朝焼けの白月
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ヒーロー基礎学
室内戦闘のシュミレーション
による1対1での戦闘訓練
未だ無敗を誇る卯月紡希と
1戦目で当たってしまった相澤
室内で身を隠す場所がないため
抹消からは逃れられない
とはいえ
相澤が有利になる訳では無い
体力テストもいつも好成績
見た目の華奢さとは裏腹に俊敏な身のこなし
接近戦の心得はあると踏んだ方がいい
普段姿を隠しての戦闘スタイルだから
どう獲物を狙うのか
変化なしに九皐がどの程度戦えるのか
どう動くのか
これまで1度も目撃されず
カメラにすら収められなかった
卯月紡希の戦闘シーンが見られるということで
初戦からクラスメイトの視線を釘付けにしていた
「year!初戦から見ものだぜっ」
「卯月が個性使うところ見てみたいな」
「相澤ー!抹消使うなー」
「使わなきゃ勝てねぇだろ」
「使ったところで望み薄だろ?」
「バカ言ってんじゃねぇ!
ショータだってやる時はやるんだからな!
がんばれーショータ!」
「(とか思われてんだろうな)」
スタートの合図を待つ間
モニター室の様子を想像する
思考を巡らせ
あらゆる可能性を視野に入れ
対策を考える
捕縛布を握り
卯月紡希を見据え構える
《はじめー!》
室内に先生の声が響き渡ると
彼女は即座に動いた
『……』
右手を真っ直ぐ上へあげ
『降参』
《はい?》
「……は?」
俺だけじゃない
先生も 、
恐らくモニタールームでこの対戦を見ている
クラスメイト全員が
彼女の言葉を飲み込めず
ほうけていることだろう
『私は、抹消には勝てない
分かってて戦うのは合理的じゃないから』
そう言って室内演習場を後にした
俺はただその急展開に
立ち惚けてるしかなかった
九皐が足元まで近寄り
何か言いたげに見上げてくる
しゃがみこんでやると
膝の上に登り
ふに、と肉球を頬に押し当てられる
「クーン」
主が戦闘を選ばずいじけているのか
慰められているのか
意図は分からない
「ありがとな」
そう言って頭を撫でてやると
嬉しそうにしっぽを振り
主である彼女の元へかけて行った
その後も授業は続き
彼女はというと
何人も相手役を変え
接近戦に持ち込まれても危なげなく
完膚なきまでに圧勝し続けている
アレだけの個性と戦闘技術がありながら
何故棄権したのか
無敗を誇っていた彼女が
ただ個性を使えなくするだけの俺相手に、だ
モニター室でいくら考えても
答えは分からなかった