片翼の月 弍
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
黒い靄に包まれた瞬間
何故か祖父の言葉を思い出した
「夜羽、わしら有翼個性のほとんどは
力押しに弱いおなごの身体であるお主はなおさら...
だからこそ、個性のみに頼らず
己自身を磨き、鍛え、技を身につけ
力の流れを、風の流れを
読めるようにならねばならん
圧倒的パワーを持つ相手に
勝てずとも屈することのないように...」
脳裏を過った祖父の言葉
なぜ、今思い出したのだろう
虫の知らせってやつかもしれない
考えたのもつかの間
一気に視界が開け
空中で体が落ちていく感覚があったので
地面に落ちないよう翼を羽ばたかせる
なぜこんなことを思い出したのか気にはなるが
今はヴィランとの戦いに集中しなければならない
体制を建て直し、辺りに見えたのは
雪原なんて生易しいものでは無い
氷でできた銀世界
その中に多数のヴィランが既に
拘束されていた
「夜羽か怪我はないな?」
『うん、大丈夫』
さすがショートだ
上空から見回しても付近に
取り逃したヴィランはいない
ショートが無事で安堵の息をはく
白い息が消える前に
夜羽は視線を相澤先生のいる
中央へうつす
そこには先生を中心に
まだ多くのヴィランが群がっていた
『ショートは捕まえたそいつらから
この奇襲について情報収集をお願い』
「夜羽は?」
『相澤先生の助太刀に行ってくる!』
「夜羽!」
『なに!?』
「顔」
『…』
あまりに殺気立っていたのだろうか
焦凍に言われるまで気が付かなかった
同時に頭に血が上っていたことも自覚する
ヴィランを前に感情が先走っていた
そんな夜羽をショートが心配そうに見上げる
1呼吸置いて
もう大丈夫、とショートを安心させるために
柔らかく笑みを浮かべ
夜羽は再び翼をはためかせる
「気ぃつけろよ夜羽、俺もすぐに行く」
『うん、大丈夫』
私はもう...
あの頃の私とはもう違う
守るために、
勝つために力をつけてきた
ヴィランがなんのために
なぜこのクラスを襲ったのかは分からないが
誰1人と失う訳にはいかない
必ず勝つ
そして皆と一緒に帰るんだ