片翼の月 弍
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ーーーさあさあ位置につきまくりなさいーーー
第1競技から運がいい
存分に目立とうと
夜羽はるんるんで
スタート地点
その後方へ向かう
少しでも前へ前へと向かう
他の生徒の波から逸れて
ーーースタート!ーーー
ミッドナイトの合図で
全生徒が一気にかけ出す
狭いスタートゲートに流れを阻まれながら
そして、焦凍をはじめ
生徒同士の妨害がありながら
我先にと必死にコースをひた走る
ただ1人、夜羽を除いて
第1関門
ロボ・インフェルノ
先頭組が
ゼロポイントヴィランに遭遇した頃
夜羽はゴール近くにある
巨大モニターで試合中継を眺めていた
『わぁ、ショート初っ端から飛ばしてるなぁ』
『あ、切島くん下敷きになっちゃった』
第2関門
ザ・フォール
第3関門
怒りのアフガン
『飯田くん綱の渡り方器用!』
『かっちゃんもどんどん追い上げてきてるなあ』
『ぉっ……あの子、ヒーロー科じゃないのに
頑張って食らいついてるなぁ〜』
『べ…ベイビー?』
〝何をしてもいい〟のなら
〝何もしなくてもいい〟のでしょう?
ということで夜羽は
スタートと同時に完全獣化
鷲の姿になりコースの上空へ
そして設置された全ての障害物をスルー
ちゃんと設定されたコースの
上空をなぞっているので違反にはならないはずだ
そして
完全獣化したまま
ゴール手前の中継モニターで
みんなの活躍を眺めていた
『この競技、ちょっと私に都合が良すぎたかなぁ』
そんなことを考えていると
競技も気づけば終盤戦
会場はこれでもかというほどの熱を帯び
盛り上がりに盛り上がっている
例年に比べれば
今年は1年生ステージに報道陣も
観客も多く集まっているのは嬉しい誤算
《後方で大爆発!?なんだあの威力!
偶然か故意かーーー》
『お、いっくん大胆だねぇ〜』
もう上位3人はモニターではなく
夜羽の眼下
ゴールのすぐそこまで来ている
ここまで来てようやく夜羽も動き出す
《序盤の展開から誰が予想出来た!?
今1番にスタジアムに帰ってきたその男ーー
緑谷出久の存在をー!!》
まさかのどんでん返しにスタジオは大盛り上がり
1位になった喜びを噛み締める出久
そして僅差で会場に戻ってきた焦凍
その後に続くのはーー
《轟と爆豪が僅差でゴール…
って、爆豪!肩に乗っけてんだー?!》
プレゼントマイクの驚きの声に
会場全体も爆豪の肩に乗る〝それ〟に
注目が集まる
雄英ジャージを咥えた大きなワシが
爆豪の肩に乗ってるのだ
そりゃ誰でも驚く
そしてそのワシの正体はーー
『夜羽ちゃんでしたー!』
完全獣化を解除
そしてその存在をアピール
……しかしその姿に勝己でさえも絶句
獣化を解いた夜羽の手には
雄英ジャージ
獣化した時に脱げたものだ
そして夜羽が身にまとっているのは
ネグリジェのような
薄手のロング丈のタンクトップ
かなり際どい格好だ
《whatー!?
なんつーサービスショットだ!》
「「「「うおおおぉおー!!!」」」」
会場が今までとは違う意味の
むさ苦しい盛り上がりを見せる
焦凍
「なっ!?夜羽!?」
勝己
「こんの鳥頭!何しとんじゃ!」
『いや〜だって雄英のジャージ
獣化に対応してないんだよねぇ』
八咫烏警察の隊服や
夜羽が被覆控除で申請した
ヒーロースーツは獣化、完全獣化に
対応しており服が脱げることは無かったが
ジャージはいわゆる普通のジャージのままだった
怒鳴りながら勝己は
脱いだ自分のジャージを
夜羽に正面から押し付ける
大きな翼のおかげで背後はほとんど覆えているが
正面は無防備なことこの上ない
そんな勝己の紳士的行動に
ブーイングを送る会場男性陣
女性陣はそんな男どもに冷たい視線を送っている
「とっととジャージ着ろやこの痴女が!!」
BOOONEーー
勝己の怒鳴り声と共に爆発音が鳴り響き
土煙が舞い上がる
それが晴れる前に勝己は夜羽を
引きずるようにカメラや観衆の目の届かない
会場下の通路へ押し込む
『へへ、ありがとうかっちゃん』
「っせぇわ………
しっぽとか生えてねぇのな」
『かっちゃんおしり見たの?エッチ〜』
「全国放送で半裸晒してる
変態鳥頭がなにいっとんじゃ!」
『もう、ジャージ着るからこっち見ちゃダメだよ〜?』
「見んわ」
『……少しなら見ていいよ』
「見ねぇよ!!はよしろや!」
『あっはははー』
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