朝焼けの白月
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ある日の休み時間
紡希の前の席を白雲が陣取り
唐突に
「なぁ卯月
ちょっと笑ってみてくれよ」
個人戦の時にひざしの前で笑ったという
その顔を見てみたくて
白雲は紡希の机にもたれながら
その綺麗な顔に声をかける
『……へ?』
「ほら、こんなふうにさ! にひ〜〜」
戸惑う紡希をよそに
白雲は両人差し指で自分の口角をぐっと上げてみせる
「やめろ白雲
困ってんだろ」
「笑った顔が見たきゃ笑わせればいい!
いいか、これは俺が小学生の頃の話なんだがなーー」
「うふひ!ほうはほほはお?へっはくはろ?」
<卯月! どうだこの顔? 傑作だろ?>
白雲の変顔をみて、山田のオチも聞いた
けれど紡希の口角はピクリとも反応していない
むしろどう反応すればいいのか…
という顔をしている
代わりと言ってはなんだが
白雲の変顔が気に入ったのか
九皐がしっぽを振り回しながら
机をポムポム叩いている
本当に、似ていない主従である
困り顔の紡希は横に立つ相澤を見上げる
相澤もまた、スン……とした顔をしていた
笑えなかった紡希が
おかしいわけではないようだ
「ちょっと三バカ!
卯月さんに変な絡み方しないの!」
「ひふへいは!」
<失礼な!>
白雲は紡希に見せていた変顔を
ほかのクラスメイトに向けた
「ちょっ、ばっ」
「あっはは!なんちゅー顔してんだ白雲!」
白雲の変顔にクラスメイトたちが
腹を抱えて笑う
「……たく、そんなバカやってる場合じゃないのよ!
もうすぐ体育祭があるんだから!」
「ねぇ卯月さん良かったら
放課後みんなで体育祭の対策しない?
どうせなら私たちA組で上位独占しようよ!」
『放課後はちょっと……それに私
体育祭に興味無いの』
「え、そ、そうなんだ……」
いつもこうだ
放課後になると紡希はさっさと帰ってしまう
入学後すぐに
クラスメイトで集まった
親睦会やら
ファミレスでだべるだけの会やら
テスト勉強会
初めこそ女子も熱心に誘っていたが
誰がどう誘おうと紡希が応じたことはなかった
そして今回も例に漏れず
紡希は不参加
そうこうして迎えた体育祭
ヒーローを志すなら外せないイベント
どの授業でもでもトップの成績な彼女が
初戦敗退
惜しかったとか
そんなことも無く、だ
手を抜いたのは明らかだった
そこになにか意図があるのか
それは誰にも分からなかった