朝焼けの白月
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意識があるようでないような
まどろみの中
これはまた、随分と昔の夢だな
なんて
私、卯月紡希は
冷静に当たりを見渡した
そして足元にうずくまる
昔の“小さな私”に気がつく
小さく丸まるこの頃の私は
いくつだったかな
この箱の中にいた頃は
時間の流れや日が経つ感覚が
全く分からなかった
辺りを見渡すと
薄暗く窓もない鈍色の部屋
年頃の女の子が遊ぶようなおもちゃも
家具も、ベッドも敷布団もなく
あるのはただ毛布1枚だけ
そんな薄暗い部屋の中で
“小さな私”は
指や腕、足や関節
眼球や口すらも妙にリアルな
全然可愛くない人形で
遊ばされていた
この人形で遊ばされてるってことは
9歳位……いや、7つだっけな?
ぼーっと“小さな私”を見ながら考えていると
ギィ___ と
ゆっくり
この部屋唯一の扉が
重たく開く音が響き
淀んだ光が差し込んだ
「さぁ
今日も個性を使う練習をしよう
こっちへおいで」
研究服のようなものを着た
ひょろりとしてやせ細った男が
優しげな笑みを浮かべながら
“小さな私”に近寄ってくる
『……ぃやだ…………つれていかないで』
枯れた声
ガサガサな手足
傷んでくすみ
長さもまばらな髪の毛
血が滲んだような濃く紅い瞳は
恐怖に歪み
大粒の涙を流していた
見るに堪えない
小さな
カワイソウナ子
「さぁ
今日も新しいおもちゃ
用意したからね
出ておいで?」
『いやだっ……
でたくないっ!』
「大丈夫
怖いことなんてない
おもちゃだって、また壊してしまっても
すぐに足してあげるよ
新しいお人形さんで沢山遊ぼうね」
歪んだ笑みが
部屋にいた少女を
淀んだ光へ連れたった
もう、壊したくなんかないのに
誰か教えて
〝人〟って
おもちゃなの………?
ギィ___と再び扉は閉じられ
山のように積み重ねられた気味の悪い人形と
毛布1枚
そして“今の私”を残して
“小さな私”はこの部屋から連れ出された