朝焼けの白月
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「おい、生徒相手に何やってんだ」
「パワーローダー先生!」
パワーローダーが呆れ気味で
扉の向こうから現れた
そしてほれ、と
手に持っていた真っ黒なコートを
麗日に擦り寄っていた紡希に押し付け
麗日と紡希を引き離す
「まだ仮縫い状態だ
修正したいとこがないかチェックしてみろ」
『さすが、仕事がお早いですね』
「超特急で作ってやったぞ
まぁシンプルだし
ベースがあったからそんなに
難しくはなかったがな」
早速紡希は受け取ったコートを羽織り
口元までを覆うチャックをあげ
フードを深くかぶれば
綺麗な銀髪も口元も隠れ
今はもうわずかな隙間から
目元しか見えない
雄英生徒時代、そして先日
校長室で着ていたのと同じデザインだ
しかし
袖やフードの縁
コートのボタンなど
所々に嫌味のない程度の控えめな
金糸の刺繍が縁取られている
『これは?』
「…マイクからの要望だ
〝雄英に着任すれば
嫌でもメディアに露出する機会が出てくる
だから多少は飾りっけをつけろ〟とさ」
「紡希先生かっこええ〜!」
「これが紡希先生のヒーロースーツ……!
洗練され無駄がないですね」
『うん、そうだね
いいデザインだ
ピッタリだし動きやすい
さすがですパワーローダー』
紡希は満足そうな声で
自分より背の低い
パワーローダーの頭を
なでなでと撫でる
「おい、一応俺はお前より年上だ」
『あ、すいませんついつい』
「「「(この人子供とか関係なく距離感近いっ!?)」」」
「はぁ、、、
服屋じゃねぇんだから
そのコートもただのいい布じゃねぇんだぞ?」
「パッ…パワーローダー先生!
それは具体的には!?」
「ぅお」
何故か今後着用する紡希よりも
興味津々な緑谷がノートを握りしめながら
パワーローダー先生に詰め寄る
「あ〜まずはデザインだが
こいつの要望通り
体全体と更に口元と髪が隠せる
真っ黒で襟高、フード付き
あとなんだっけか
足出しNGだったか?
だいたいコイツは機能的な
要望が少なすぎるんだよ
他に何か欲しい機能やデザインはなかったのか」
『うーん、特には?』
「お前さんの同級生
あいつらお前さんが無頓着なの見越して
代わりに要望を言いに来てたぞ
プレゼントマイクは飾り気を
イレイザーヘッドは機能性を
『ふふ、見透かされてるねえ~』
〝どうせあいつはヒーロースーツも
黒くて着れればただの布でいいと思っていかねないし
どんな加工ができるかも知らんだろうから
動きの妨げにならない程度に身を守れるよう
設計してやってください〟
「とさ、イレイザーがな
だから勝手にこっちで色々いじっといたぞ
防炎、防水、防塵と防弾
主に〝衝撃の吸収性に特化〟した生地を使用
縫合している」
『へぇ〜当然だけど
この10年で色々技術も進んでますねぇ
機能充実しているのに
厚ぼったくないしすごく動きやすい』
「おいおい、まさか……
ヒーロースーツ10年ぶりの
新調とか言うんじゃねぇだろうな」
『んーと、高校入学時に出した被覆控除
あれ以来スーツに関しては
新調も改良もしたこと無かったですねぇ』
「はぁ?」
大いに呆れるパワーローダーだったが
紡希は何処吹く風で
あっけらかんとしている
「生徒たちでさえこまめに点検、改良
場合によっちゃ新調もしてんだ!
経年劣化はもちろん
身体能力、個性使用方法の変化による
改造の余地はいくらでもあるんだ
これからはこまめにもってこい」
『あはは〜気をつけます』
闇夜に溶け込むような黒を基調とし
シンプルかつシャープなデザイン
正直パッと見だとヒーローには見えないし
男か女かすら分からない
紡希の可憐さ一切を隠すようなヒーロースーツ
緑谷は
ヒーロースーツを見れば
この思い出せそうで思い出せない
不思議な違和感が拭えると思ったが
そんなことは無かった
むしろ分からなくなったくらいだ
「なんだったんだろう……
見た覚えがあったように感じたのは …
さっき紡希先生が振り向いた時のあの雰囲気をどこかで見た気が……やっぱり他人のそら似……?先生自身マスコミは嫌いだって言っているし
なによりこんな綺麗な人ヒーローにいたら絶対……ブツブツ」
『こんな超マイナーヒーローについて見覚えのある
出久くんにちょっとだけネタばらし』
「はい!!?」
『たしかに、過去に1度だけ
テレビに出たことがあるんだ
あの映像が、まだどこかに
残ってるのかはわかんないけど…
出久君に、見つけられるかな?
さらにヒントをあげると
ヒーロースーツは関係ないよ』
イタズラな笑みを浮かべ
紡希は仮縫いのヒーロースーツを着たまま
サポート科を出ていってしまった
「やっぱり!どこかで見てるんだ!」
「あ、あいつ目ぇ離した隙に
仮縫いのスーツ着てどこいった!?」
「あ、紡希先生なら
ひざし?って人に見せてくる〜って
行っちゃいました」
「さすが元雄英生徒…俊敏な身のこなしで
僕には止められませんでした」
「いいほっとけ満足したら帰ってくるさ」
子供のしたことだと
諦める大人のようにパワーローダーは
紡希のことを即座に諦め
次は生徒たちのサポートアイテムに着手し始めた