朝焼けの白月
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俺はプレゼントマイクだ
俺は
リスナーに
〝俺の声〟を届けるのが仕事だ
それはヒーロー活動でも
ラジオでも
雄英のセンセーでも
変わらない
だけど
「あいつに
俺の声は届いてんのかな
いまだに考えちまう」
高校時代からの馴染み
イレイザーを誘い
個室のある居酒屋に
個室だからリスナーに見つかることも無く
安心して本音で話せる
だからなのか
酒の助けもあって
センチメンタルな気分になる
いや、既にセンチメンタル
だったから個室の店を
無意識に選んだのかもしれない
わざわざイレイザーを誘ってまで
「…マイク、あいつは長期任務につくって
言って出てっちまった
それも、高校三年生の時の話だ」
「俺の個性なら、
ラジオなら
あいつが今どこで何をしてても
俺の声は届けられる……」
「……元々数週間、長くても
1-2ヶ月で帰るって話だったろ」
こんな話をするのは初めてじゃない
もう何度目だろうか
いつまで経っても
帰ってこない
1人のクラスメイトを想うのは
「……マイク
いくら〝強い個性〟を持っていようと
生半可な実力じゃこの世界生きていけない」
「あいつは強かった」
「たしかに、〝強い個性〟だった」
「何が言いてぇんだよイレイザー」
「もう10年以上がたった
あれから姿を見せないどころか
連絡すらよこさない……
あいつはきっともう…」
「馬鹿なこと言ってんじゃねぇ!」
「はぁ…もうやめようこの話は」
確かめることすら出来ない
合理性に欠く会話
それでも相澤が付き合ってくれるのは
きっとあいつも心のどこかで
あいつの無事を願っているから
信じたい、生きていると
けれど現実的にそれがあり得るのか
『必ず帰ってくるよ
私だって、2人と一緒に卒業式出たいから!』
高校三年生の12月
初雪のふる中彼女はそう言い残し
ひとり任務へ向かった
雄英の校門の前で
彼女を見送る
白銀の髪をなびかせ
雪の中へ消えていくのを
いつまでも見ていた
あの日のことを
こんなにも鮮明に覚えている
雪の中に消えた彼女は
未だに戻らない