるように2人の元からいなくなる
「………Heyアシッドガール
そういや俺に用があったのか?」
「いえ!なんかキュンキュンする予感がして!!
紡希先生と何話してたんですか!?」
「Ah〜?……世間話だよ
たわいのないな」