朝焼けの白月
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その後紡希は
B組や別の学年のヒーロー科を回って
顔見せ程度の挨拶に回る
今は夏休み中ということもあり
ヒーロー科以外の生徒たちはまばらなため
また新学期に改めて紹介することになった
それでも
紡希への注目度は
いろんな意味で高かった
先日マイクが廊下でデカデカと
号泣していたのも相まってか
紡希への視線は好奇の目や
野次馬心が伺えたが
それも仕方ないことだろう
そして相澤と共に教員用の資料室や
会議室を一通りまわった後
紡希が今後ヒーロー課の授業を見るにあたり
必要なものを揃えるため
サポート課へ向かうこととなった
「ほんとにひとりで大丈夫か?」
『私だって元雄英生徒だよ?
さすがに一人で行けるよ』
「……ならいい加減、裾を離せ」
そう言って顎で指す先では
紡希の右手がしっかりと
相澤の服の裾を掴んでいた
『あ、ごめんね』
無意識だったのだろう
慌てて手を離し照れたように笑う
昔と変わらない彼女の〝癖〟に
どこか安心感を覚えた
「……俺には構わんが
ほかの生徒や教師との距離感はちゃんと保てよ
特に生徒達
子供相手だとお前、距離感バグるからな」
『それ、今朝ひざしにも言われた』
「は?今朝?」
『ん?』
「……いや、
おれはこの後はだいたいTDLにいる
マイクは次3-Bで授業だ
何かあったらすぐ呼べよ」
『もう、心配性だなぁ消太は』
「あとそれ」
『ん?』
「生徒たちの前で下の名前で呼ぶのはやめてくれ」
顔を捕縛布に埋め視線を逸らす消太の頬が
ほんのり赤くなっている
『ふふ、消太ってば照れてるの?』
「照れてねぇ、あとイレイザーだ」
『今周りに生徒いないもーん』
「もんってお前な……」
『イレイザー』
「……不意打ちやめろ
ったく、九皐のいないお前は
そそっかしくて鈍臭いから心配だ
じゃあ、気をつけろよ」
紡希の頭をひとなでしてから
相澤はTDLへと向かった
紡希は宣言通り、特に迷うことなく
サポート課へ到着
目的の人物だったパワーローダーは
席を外しているということで
とりあえず近場の椅子に座って
彼を待とうと中へおじゃまする
『このサポート科のゴタゴタ感
10年たっても変わらないなぁ』
誰もいない室内
ガラクタなのか完成品なのか分からない機械が
来客用の椅子の上にあったので
差しつかえなさそうな場に移す
その辺に無造作に置かれている
サポートアイテムたちを眺め
何年経っても変わらない懐かしさに
紡希は頬を緩めた
椅子に座りながら辺を眺めていると
程なくして扉からノック音が響く
「失礼します!」
「パワーローダー先生、いらっしゃいますか?」
ゆっくり扉へ振り返った先
扉を開けそこにいたのは
数時間前に見た顔ぶれだった
『麗日お茶子ちゃんに飯田天哉くん、
緑谷出久くんだね』
ひとり退屈に思い始めていた
空間にすっと風が通った