片翼の月 弍
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水難ゾーンの方から大きな水音が鳴り響いた
上空へ飛び上がり上から様子を伺うと
峰田は頭から血を流し
出久は右手の指が2本変色していて
そんな2人を蛙吹が抱え戦線離脱していた
3人がヴィランを制し
丘へ向かって歩いているのが見え
ほっと胸をなでおろす
怪我はしているがいずれも軽傷だ
そのまま13号先生達のもとへたどり着けるだろう
そう判断しそのまま
中央の方へ行ってしまった
相澤先生を追いかけた
そこで目に飛び込んできた光景に
一瞬で身体中の熱と血がかっと熱くなる
『先生から離れろ!』
手に持っていた錫杖を
相澤先生にまたがるヴィランの
首元をめがけて容赦なく叩きつける
しかしその脳がむき出しになっているヴィランは
痛がる素振りすらなく
羽虫でも払うかのように
夜羽を叩き飛ばす
地面に叩きつけられ転がりながらも
素早く体を起こし
追撃に備える
『なんだコイツ…』
「飛んで火に入るなんとやら…
ここで生徒を1人殺って平和の象徴の
矜恃をへし折っとくか」
死柄木の言葉に答えるように
改人脳無は相澤先生の上から立ち上がり
のそのそと夜羽の方へ歩み寄る
夜羽は錫杖を仕舞う
あの硬さは何度打ち込んでも効かないし
刀に持ち替えたとしてもそう変わらない
手にしていた錫杖をアームレット型に戻す
無手の状態で
拳を構えて脳無を見据えた
先程吹き飛ばされた時は
かろうじて軌道を読み
ギリギリ受身を摂ることが出来た
対面する脳無を前に 冷や汗が背を伝った
『……捌き切れるか……?』
「無理だ…逃げろ…!」
完全に両腕の折られ地に伏せる
相澤先生が夜羽に逃げるように促した
とんでもないパワーなのは
先程食らった一撃で充分わかる
素のパワーがあれだから
相澤先生はそこで
組み敷かれていたのだろう
夜羽の目の前で歩みをとめた
脳無が大きく拳を振り上げた
「夜羽!!」
『(受け止めるな
とにかくすべて受け流せ
反撃は考えない
1発でも貰えば骨をやられて
一気に不利になる!!)』
相澤先生が夜羽の名を呼ぶが
もうその声に答える余裕は無い
とんでもないスピードとパワーで
脳無から繰り出される拳
幸い動きは単調
素早いがギリギリ見切れる速さだ
〝圧倒的パワーを持つ相手に
勝てずとも屈することのないように...〟
祖父の言葉を思い出す
まるでこの戦いを予見していたかのようだ
『(屈する訳にはいかない
少しでも時間を稼げっ
先生達が異常に気づいて
駆けつけてくれるまで…!)』
圧倒的力の差
たとえ勝てなくても
ここでこの敵をくい止め次へ繋げる
息つく間すらないなか
少しでも相澤先生から遠ざかるべく
脳無からの攻撃を全ていなしながら
少しずつ後退し先生から距離をとる
見たところ死柄木がこちらや
先生に仕掛けてくる様子はない
生徒を1人…
そう言っていたから今
彼らの集中は私1人
そのはずだった
「死柄木弔。13号を行動不能に出来たものの
生徒を1人逃がしました…」
「は?はー…黒霧お前がワープゲート
じゃなかったら粉々にしたよ…
あーあ…今回はゲームオーバーだ
脳無もあのガキ1人に手間取ってる…
なんなんだあのガキは…」
夜羽を睨み
苛立ち首を掻きむしる死柄木
「帰ろっか
その前に
別のガキをやっておこう」
脳無の相手をしつつ聞こえてきた会話
他のガキって…
この辺りには私しかいないはず
みんな13号先生の元へいっているはずだと
決めつけてしまっていた
嫌な殺気が夜羽の背をなぞる
死柄木が一瞬にして水難ゾーンへ駆け
そこには13号の元へ行ったと思われた
緑谷、峰田、蛙吹が
『なんでそこに!?』
ダメだ
間に合わない
どうする
先生の肘が崩れてるのを見ると
あの男の個性はヤバイ
この脳無も野放しには出来ない
死柄木の手が蛙吹の顔を覆う
『梅雨ちゃんっ!』
「本っ当かっこいいぜ
イレイザーヘッド」
相澤先生が死柄木の個性を消した
梅雨ちゃんは無事
そう認識したと同時に
夜羽を襲う脳無からの
猛攻が一瞬で消えた
蛙吹を助けようと出久が
繰り出したパンチを
目の前にいたはずの脳無が受けている
脳無が死柄木を庇って
出久たちの元へ行ってしまったのだ
一気に血の気が引いた
最悪だ
最悪の状況だ
脳無の素のパワーは先生じゃ消せない
この距離じゃ3人の元には間に合わない
先生から遠ざかろうと
距離をとったのが仇になった
脳無が出久に
死柄木が蛙吹と峰田に
再び仕掛ける
『ぃやっっ!』
手を伸ばした先で
誰かが傷つくところなんて
もう見たくない
様々な対処法が脳裏を掠めては消えていく
私ができる最善手
それはなんだ…!?
結論が出る前に
入口が派手に破壊され土煙が舞った